子供の頃に読んで面白かった本は、大人になっても面白いのだろうか?
と言う検証の為、私もドリトル先生物語全集を本棚の深い階層から、薄埃を払いつつ取り出してみました。
巻末に「この全集は8歳から80歳まで、誰にとっても心やわらぐ楽しい物語です」と記されています。私の初読が丁度8歳(小学二年生)。現在2○歳ですから、あと5○年は楽しく読める筈ですね。
さらに、この解説によると挿絵はロフティング自身が書いたものとのこと。このことは今まで知らなかったので驚きました。
(同じく解説によると、石井桃子さんが下訳→井伏鱒二氏が物語化、と言う感じで作られてるそうですよ)
当時は知らなかったその辺の知識を踏まえつつ、1巻から順を追って読んでいきたいと思います。
ドリトル先生アフリカゆき
……と言い出した初っ端から話を挫くようですが、実は「アフリカゆき」は、あまり好きでなかった記憶があります。
理由は覚えていませんが、アフリカ行きの本来の目的より、旅程の話がメインだったからでしょうか。そういう話だと思って読むと、決行行き当たりばったり波瀾万丈旅程が面白みを帯びて読めました。
オウムのポリネシアの変幻自在っぷりと、見事な知略に脱帽です。
ポリネシアって、アフリカに残るんでしたっけ。アフリカに残る動物がいた事は覚えていたのですが、なんせ先生に動物後を教えた重要キャラなので、こんな序盤でいなくなるとは思っていませんでした。
ちなみに、子供時代に一番好きだったのは犬のジップ。1巻では首輪を見せびらかしに行くくらいだけど、ちょっと虚栄心があるところが、ただの忠犬じゃなくて面白いんですよね。
昔ほどガブガブに腹が立たなくなりました。「うっかり八兵衛」みたいなものですね。物書きとして、こういうポジションのキャラがいると、展開を広げ易い、と言う眼も出てきたのでしょう。
改めて読むと、動物たちが人間的に描かれて、逆に、人間の方が記号付けして描かれていると言うか、一方向に突き抜けている人が多いと感じました。
中でもドリトル先生の金銭感覚の無さは、ちょっと受け付け難いかなぁと思いました。拝金主義な先生でも困るけれど、普通の日常生活を営める程度の金銭感覚は持ってないと、結局周囲の先生を好ましく思っている人(動物含む)に迷惑を掛けている気がします。
その辺の「駄目な人間たち」のバランスを取り持つのが、もしかするとトミーなのかも知れませんね。
と言うことで次巻に進みたいと思います。