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日生劇場にて「ラ・カージュ・オ・フォール」12:30回を観劇。
http://www.tohostage.com/lacage/

要所では面白い箇所もあり、結構笑いましたが、正直な感想としては冗長な作品でした。

公式で紹介されている「物語」部分が、上映時間の9割を使って展開されるとは思っていませんでした。
そんなわけで、ストーリー自体はほんとうになんでもない内容。正直、お話としては1幕がなくても成立します。ジャクリーヌがデウス・エクス・マキナ的な存在で話を締めてしまうので、物語重視の私としては不満が残りました。
登場人物たちのやり取りや、カジェルたちの「おかまショー」を楽しむ作品なのだと思います。

ただ、そのショーも、隣の劇場(宝塚)の方が派手且つ大人数で見応えがあると思ってしまいました。
通常、男性のダンスは少人数でも迫力があるものですが、全員「おかま」を演じているせいか、あまり男性の迫力を感じなかったようです。唯一、CANCANは躍動感があって面白かったです。
後は個人的な嗜好として、裏声の歌に男らしい地声を混ぜる@シャンタルとか、女王様@ハンナだとか、一発芸を何度も繰り返されるのも苦痛でした。

以下、キャスト評です。
ジョルジュ@鹿賀丈史は、なんとも言えない胡散臭い雰囲気がゲイっぽくて面白かったです。ただ全体的に喋り方が「演技っぽい」感じで、あまり感情が見えて来なかったですね。1幕では、アルバンが本当に好きなのではなく、花形スターだから大事に扱っているだけのように見えました。
一方のアルバン@市村正親は、正にスターでした。カツラを被ると普通に「おばさん」に見えるし、仕草や歩き方がブレなくて、演技と判っていても「本物?」と思わされました。
お気に入りのシーンは、歌いながら舞台上でおかまメイクをしていく「マスカラ」です。
ジャン・ミッシェル@原田優一は、無邪気を通り越して無神経なところが最初は嫌な感じでしたが、作中で成長する美味しい役ですね。今時の軽薄さがあって、「レ・ミゼラブル」のマリウス役よりも嵌まっていたように思います。
実はお目当てだったアンヌ@愛原実花は、とても可愛かったです!
ソロ歌はなく、体重が存在しないような軽やかなダンスで魅せる役ということで、自分の得意分野を生かしてるのも好印象でした。台詞も一番聞き取りやすかったです。
ジャクリーヌ@香寿たつきは、結局良くわからないキャラクラーで残念な印象。吹っ飛んだ人なので、地に足の着いたイメージがある香寿とはミスマッチだった気がします。
ダンドン議員@今井清隆ダンドン夫人@森公美子はさすがの芸達者。
端役では、カフェの女将をしていた園山晴子が、感じの良い婦人で素敵でした。

VISUALIVE「ペルソナ4」上演決定
http://www.maql.co.jp/special/vlp4/

なんでも舞台化が進む昨今、アニメ化で好評を博している「ペルソナ4」も舞台化するそうです。
ミュージカルではなく、「VISUALIVE」なるジャンルを作るそうです。

「VISUALIVE(ビジュアライブ)」とは、脚本・演出の浅沼晋太郎と、映像演出の奥秀太郎による「視覚効果に特化したパフォーマンス」と「俳優の生の演技」とをスタイリッシュに融合させた、全く新しいライブエンターテイメント。

……だそうなので、舞台背景をスクリーン化して、「ペルソナ」は映像で出現、その前方で役者が映像に合わせて動くんだろうなぁと想像しています。三次元で表現しようとして特撮怪獣みたいなことになるより、スタイリッシュで妥当でしょうね。

主人公の名前は日替わり(現在募集中)だそうですが、役者が大変になるだけなので、固定で良かったのでは……?

帝国劇場にて「ニューヨークに行きたい!!」17:30回(帝劇100周年感謝デー)観劇。
http://www.tohostage.com/newyork/
本日のフロリアン役は石川新太。
上演中に少し揺れがありましたが、芝居は一瞬止まっただけで問題なく続行しました(2幕父子シーン)。

公演前には、オケメンバーによるロビーパフォーマンスがありました。
東宝ミュージカルの名物指揮者、塩田氏を観たのは実は今回が初めてです。裏方に徹するのではなく、積極的に舞台を盛り上げようと言う意欲を感じました。
今日のような演目では、良かったのではないかと思います。

ドタバタ喜劇ですが、テンポが軽妙で大笑いもしたし、沢山のナンバーで歌い踊るのが楽しい3時間強でした。
正に娯楽作品。
強いて言うなら、1曲が長くて冗長になる時があるのと、エピソードが多くてテーマが散漫になってることが気になりました。例えば、ゲイカップルのエピソードは2つも必要なかったと思います。馴れ初めはカットして良かったのでは。
エピソード数の割に、アクセルがリサに惹かれた過程が分からないのも難点かな。
基本的に場面は飛び飛びだし2幕は間延びしてるし……って、脚本には結構ケチ付けるところがありますね。
ただ、ハッピーミュージカルに理屈を捏ねるのも野暮ですし、楽しんだ者勝ちなのでしょう。
楽曲は、ドイツの国民的ヒットメーカー、ウド・ユルゲンス氏によるもの。全体的にポップ調のためか、名曲揃いとまでは思わなかったけれど、聞いていて楽しいリズム感に溢れる曲ばかりでした。私の好みとしては「地獄からのメッセージ」が非常に良かったです。

以下、キャストごと感想です。

リサ@瀬奈じゅん
観終わってから気付いたのですが、女優姿は実は初見でした。
バリバリのキャリアウーマンということで、全体的に颯爽として格好良かったです。ただラストの赤いドレスのみ、勝負服の筈なのにイマイチな印象で残念。
私は彼女の声を攻撃的だな、と感じるのですが、役には合っていて良かったように思います。

マリア@浅丘ルリ子
まさかの初ミュージカル。実は目当ての半分くらいが彼女でした。座席からずり落ちる覚悟もしつつ行ったのですが、ほとんど囁きのような吐息混じりの歌い方で、しっとりと聞かせました。
声量はないのでマイクに完全に頼っていたし、歌詞を聞き取るのは苦労したし、正直歌われる度にハラハラしましたけれどね(笑)。
衣装がどれもこれも少女趣味で仰け反ったのですが、本家版は普通にマダム風だったので、ルリ子さん仕様でそうなってるのかな?
母親と言う感じはしなかったけれど、リサと噛み合ない感じとか、頑固さとか、上品なのにぶっ飛んでる不思議キャラ具合は面白かったです。

アクセル@橋本さとし
包容力があって強そうな男なのに、ちょっと愛すべきヘタレ。愛おしいキャラでした。
ただ、いい奴過ぎて、父親との確執はあんまり感じませんでした。
リサが女性として可愛らしく見えた功績は、彼のガタイにあると思います。枕で叩き合うシーンとか、2人の凄く息の合った掛け合いにニマニマしました。

オットー@村井国夫
どこか頼りない立ち姿で、恋人(マリア)に対してのオットーとしての人物は良く分かりました。
が、息子(アクセル)に対する、家庭を顧みない音楽家の姿は感じ取れませんでした。脚本も問題だけれど、ちょっと猫背気味であることも相俟って、ただの小心者に見えてしまいました。

フロリアン@石川新太
アクセルの出来た息子。脚本の段階でも出番が多いし可愛いしの儲け役ですが、凄い巧くこなしていました。
子役って侮れないですね。ガブローシュ(レ・ミゼラブル)役で観てみたい、と思いました。

その他、アンサンブルが踊りも歌も大活躍して客席を乗せてくれたのが良かったです。

2012年のエリザベート役(Wキャスト)に春野寿美礼が配役されたことを知って、慌てて帝国劇場の公式サイトを見て来ました。

帝国劇場「エリザベート」
http://www.tohostage.com/elisabeth/

東宝チャンネル プロモーション映像
http://www.youtube.com/watch?v=cbATrQmOXiY

ご本人には申し訳ないけれど、女性としての春野寿美礼に「美貌」と冠するのは正直難しい、と思ってしまいます。反面、エリザベート役の曲をどう歌いこなすのかはとても興味がありますね。
ちょっとだけ来年が楽しみになりました。