荒川弘版 漫画「アルスラーン戦記」10巻
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荒川弘版 漫画「アルスラーン戦記」9巻
発売したのは知っていたのですが、本屋に行く機会がなくて遅くなりました。
表紙はジャスワントですが、ようやくシンドゥラ編が終わり、パルス国内に戻ってきました!
ちょうど原作「落日悲歌」の範囲が終了した形になります。
漫画版は、サリーマ様が魅力的で良かったです。1人、名誉も財産も保って生き残ったけれど、孤独を噛み締めている様に心を掴まれました。ジャスワントを残してあげたくなったくらいです。もちろん、ラジェンドラを振るシーンも良かったです。
条約の中に、シンドゥラ暦の年代を2年縮めるネタがなかったのは残念です。説明が面倒だから仕方ないですね。アニメでもなかったし、文字情報である原作小説だから仕込めるネタだったのだと思っておきます。
ナルサスの味方を騙す計略で、エラムとアルフリードがちょっと可哀想な目に逢ったり、パルス側も動きが出てきましたが、9巻の見処は銀仮面卿陣営だったと思います。
登場する度に言っている気がするけれど、ザンデが可愛い(笑)という効果は大きいです。
サームが現れて少々複雑な心情が垣間見えるコマや、父を慕う兵士を思わず全力ハグする可愛げ、更にクバードに父を侮辱されて激昂しつつも悔しさに言葉が詰まるシーンなど、喜怒哀楽の激しさが可愛いです。
特に、クバードとザンデのやりとりを挟んだことで、ヒルメスの怒りが単に仮面を揶揄されたせいだけでなく、亡き忠臣を庇う気持ちがあるようにも受け取れたのも良かったです。ザンデが報われているという意味で。
一方、サームは原作の行動をなぞっているだけなのに、結構策士に見えるのが面白かったです。
荒川弘版 漫画「アルスラーン戦記」8巻
表紙は双刀将軍。今巻の範囲だと出番がないのでは?と思っていたら、少しだけ名前が登場しました。カバー下の後ろ姿が格好いいです。
8巻は、原作小説三巻の第三章「落日悲歌」部分に当たる47〜52章を収録。
戦象部隊VS騎兵部隊と、神前決闘の一騎打ちという2つの戦いが劇的に描かれています。
本筋は原作小説の通りですが、オリジナル要素の盛り込みが的確で、原作ではあまり語っていなかった痒いところに手が行き届いています。
ラジェンドラとガーデーヴィの舌戦も拡張されていたけれど、非常に自然でしたし、バフマンの死にかた改変は原作に入れ込み直しても良いくらいだと思います。
また、サリーマとジャスワントの気安い雰囲気が見られる会話は、一族内でのジャスワンとの立ち位置も見えて、マヘーンドラだけと繋がった仲では無かったんだなと、少し安心もしました。
- ダリューンの槍に房が付いていた理由が判明する、微笑ましい1コマ
- 猛虎将軍マント(笑)
など、漫画向けギャグ要素も光っていました。
特に猛虎将軍マントに関しては本編でも笑ったけれど、カバー下にて、まさかの兜も用意されていたので不意打ちを喰らいました。
原作小説に関しては、帯にて16巻(最終巻)が12月15日発売である旨が告知されています。
リアルタイムで追っていた読者には、出来はどうであれ感無量といったところでしょうか。
でも私は第二部を読んでいないこともあって、広告が挿入されていた「七都市物語」コミカライズ(ヤングジャンプ連載中)の方が気になりました。コミカライズのお陰で原作新版が出ているし、こちらを読もうかな。
アルスラーン戦記最終巻脱稿って、サブカル系だけでなく産経でもニュース記事になるんですね……いや、まあ確かに事件ではあるのですが!
http://www.sankei.com/life/news/170829/lif1708290029-n1.html
インサイドでも同様の記事が出ていますが、こちらは過去の刊行ペースに関して言及したり、Twitterかららいとすたっふ代表のつぶやきを転載する形で記事を作成しています。
https://www.inside-games.jp/article/2017/08/29/109412.html
なんとなく、2社の記事の作りかたを思わず見比べてしまいました。
産経ニュースは、最終巻脱稿の情報源を伏せた上で、わざわざ「発行元の光文社によると、」という前振りを入れて巻数を書いているので、光文社発表と誤読させる意思があるように勘ぐってしまいます。
インサイドの記事は、読み物としては面白いけれど、転載をしないよう要望されているつぶやきを丸々コピーしている点が如何なものか、と思います。
つまり、どちらもテクニカルライティングの観点で採点すると微妙(苦笑)。
テクニカルライティングと文筆業は全く別物ですし、自分もプライベート(つまりこのブログ)では適当に思ったことを書き連ねていますので、人のことをとやかくは言えませんが……記事と名乗るからには、もう少し信頼性の高い内容がいいかなぁと思いました。
荒川弘版 漫画「アルスラーン戦記」7巻
これまでの表紙絵に比べると、塗りが明るく感じるアルフリードの表紙です。
特に、暗い色合いのダリューン(2巻)やエラム(4巻)に比べると、光源を背負っているような眩しさを感じます。
7巻は41章から46章まで収録。
ページ数は前巻と変わらないのですが、少し薄く感じました。紙が変わったのかな。
おまけがなかったのは残念でした。
今回は完全にシンドゥラ編ということで、ラジェンドラ王子の、軽薄で信用ならないけれど憎めない感じが生き生きと描かれていて、王子が一層好きになりました。
ナルサスの絵を覗いたジャスワントが放心するなどのオリジナル要素も含めて、結構ギャグが多め。ペシャワールの奇襲で、前進か後退かで右往左往するシンドゥラ軍に揉まれるラジェンドラなんて、コントみたいでした。
基本的な展開は原作通りですが、プラダーラタとの一戦という消化試合にバハードゥルの伏線を織り込むなど、先への展開へ引っ張るのが、連載マンガならではの手法だなと思いました。新年の儀で将兵の代表をバフマンに務めさせるところも、アルスラーンとバフマンの微妙な距離感と、バフマンの矜持や人柄がよく現れていて、原作より濃い描写が多いと思います。
サリーマが早々に登場して、キャラクターを立てて来ているところも、次巻の一騎打ち後の展開に色々加味されそうで楽しみです。
なお、折り返しコメントによると、田中先生が最終巻執筆中とのこと!
「タイタニア」が完結した時に「完結したということ自体が素晴らしい」と思ったのですが、「アルスラーン戦記」第2部も無事完結するなんて、田中先生、どこかで心を入れ替えた模様です。
私も諦めずに、連載を進めねばなりませんね……。