• 2015年登録記事

有吉佐和子著「新装版 和宮様御留」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
少女フキは、降嫁を命じられた皇妹和宮の身代わりに仕立て上げられ、なにも知らぬまま輿に載って江戸へ向かう。しかし偽物と疑う命婦等と接する緊張から心身を壊し、遂に発狂してしまう。公武合体を推進する岩倉具視は、新しい身代わりとフキを入れ替え、気の狂った和宮としてフキは翌日横死する。

和宮親子内親王が家茂に降嫁したことは、史実としてもちろん知っていましたが、和宮が有栖川宮との婚儀前だったとか、東下を拒否していたといった詳細は知らなかったので「こんなことがあったのか」と新鮮に、興味深く読みました。
もちろん、小説を史実と混同してはいけないし、実際、幕末の和宮は直筆の手紙を御所に送った筈だから替え玉なわけないと思うけれど、もしかしたら「和宮様」は1人じゃなかったのかも、という気になってきます。

フキが和宮と入れ替わるとことは、裏表紙の説明で解説されてしまっているのですが、実際に入れ替わるのは全体のページが4割くらい消化されてから。そこから実際に江戸へ出立するまでに更に3割使い、こんなにも知恵のないままフキが和宮として大奥に行ってどうなるのかと思いきや、なんと最後に大どんでん返しで、もう一度入れ替わるという下りには驚愕しました。
前半が非常に濃密な分、後半は少し呆気ないけれど、その呆気なさが、御国の大事にあっては一個人など埃のように軽くなることを示しているのかも知れません。
そもそも驚くべきことに、誰もフキに対して、身代わりをさせることを説明しないのですよね。観行院以下誰もが、婢なんて言われた通り、或いは言わなくても自分たちが思った通り働くべき存在だと認識していたんでしょうね。

読み終わって冷静になってみると、連載歴史小説らしい悪い点もあります。
登場人物がいきなり増えて、出番が終わると以後一切語られなかったり、視点を変えて色々語る割に、気になる背景が語られないまま終わっています。特に、宇多絵がなにをどう言い含められてここに来たのかと、土井重五郎と岩倉具視の繋がりを語らないのは、物足りないです。
しかし、圧倒の筆力で描かれる、ミステリ調に謎めいた雰囲気、御所言葉で会話する独特の雰囲気、公家の生活という、現代人からすると異次元の暮らしといったものは、歴史小説好きなら一読の価値ありと思います。

本記事は、あくまで個人の使用感によるレポートです。商品に対する使用感や感想には個人差があるものとあらかじめご了承ください。
また、薬剤知識はないので、専門的な話も出来ません。

と言うわけで、今回の目薬は、またも参天製薬株式会社の「サンテ快滴40」。
http://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/products/otc/sante_kaiteki40.jsp

サンテ40シリーズは、40歳代向け商品ということで敬遠していたのですが、よく考えたら目薬効果に年齢差があるわけがないし、この商品に至っては「40歳代向け」の記述すらなかったので、使ってみました。
軽いクール感があり、粘度も非常に少ないけれどあり、サッパリしつつ潤いつつ……という「ほどほど」の極み。これがなんとも使いやすいです。
どちらかと言えば、「快滴」というネーミング通り、目元がスッキリする割合が高いですね。

液体は無色透明。舐めると、薄い塩味がします。
15mlという容器サイズと市場価格を合わせて考えると、なかなかコストパフォーマンスがいい一本だと思います。
なお、この商品も、包装はパッケージュのシュリンクのみのエコ仕様でした。

TVアニメ「アルスラーン戦記」9話「仮面の下」
http://www.arslan.jp

エンドカードは伊奈めぐみ先生。ご自分の作品と巧く掛け合わせた上で勢いのある1枚でした。

今回は、原作小説からの改変のみならず、漫画版のオリジナル展開を更に改変していた点が非常に気になりました。
下手に展開を弄って引き延ばす意味がわからないし、もう少し情報量を詰め込んでも良いのでは。台詞の変更やカットで、伏線が消えた箇所もありましたよね。
ただ、色々思ってしまうのは漫画版を読んでいて、そちらと直接比較してしまうせいかもしれません。次話はまだ雑誌連載分があるけれど、次々回からは漫画版という一方の原作がなくなり、小説部分からアニメスタッフが書き出して行くことになるので、いっそその方が楽しく視聴できるかもしれない、と期待しています。

全体的に作画が崩れていたのは、終盤に設けられている銀仮面卿戦のクオリティと引き換えだったのだと納得しました。見ている側としては、全体のクオリティが高い方が嬉しいですけれど、制作現場は大変なんでしょうね。
なお、今回も夜間の戦闘ですが、「王都炎上」に比べると全体的に明るめになっていて、見やすくなっていたのは良かったと思います。もしかすると、屋内と屋外の差を出していたのでしょうか。

イノケンティス七世は元々“萌えキャラ”だと思っているのですが、動いたり喋ったりしているとより可愛かったですね。癒されます。

日誌を書こうとしたら地震があったので、慌ててコンピューターの電源を落としました。広範囲に渡る揺れだったようですが、マグニチュードの割に震度はそこまで大きくなくて安心しました。

コリー・ウィルス著 大森望訳「ザ・ベスト・オブ・コリー・ウィリス 混沌ホテル」

中・短編SF集。
最初が表題作「混沌ホテル」ですが、これが一番困惑する作品でした。訳者後書きには下記のように記載されていて、正にこの通り。

量子論をマクロレベル(というか、日常生活)に適用した“見立て”のおもしろさがミソなので、そこがぴんと来ないとどこがおもしろいのかよくわからないーーというか、隔靴掻痒の気分を味わうかもしれないが、なんとなくサイセンスをネタにしているらしいハリウッド観光コメディだと思って読んでも、けっこう楽しめるんじゃないかと思う。

私は、まず量子論というもの自体がぴんと来ないし、キャラクターにイライラするし、という具合で楽しめなかったですね。
そのせいで、残りの4作は読まずに止めようかと思ったくらいです。
でも結論から言うと、私が面白くないと感じたのはこの1作目だけで、あとは面白かったのでした。

ガラッと印象を変えたのが2つ目の短編「女王様でも」。
なんと、月経をネタにした作品というアイデアの段階で脱帽。結局、なにが起こるという話でもないのですが、女同士の会話の応酬が面白かったです。現代でも「健康のためにはピルを飲んだ方が良い」という人と、「自然に反している」という人とがいますから、現代女性にとってもリアルなお話ですね。

中編「インサイダー疑惑」はインチキ霊媒を暴くデバンカーの話。
SFというより、どちらかというとミステリ仕立てで、懐疑主義者の男が美人助手と霊媒を見に行くと、お定まりの「アトランティスの大神官」の降霊をやっているが、突然雲行きが変わり……という導入。
この導入で、いかに観客を騙すかという詐欺の技術が語られているのがまず面白いし、テーマとなるヘンリー・ルイス・メンケンという人物が実に振るっています。私はメンケンについてまったく知らなかったのですが、彼の金言を読むだけでも興味が掻き立てられますから、その「本人」が登場するとなれば、面白さは保証されたようなものでした。

短編「魂はみずからの社会を選ぶ -侵略と撃退:エミリー・ディキンスンの詩二篇の執筆年代再考:ウェルズ的視点」は、ディキンスンの詩を論文仕立てでSF的解釈したコメディ。
最初困惑したけれど、受け取りかたが分かったら笑いっぱなし。こういうお話のスタイルもあるのか、と驚きました。

中編「まれびとこぞりて」は、宇宙人との交流を描いたお話。私は聖歌の知識があり、歌がある程度わかるためそれなりに面白かったけれど、人の話を聞かない人間が出てくるので疲れました。
でも、先方からアプローチしてこない宇宙人とのコミュニケーションを模索するという視点は面白かったです。

全体的に、女性作家ならではのSFなのかもしれません。体験を巧みに折り込んでいたり、ユーモアに溢れていたり、なかなか楽しめました。
それだけに、表題作が一番評価の難しい、読む人を選ぶ作品だった点が残念だなと思います。

TVアニメ「うたわれるもの」5〜8話感想
http://www.imagicatv.jp/content/utaware/

蜂起が4話、攻勢に転じるのが6話、首都陥落が7話というハイスピード展開でした。と言っても、キャラクターのやりとりにたっぷり尺を取って、戦闘はサクサクという作りだったので、展開は早くても丁寧に進んでいると感じます。
それに、皇都を攻める戦いはしっかり描写されていました。さすがに、CGであることが丸わかりな兵士のシーンも多かったですが、この辺の熟れていない感じは昔の作品ならではで、今となっては「味」という気もしますね。

ただ、中ボスというべき皇インカラが、ササンテの色違いキャラで、明らかに無能なキャラクターであったことが残念でした。
暴虐ではあるけれど、それ以上に愚かなので、怖さよりも阿呆だと判断できてしまい、ハクオロたちが負ける未来が想像できなくて緊張感がなかったし、仕えている人物が無能だということで、ベナウィの格も下がると思いました。

ちなみに、ベナウィが主人公側に付くことはOPの時点で分かっていたのですが、思ったよりアッサリ従ったので拍子抜け。この人は要するに、義務感が強いだけなのかな、と感じてきました。もし在野武将だったら、日々を無為に過ごすタイプかもしれません。とはいえ、職業軍人としてちゃんと強さが描写されていて、ハクオロが武術でも勝ってしまうような主人公補正をされていないことに安心しました。
そういえば、ベナウィに関して個人的に気になった点があるのですが、彼はもしかして、オボロのお母さんなんですか?(笑)
「精進しましたね」という台詞に、親目線を感じました。例えば、クロウだったら「腕を上げたな」と言うところですよね。ライバル(対等)ではなく格下に見ているんだろうけれど、妙に身内感覚だと思います。

8話は平和な日常のエピソードで一息つく感じでしたが、次回予告を見る限り、あっという間にフラグ回収で戦争が始まる模様。
そうそう、この作品は次回予告にナレーションがないので、毎回展開が読めなくて面白いと思っています。例えば、予告の段階では、カミュは周りを引っ掻き回すタイプだと想像していたのですが、どちらかというとアルルゥに振り回される、予想外に可愛いキャラだったりしました。

最後は余談ですが、PSP版「うたわれるもの PORTABLE」廉価版が、70%OFFセールだったので、さすがにこれは安いと思って買ってしまいました(セールは6月2日まで)。
戦略シミュレーションは、買ったら満足してしまい、多数積んでいるので、いつプレイするかは不明です。