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前日記事の続きで、「髑髏城の七人」キャスト評です。
脚本の変更点に関しては色々言いましたが、キャストは本当に素晴らしかったです。

捨之介@小栗旬
背が高くて、パッと目立つのが正に主演の華。
役者の持ち味の差で、捨之介が、古田新太の「胡散臭いおっさん」から「腕が立つ心優しい青年」と言うキャラクターになって、分かりやすくヒーローだと思いました。
で、チラチラと見える太股は、サービスなのでしょうか?(笑)

天魔王@森山未來
冒頭が天魔王の登場シーンからだったので「アオドクロ」風の天魔王なのかと思いきや、喋れば喋るほどボロが出る小物な天魔王でした。
「アカドクロ」の時は勝てそうにない「ラスボス感」に溢れていたのに、森山天魔王は「最強の鎧」さえなければ勝てる相手だと感じました。髑髏党のメンバーが全面服従しているのが不思議で、ラストは将監に裏切られるのではと疑いながら観ていたくらいです。
小物なのは役者本人も意識しているようですが、それにしてもあそこまで観客に笑われる天魔王で良かったのかな?
動きは、森山未來なので美しく、特にマント捌きは素晴らしかったです。個人的には、信長公を意識した赤マント衣装の時に見せる「高速すり足」が、今回の天魔王と言う人物を現していると思えて、ツボに入りました。
途中、切り結びながら相手に投げている言葉が、実際は天魔王自身への皮肉になっているな、と時々感じるのが面白かったです。
捨之介を捕らえる時に豊臣兵に勝てるのかと問われ、「勝てるさ」と答えたのだけ少し疑問です。あの時にはイギリス艦隊の反転を知っていたのだから、勝てないと分かっていた筈。ブラフにしては淡々とし過ぎていて、あのシーンにおける天魔王の考えのみ謎です。

蘭兵衛@早乙女太一
殺陣の早さはお見事としか言い様がありません。天魔王と戦うシーンは、2人の切れ味が素晴らしくて、
台詞は抑えて喋っている時と激昂する時で全然変わってしまうのが、個人的に気になりました。もう少し滑舌も研究して欲しいかな。
2幕の狂気に走ってからは、もう少し正気と狂気の境目に立っているような刃の切れ味が欲しいと思いました。水野美紀は演技が巧かったんだな、と改めて感心。
蘭兵衛は、女優でも男優でも難しい役ですね。

極楽太夫@小池栄子
遊女を救うため、太夫が裸になろうとするシーンは、なかなか色っぽくて素敵でした。
実にきっぷの良い姐さんで格好良かったです。反面、情感が薄いのか、実は兵庫を憎からず想っていると言う面が感じられませんでした。
太夫の頃と戦装束で、あまり差を感じなかったのは何故かな。マントがなかったからかも。また、ガトリングガンが比較的現実的なサイズになっていたのが、絵的な派手さが減って少し残念でした。

兵庫@勝地涼
この公演で、一番の収穫だと思った役者です。
橋本じゅんをなぞった演技ではあるのですが、観ていても決して橋本じゅんの物真似とは感じないと言うことは、自分の役としてモノにしているのだろうと思います。非常にハマってます。
台詞の滑舌も良いし、格好良いし、程よく軽いし、可愛いし、あとは鎌捌き(笑)が巧くなったら完璧ですね。
百人斬りのシーンは、昨日脚本的には文句を書いたけれど、舞台的には兵庫が相棒役をやったことで躍動感が出て見応えがあったし、刀を投げて交換するのも非常にスムーズで素晴らしかったです。

沙霧@仲俚依紗
「アカドクロ」の佐藤仁美と台詞回し、声のハスキー具合が同じように聞こえて吃驚しました。終盤、声がガラガラになっていたので、千秋楽まで保つか心配です。
爺と父親が目の前で殺される形に変更されたので、沙霧の絶望と怒りの爆発に納得できました。本人も、体当たりの素晴らしい演技でした。
後は、捨之介との年齢差がなくなったことで、2人の間の繋がりが「恋愛感情」に傾いたと感じました。だからこそ、出会いはインパクトのある救出劇で観たかったな、と思います。

贋鉄斎@高田聖子
登場した瞬間、「こうきたか!」と大ウケしました。
とにかく登場シーンで全部持って行った気がします。脚本的には、ちょっと「役不足」で勿体なかったですね。

将監@粟根まこと
眼鏡をかけてない、というところに実は一番驚きました。印象が変わりますね。
捨之介を天魔王として告発する役目は、豊臣方に捕らえられることが前提で、当然自分も死ぬことになると思うのですが、それでも良いくらい天魔王に心酔していたのか……と言うところだけがやっぱり疑問です。

三五@河野まさと
安心と信頼の裏切り男。
思った通りのタイミングで裏切ってくれる心地好さに浸っていたら、まさかの「剣を抜いて敵に勝つ三五」に裏切られました(笑)。
沙霧を助ける時の寝返り理由が分かり難かったのが少し残念でした。
後でプログラムを見て、他のキャスト陣との年齢差に吃驚したのですが、とんでもない童顔ですよね……。

狸穴二郎衛門@千葉哲也
体型の問題として、いまいち狸じゃないのが気になりました。無界の里の男性陣2人の方が恰幅が良かったので、余計にそう感じたのかも知れません。
今回、およしとの恋が盛り込まれたので、人間的に面白さが出たなと思います。

磯平@磯野慎吾
「アカドクロ」で不愉快だったのが磯平の登場シーンだったのですが、今回は役者任せのアドリブ(※)でなく、きちんと演出として分かるようになっていたので気になりませんでした。
そこがクリア出来ると、あとは演技の巧さに圧巻されるばかりです。鎌捌きも非常に鮮やかでした。

※前も演出だったのかも知れないが、ただの悪ノリに観えた。

劇団☆新感線「髑髏城の七人」12:30回@青山劇場。
http://www.dokuro2011.com/

面白かったです。
が、DVDで観た「アカドクロ」の完成度には及ばないとも思ってしまいました。
捨之介と天魔王の二役と言う最大のポイントを取り払い、影武者設定を消した意図はプログラムを読めばわかるのですが、やはりそこは作品の胆だったのだと思います。
捨之介の解放を説得で得て、天魔王の鎧兜と引き換えに褒賞を手にするのは、正直に言ってカタルシスに欠けました。
そもそも家康の立場になれば、「猜疑心の強い猿」相手なのだから、今回の展開ならば例え真実と違うと分かっていても、捨之介の首を獲らねばならなかったはず。沙霧たちに「2度と姿を現すな」と命じる理由も、ボヤけて良くわかりませんでした。

沙霧が捨之介に正気を取り戻させるため斬鎧剣を使い、贋鉄斎が研ぎ直しをすると言うエピソードも、下記の点から失敗していたと思います。

  • 斬鎧剣は研ぎ直せば使えることになり、一発勝負の緊張感が薄れた。
  • 百人斬りの相棒が兵庫になったため、贋鉄斎が明確に戦うシーンがない。
    結果、誰が「七人」なのか印象がぼやけた。

また、沙霧が最初から無界の里にいるのは過去の公演でもあったパターンのようですが、捨之介に助けられてから無界の里に行く方が好きです。
非常に短い期間の話なので、出会いにインパクトがあった方が、2人の関係としても巧く纏まるように思うためです。

と、色々言っても「いのうえ歌舞伎」の爆発力は確かなものなので、普通に面白かったので、細かいことに突っ込むのは野暮ですね。
時間が遅くなってしまったので、キャスト評はまた明日に持ち越します。

劇団☆新感線の代表作「髑髏城の七人」アカドクロ版をDVD鑑賞。
http://www.akadokuro.jp/index.html

八百屋舞台の上で立ち回りに次ぐ立ち回り! 出演者は大変ですね。
全体の印象として、アカドクロ版の登場人物は泥臭いですね。血と汗と涙が混ざった体臭がしそうな、ダークファンタジーの中のリアル感。それが、無骨な格好良さを生んでいると思いました。
中島かずき氏の脚本は、多数の役に無駄がなく、各所で広げた要素をラストをキチンと収めるプロの技を見せてくれました。ハッピーエンドなのも良かったです。
また、映像としては劇シネ用カメラによる素晴らしいアングル編集も然ることながら、舞台上の照明効果が見事でした。

以下は、個々のキャストに対する簡単な感想です。

捨之介&天魔王(二役)@古田新太は、悪役の天魔王が新鮮でした。
兵庫@橋本じゅんは、「五右衛門ロック」同様のコミカルな役所。芸達者なので、安心して観ていられますね。
でも実は、「七人」の中では三五@河野まさとが一番好きでした。一番「七人」になる理由が薄くて、一番役にも立たなくて、いなくても良さそうなキャラなのだけれど、何とも言えず可愛いです。
狸穴二郎衛門@佐藤正宏は、見事な狸親父でしたね。丁度宙組公演と時代設定が被ってることもあり、序盤で正体に気付きましたが、無茶な展開なのに「有り得るかも」と思えるのが面白かったです。

それから、女性陣3人。
中島脚本に出てくる女性は、逞しさと、尽くす面があると思います。そのそれぞれの面を色濃く持っている3人でした。
沙霧@佐藤仁美は、感情の動きが自然でした。美人ではないけれど、なんだか憎めない応援したくなる印象でした。
蘭兵衛@水野美紀は、人気のありそうな中性的な役ですね。ところどころで「女」を出した演出だった分、普段はもう少し男っぽい方が好みだったかも。
演出の変更部分抜粋映像では、蘭兵衛が白い花を持ち歩いている形になっていました。花を出しながらの立ち回り芝居は大変そうだし、あの状況でいつも綺麗な状態の花を持っているのは変な気がするけれど、ラストシーンは花があった方が綺麗に終ってると思います。
極楽太夫@坂井真紀は、とにかく凄く可愛い。登場時の色町メイクはチークがキツくて如何なモノかと思いましたが、中盤以降の雑賀衆衣装は「格好可愛い」路線で似合っていました。

邪鬼丸@山本亨は見事な悪役面ですね。印象に残る役者でした。
注文をつけるとすれば、磯平@磯野慎吾の登場シーンはやり過ぎだと思います。私の笑いのツボとは外れているので、そこだけ気持ちが引いてしまいました。DVD収録の部分でも長過ぎるくらいで、公演回数が進むに連れて長くなったバージョンに至っては内輪受けに感じました。
キャラの印象作りなら、贋鉄斎@梶原善のような洒落た形の方が好きです。この人は、存在感はあるのに舞台上にいても五月蝿くない。役者ですね。
あと、着ぐるみの猪が凄く円らな瞳で可愛かったです。あれはペットにしたい!

7年毎に公演されてきた「髑髏城の七人」。
今年、2011年版は捨之介と天魔王が別キャストです。一体どういう展開になるのか、楽しみですね。

劇団☆新感線の「五右衛門ロック」をDVD鑑賞。

まず、アングルが凝っていて感心しました。舞台DVDと言うより、映像作品として作ろうとしている姿勢を感じます。劇シネの方がもっと良いらしいけれど、充分満足でした。
コンテンツとしても、コメンタリーがあったり、楽の映像が入っていたりして充実してますね。歌詞字幕が英語、韓国語まで用意されているのも凄い。宝塚DVDも高額なのだから、このくらいサービスしてくれれば良いのになぁ。
ただ、顔が判別できるレベルで客席が映ってるのが気になりました。

内容の方は、場面の移り変わりが早いので驚きました。盆を使わず人力で動かしているんだけれど、それが凄く躍動感と力強さを演出してますよね。
このスピード感と、コミカルなやりとりにシリアスな展開と言う緩急もあるストーリーで、約3時間楽しく視聴できました。
思ったよりアンサンブルが大人数で驚きました。男性の殺陣は迫力ありますね。
唯一、歌になると何を言っているのか分からない事が多かった(主にイスパニア商人コンビ)のがちょっと難点でしょうか。

マイクが仕込んである扇や杖には笑いました。なんでワイヤレスマイクを付けてるのに持ちマイクいるんですか(笑)。ついでに、ロックで和物衣装だからか、BLEACHをちょっと思い出しましたよ。加藤学も出てるしね。
松明が本物の炎のように視えましたが、実際はどうなんでしょう。東京ではコマ劇場公演だったんですよね。あそこは火気OKでしたっけ?

五右衛門@古田新太は、さすがに劇団の看板役者として主演をはっているだけあって、体格も大ききければ存在感も大きい。実はかなり出番がないのに、やっぱり主役として決める所は決めてるのがお見事。
でもそれに対するクガイ@北大路欣也も、さすがに役者としての格がありますね。真ん中に立ってるだけで、この男には敵わない、と思わせる迫力。これは的確な配役だったと思います。
左門字@江口洋介って、ドラマで見掛ける度に毎回思うけれど、人情キャラがハマり役なんですね。ルパン三世における銭形みたいなもので、出て来ないと締まらない、オチが着かない、と途中から出てくる事を期待するようになって面白かったです。左門字やカルマなどの客演にちゃんと美味しい役を用意出来るのは良い事ですね。
カルマ@森山未来は、とにかく身体能力が凄い。マント捌きも含めたダンサーならではの動き。腕が長いのも見栄えに影響してますよね。しかし今回初めてちゃんと顔を認識したのですが、かなり独特の顔ですね。あの、正直に言うと爬虫類系と言うか……。歌声も凄い特徴的。でも滑舌が良いから何言ってるか分かるのは助かりました。でもとにかく巧いので、ファンが多いのも納得。顔の善し悪しじゃないんだな。
後は、ボノー将軍@橋本じゅんが駄目男で好きです。悪い男なんだけど、あれだけヘタレてると、憎めないですよね。