「カサブランカ」DVD感想の続き。

【1幕第6場 カフェ外(A)】
ルノーが犯人逮捕のためカフェに現れ、リックに協力を求める。

洗熊と狸が腹の探り合い(笑)をしているシーンですが、話し掛けられた時のリックが笑顔に見えるので、どこか「なぁなぁ」な緩い印象も受けます。「裏から行こう」と言われてルノーが応じる軽さにも、こんな雰囲気がいつもの事なのだと思わされます。
もっとも、大空アングルで見ると、イヴォンヌを見送った後に口笛を吹きそうな様子が分かりますので、表情が柔らかいのは単にその名残かも知れません。
祖国への思いと、カサブランカに来た理由を問われた時にだけ、リックの瞬きが多いような気がします。細かい所だけれど、他の台詞を言う時はそんな仕草をしないので、意図的な演技なのか、考え過ぎかな。
エミールの「プロとして恥ずかしい」は、東京公演だと矜持がありつつ恥じてる感じでしたが、DVDだと少し気弱な感じを受けました。

【1幕第7場 オフィス〜カジノ(B)】
レジスタンスの英雄ラズロが渡米の為カサブランカに到着したことをルノーから知らされ、リックは脱出の成功に一万フランを賭ける。

賭けの話までは、前場に引き続き丁々発止のやりとりですが、ルノーから素性を調べたことを明かされた瞬間、表情から親しみが消えて硬質の表情のまま動かなくなるのが好きです。
「今にこのカサブランカは」に続く言葉として、大尉は何を言おうとしていたのでしょう。ナチスの占拠下に置かれる、でしょうか。でも大尉のような面従腹背のフランス人がいる限り、彼等が本当にカサブランカを支配する事はないと思うのですけれどね。

【1幕第8場 カジノ(C)とカフェ(C)】
外交官殺害の容疑でウガーテが逮捕された後、リックはシュトラッサー少佐らから詰問される。彼は過去レジスタンスに参加していたのだ。

ウガーテが警官に囲まれた際、隣の席でヤンが「ぽかーん」としているのが可愛いです。
それにしても、ジャンはリックと親しいとも思えないのに何故「俺の時は助けろよ」と言うのでしょうか。蝙蝠的な彼の立ち位置としては、リックの本心を探っているのかも知れませんが、断られて目を剥くのは演技でない感じがします。
ジャンの本心を読み解くのは、この場に限らずかなり難しそうです。
DVDでは映っていませんが、初めてカフェのセットが登場するとき二階から早めに内部を覗くと、給仕中のカールが横を通り過ぎたジャンに気付いてジャケットの中を確かめる、と言う演技をしていました。つまり、リックのカフェの従業員は、ジャンがスリであることを知っているのですよね。その割に堂々としているのは、リックが突き出す訳がないと思っているのか、最終的にルノー大尉に何とかしてもらえると思っているのか。
ただし私は、ジャンはリックの店で仕事をした事はない、と考えています。
理屈は明言し難いけれど、ウガーテがそうであったように、ジャンもリックに憧れている面があるのでないかと感じるのです。自分でも、三人が白系スーツジャケットに蝶ネクタイと言う衣装であることに意味を求め過ぎかと思うのですが……。

リックが少佐から詰問される間、逐一ルノーがフォローを入れたり慌てるのが面白いですが、この時のリックは大尉も含めた制服組全員に対して心を閉ざしている様子。
少佐が飲み干したシャンパングラスを机に叩き付けた瞬間、プラスチックの音がするのが残念です。
それにしてもこの4人のテーブル席、3種類の軍服+リックと言う夢のような席ですね! 絵にしたいくらい。
大尉はヴーヴ・クリコを注文するときに年数を指定するけれど、シャンパンにもワインのようなビンテージがあるのでしょうか。

コメント

  • コメントはまだありません。

コメント登録

  • コメントを入力してください。
登録フォーム
名前
メール
URL
コメント
閲覧制限
投稿キー
(スパム対策に 投稿キー を半角で入力してください)