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本日月組2001年公演「血と砂」の復刻DVDが届いたので、そちらを見たいな〜と逸る心を抑えつつ「カサブランカ」の続きです。

【2幕第4場 カフェ(開店前)】
リックのカフェが家宅捜索されるが、特別通行証は見付からない。

捜索に現れた警官たちがフランス人とムーア人の混在部隊であることは一目瞭然ですが、令状を持ったカッセル中尉は別として、店内に入って前に立つのはムーア人の方なんですね。従業員たちと戦うのも彼等が中心で、フランス人たちは捜索が主の模様。こんなところにも人種差が出ているのかも。
従業員たちの方は、サッシャだけ上着を脱いでいて、白シャツ姿なのが好きです。
しかし毎回気になるのですが、もしサムの出勤が家宅捜索より早かったらアウトですよね。リックはどこまで予見して通行証を隠したのでしょうか。

【2幕第5場A カフェ外】
特別通行証の行方について、リックとルノーは互いに探り合う。

東京では、大尉が身嗜みを整えるシーンで時々笑いが生じていましたが、DVDで見るとそんなに可笑しいシーンではないですよね。公演回数を重ねるごとに、動作を大仰に面白くしていっていたのかな。
また、「彼女は自己流でドイツと渡り合っているのさ」の台詞は笑みを込めていたように記憶していたのですが、意外と険しい顔付きですね。イヴォンヌが独国領事と一緒に現れた時も、眉間に皺が寄っているし、自分の立場とあわせて複雑な心境だったのかも。

【2幕第5場B オフィス〜カジノ】
ルノーから出国ビザに関する取引を持ち掛けられたブルガリア人妻のアニーナが、リックに相談する。

カールが「困った客」と指したのはヤンの事ですよね。お金を落としてくれてるんだから、店としては美味しい客なのに困ったと表現する辺りに、このカフェの従業員はここで働くことに営利以外の目的を感じてるんだろうなぁと思います。その割にボスのモットーは「搾れるだけ搾り取る」なわけですが(笑)。
このシーンにある、会話する二人の背後にルーレット台が見えると言うアングル、とても素敵だと思います。

【2幕第6場 カフェ内】
カフェではフランス人とドイツ人の小競り合いが起きていた。リックは場を静止する。

リックがヤンに勝たせてやる気になったのは、この瞬間だと思うのですが、その理由は何故でしょう。当初はここで騒動が起きたせいだと思ったけれど、ドイツ軍と夫婦の行く末は関係ないですよね。
そう思っている内にふと思い付いたのですが、もしかしたら、少佐と領事のテーブルに大尉がいたためではないでしょうか。
ドイツ人たちだけなら未だしも、そこに擦り寄って甘い汁を吸うことを厭わない大尉に、カフェが家宅捜索された復讐も兼ねてちょっとした意趣返しを思い付いたのかな、と。
とすると「君はこの席にいて良いのかね」と言う少佐の台詞も、作品的には二重の意味があったのかもと勘繰って楽しくなれますね。

前回(2場)から1つしか進んでいませんが、全部で4シーンに分かれています。

【2幕第3場A バザール1】
出国の手がないラズロに、レジスタンスの一員が闇市のボス・フェラーリを紹介する。

舞台袖から人々が登場するのにあわせて、舞台上に市場が出来上がって行くのが目に見えてワクワクします。
ところで、盆が回る直前に踊り子とジャンが親しく話してるので、二人は顔見知りみたいですね。この後カーティスと絡む踊りがあるのは、もしかして二人で仕掛けたと言うことなんでしょうか。

【2幕第3場B ブルー・パロット1】
フェラーリはリックが通行証を預かっていると睨み、取引を持ち掛けるが、リックは取り合わない。

ヤンの相談に乗っているフェラーリですが、最初からヤンの駄目なところを笑って受け流しているんですね。決して善人ではない人柄が出ていて良い表情だと思います。
「彼女、若いから」と言われてキョトンとしてしまうヤンの幼さが可愛いです。
しかし、通行証の話を持ち出されてもしれっと流すリックの狸っぷりも凄いなぁと思います。

【2幕第3場C バザール2】
バザールでリックとイルザは再会する。昨夜の醜態を謝るリックに、イルザは自分がラズロの妻である事実を告げる。

このシーン、二人の会話になると亡命者や商人たちは皆盆の上にいるため、折角人数を出しているのに二階席からは小さなまとまりに見えて残念だったのですが、映像だと空間の隙間が分からないので気になりませんね。
それにしても亡命者の皆さん、観光気分で買い過ぎではありませんか。
「君はいつか、階段を昇って尋ねて来る」と言う予言の真意が分からず、何故自信満々なのか、言霊を信じているのかと謎に思っていたのですが、今になって、自分が通行証を押さえている為の台詞なのか、と思うようになりました。少なくとも、イルザの視点ではそう考えることになりそうです。

【2幕第3場D ブルー・パロット2】
ラズロはイルザを闇ビザで出国させようとするが、イルザはラズロと共に在ることを選択する。その二人に、フェラーリはリックが特別通行証を持っていることを教える。

フェラーリはラズロの脱出記事を読んで感動したと言ってるけれど、それなら最初から通行証の話をしても良かったはず。本当はイルザとのやりとりに打たれたのかな、と感じます。

今年は未だ詳細が出ないけれど、タカラヅカスペスシャルの中継はないのでしょうか? 今年最後のご贔屓補充で癒されたい今日この頃なのですが……。
仕方ないので、取り敢えずDVD感想の続きにいってみましたが、リックの出番がないシーンでした(笑)。

【2幕第1場 集会1】
ラズロはレジスタンスの集会で、アメリカ参戦を促すため渡米する決意を語る。

なぜか、二幕からは場面名が(A)ではなく数字表記に変わる謎(正しくは○付き数字)。
集会でラズロを迎えた時、サッシャ達がどこか真剣さと痛みを宿した表情なのに対して、ラズロ信者のバーガーが満面の笑みなのが可愛いです。
膝をついて足踏みする振り付けが個人的にお気に入りです。小さな、けれど力強い一歩を感じさせます。

【2幕第2場A ルノーのオフィス外】
翌朝、警視総監オフィスの前にビザ発行を待つ人々が列をなしている。

朝7時から並んだヤン夫妻が遂に列の先頭に立ってますが、ルノーが指定した時間から考えると10時が業務開始なんですかね。3時間=エコポイント特需の待ちと同じ程度で先頭待ち出来たと考えると、ヤンの亡命意欲が強いのかそうでもないのか、悩ましくなります。

【2幕第2場B ルノーのオフィス中】
オフィスに召喚されたラズロは、出国とレジスタンスの情報を引き換えにする取引を持ち掛けられ断る。シュトラッサーは、通行証を探すためリックのカフェを調査するようルノーに命じる。

シュトラッサー少佐が渋くて素敵な一場。
このシーンは、イルザの髪型と帽子も巧く合ってると思います。DVDでじっくり見て、無言のまま会話の行く末を心配している演技に感心しました。一方のラズロは腹芸ができない人ですね。巧い話に思わず興味を示し、取引を理解すると途端憮然とし、ウガーテの話題にも一瞬固まってしまう。映画版とは結構違うラズロだなと思います。
何度も見返している内に、大尉の「カサブランカではぐっすり眠れる人間はいない」と言う台詞が気になりました。単にラズロへの皮肉のようだけれど、言い回しからすると大尉本人も心安らかに眠れてはいないんですよね。やはり方々を見過ごして生き抜く人生も辛いものなのかな、と感じます。
でも人妻を誘惑する余裕はあるんだから、やっぱり喰えない親父ですね。
ところで、大尉はどの段階で夫妻を知ってアニーナに眼を付けたんでしょうか。オフィスに一人通されて怖々したアニーナと大尉が盆周りで遠離りながらセリ下がって行く演出は、ただの場面転換だけでなく秘密事の匂いがして巧いなぁと思います。

パリの回想の続きから。

【1幕第15場 パリ南駅(パリE)】
脱出のため待ち合わせた駅で、リックはイルザからの別れの手紙を受け取った。

まず、銀橋に並んだ避難民をカメラがじっくり流してくれるので、一人ずつ確認できるのが嬉しいです。観劇時に個別に確認しようと思って見ていた生徒以外は、DVDでようやく立ち位置が確認出来ました。
東京公演から追加になったサムと駅員の押し切って乗り込むやりとりがなく、スムーズに電車に乗り込めるのが少し物足りないけれど、あれを追加したことは尺的に問題なかったのでしょうか。DVDで見てるとやりとりなしでも結構ギリギリですよね。

【1幕第17場 カフェ(F)】
泥酔したリックの元に、イルザが現れる。なぜ待ち合わせに来なかったのか説明しようとするが、リックは彼女を詰ってしまう。同時に、彼女への愛がまだ自分の中にあることを気付かされる。

「彼女はきっと来る」と断言したリックの台詞が、自信ではなく自棄だと解釈してこの場面に到達すると、酔って幻を見ている気持ちなのかな、と感じるリックの眼差しでした。
釈明に来た女性に対してネチネチと小者っぷりを遺憾なく発揮するリックは、主人公の癖に格好悪さ全開ですが、イルザを傷付けた言葉の刃で一緒に自分も傷付いているところが分かるので、憎めないように思います。
さて、これまた観劇時の楽しみだった本舞台全員のストップモーションですが、残念ながらしっかりは映っていません。1回目は全体を引きで撮っているため確認できる(でも直ぐリックに寄ってしまう)のですが、2回目はサムとフェラーリの身体の一部が見えるだけです。本当に残念。

実は、ここまでのカサブランカ第一日目のお話は登場人物紹介のみで、まだ何も物語は動き出していないんですよね。それなのに見所満載で濃厚な1幕で、もう重大な展開が何度もあったかのような印象です。
実際、現在のお話が動き出す2幕より1幕の方が、色々な人間が蠢いている感じが合って個人的に好きでした。でも2幕も当然見所がありますし、DVDで観直すとまた違った面白さを発見できるものなので、先のDVD感想ものんびり楽しんでいきたいと思います。
と言う事で、2幕へ続きます! 今年中には終えられそうですね。

【1幕第13場 ラ・ベル・オーロール(パリB)】
二人の間には愛が芽生えるが、ある日ナチスがパリに侵攻してきた。

唐突に下世話な視点で申し訳ないのですが、DVDで初めて「イルザに胸がある!」と思いました。
デュエット「過去は聞かない」のカメラワークは、アングル変更が激しくて少々落ち着かないです。双方の表情を撮りたかったにしても、二人を交互に映すより、銀橋全体から段々二人に迫っていくような感じで撮った方が、ロマンティックなムードが出たのでは。
その後の「パリにナチスが」の方は結構良い感じで撮られているので、すべてのアングルが不満と言うことではないのですが、アングルによって演出印象が変わることにも注意して編集して欲しいですね。

【1幕第14場 パリの街角(パリC)〜戦場の記憶】
リックはレジスタンス時代の記憶を夢に見て魘される。リックは、武器を捨てたのだ。

リピート観劇の大きな目当てだったシーン。DVDでも毎回凄く楽しく見ています。
群舞も比較的しっかり映っているので、全体の動きや振り付けが見えて嬉しいです。不満はセザールとリックの殴り合いシーンが映っていないことですね。あそこで敢えてラズロを映す意図は、まだ読み取れていません。
背景一杯に映し出されたナチス軍旗には、舞台時より迫力を感じました。

【1幕第15場 ホテル(パリD)】
リックはイルザにプロポーズし、二人はマルセイユに逃げて結婚する事を約束した。

またも下世話な話。
このシーン、イルザがローブに着替えているので“行為後”であることを暗示してると思うのですが、鬘の分頭が大きく見えるのか、イルザが幼い印象で、ちょっとそこまで邪推し難いです。
しかし、手紙が届いた後のイルザの演技の自然さと、感情の揺れ方の表現は凄いと思います。

パリの回想が1回分で語りきれませんでした。次回に続きます。