ジェローム・K・ジェローム著「ボートの三人男」

「ユーモア小説の古典」と言う謳い文句ですが、英国作品なので、どちらかと言えば皮肉的なブラック・ユーモアなのでしょうか。
一章の「医薬品広告や医学書を読むと、そこに書かれている徴候が自分に当てはまっていると思い込む」と言う下りなどは、成程なぁと面白く感じました。その後の医者の処方箋も凄く機転が利いてて良いですよね。
また、十三章でスチーム・ランチを悪し様に言って進路を妨害しておきながら、十六章で友達のスチーム・ランチに曳いてもらうと、邪魔なボートを罵ってると言う、ほんの数十頁前に言ってたことと全く真逆の下りに気付いた時なども、もの凄く身勝手だけれど、頷かされる変わり身でニヤリとさせられました。
ただ、分かり易い面白さでない部分の方が多く、しかも主人公含めて身勝手な人々が他人に迷惑をかける話が多いので、ちょっと疲れました。こういうのがユーモアなんですかねぇ。文化の違いかな?

私は最初、河に行こうと言いつつ、部屋の中で計画を話すだけで終わっちゃうのではと疑っていましたが、ちゃんと敢行したあたり、英国紳士は実行力がありますね。
行程の描写が、まんま旅行案内のようだったので、解説で「着手段階ではテムズ河の歴史的・地理的な展望の書として目論まれた」と言う旨に「やっぱり」と感じました。

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