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お台場シネマメディアージュにて、「大空祐飛ラストデイ」中継に参加。
これは、東京宝塚劇場で上演する宙組「華やかなりし日々/クライマックス」千秋楽、およびサヨナラショーを生中継したライブビューイングです。

……の前に

最後の思い出作りとして、チラとでも様子が見えたら良いなという心境で、生涯最初で最後の入待ち(楽屋入りの様子を見ること)に行ってきました。

退団者より前に、凰稀、北翔、蓮水&鳳翔、凪七&七海、澄輝といった面々の楽屋入りに遭遇しました。
みんな、細身の長身で格好よかったです。

退団者たちの入りは、粛々と行われてとても清々しい気持ちになりました。風莉氏へのファンの言葉が面白かったのと、すみ花が何か答えて笑われていたのが印象的でした。
大空氏は、揃いの白いガードが囲む中、劇場前まで車で直接乗り付け。
素顔メイクに黒スーツで揃えた凰稀以下男役スター陣で大空氏を出迎え、御輿に乗せてくれた御陰で、後ろからこっそり覗くギャラリーでもよく見えました。
そして、御輿を降りた大空氏は、薔薇の花束と共に待ち構えていたすみ花を抱き寄せ、腰に手を回して胡蝶蘭のアーチを潜り抜けていきました。

残念ながら私の立てた位置はみゆき座側の方だったため、劇場に入ったあと、組子が全員集合して盛り上がっていた模様はまったく見えませんでした。
でも、最後の日に生身の大空氏をしっかり目撃できたので満足して中継に向かったのでした。

そして、中継で

笑顔でお別れするつもりが、予想外の涙に襲われました。

芝居はコメディ調ですし、アドリブもあって楽しく観ていました。ショーの方も、舞台上の集中力の高まりがカメラを通しても伝わってきて、惹き込まれて観ていました。
平常心はサヨナラショーが始まっても続き、過去の公演歌に合わせて顔付きが変わる大空氏に「役者だなぁ」と感心しつつ観ている余裕があったのですが……
サヨナラショーの最後、「銀ちゃんの恋」最終場面の再現芝居。棺桶から倉岡銀四郎に扮した大空祐飛が飛び出た瞬間、突然涙が溢れ出てしまいました。
ラストソングが「蒲田行進曲」であることは予め聞き知っていましたし、それなら楽しい最後になると思っていましたし、確かにみんなノリノリで笑顔全開でした。が、中継の客席は、物凄い勢いの手拍子と啜り泣く声で埋め尽くされていました。

幕が降りるのに従ってクールダウンしたのか、挨拶は落ち着いて聞けました(風莉氏の略歴紹介に至っては笑わされましたし)。
その後は何度も何度もカーテンコールが繰り返されたため、どのタイミングだったか記憶があやふやですが、カメラを真っ直ぐ見て「中継会場のみんなも、本当にありがとう!」と言ってくれた瞬間、中継会場の皆さんと一緒に歓声をあげ手を振ったのですが、同時に身体に残っていた最後の涙が出ていきました。
ただのライブ中継のため、公演会場側にはこちらの様子が見えも聞こえもしないのですが、実は中継会場でも、拍手したり手拍子入れたり「YUHI!」の振りをやっていました。
それがちゃんと彼方側に伝わってるような感じがして、本当に最後に不意討ちで泣かされました。

麻生は正直、今はただ空っぽな気分です。
でも、楽しかった。素敵な5年間でした。

宝塚宙組「華やかなりし日々/クライマックス」18:30回を観劇。
舞台上の生の大空氏、見納めです(ラストデイは中継参加)。

公演初期より、どの生徒も役や歌を自分のモノにして巧くなっているのが目に見えて分かりました。生の舞台の面白さを改めて実感です。
特にショーのワンシーン「ローズ・ラメント」は緊張感が一層張り詰め、私の笑いたくなる気持ちも消えました。総踊りになってからは長過ぎるとは思うけれど、好きな場面になってきました。
あと前回書き忘れましたが、星吹彩翔がロケットダンスの時に女性的な動きをしていたので驚きました。いつもは男っぽく直線的に踊っていましたが、ロケットは少女の雰囲気を出す為に軟らかい曲線の動きで踊るようにしているのかと思いますが、だとしたら凄い役者ですね。

黒燕尾で揃えた男役の群舞の頂点に立つ大空氏を観ながら、男役としてここまで極めたか、と思いました。
ファンゆえの特別視だ、との指摘は甘んじて受けます。
実際、オフの素顔が男らしいとは思わないし、彼女より「野郎っぽい」と感じる男役も存在します。
なにより、ミュージカル俳優としては歌唱力やダンス力など諸々のスキルが不足している人だと何度も思い、書いてきました。
けれど、あらゆる男役の系譜を飛び越えた自分だけのスタイルを作り上げたのは間違いありません。
ダンスが巧い生徒は何人もいるのに、黒燕尾の群舞で一番美しかったのは彼女でした。恐らく、男役として自分を最も美しく見せる型がある。それは、指先、視線の動きと言った細かいポイントの積み上げなのかもしれませんが、その20年かけて探求し続けた結果を、いま実際に目の当たりにしていることに感動させられたのでした。

……そう思わされるあたり、この人は観客に勝手に妄想を抱かせる「余白」作りも巧い人だったなぁと思います。

宝塚宙組「華やかなりし日々/クライマックス」11:00回(阪急交通社貸切)を観劇。
司会はOG達つかさ。開演挨拶に寿つかさ組長が登場した際、客席から「兄弟!」と声が掛かり、2人がギクシャクしていたのが印象的でした。貸切といってもファン貸切みたいな感じで、「L・O・V・E・Y・O・ユウヒ」の掛け声はバッチリでした。
今回もロケットの衣装が外れてしまった子がいました。これだけ頻繁に起こると言う事は、マジックテープとかじゃなくて、わざわざ首紐を結んでるのでしょうか?

全体的な感想は前回の記事で述べたので、今回はキャストごとの感想です。

ロナウド@大空祐飛は、銀橋から去る時の悪戯な笑みと、「カサブランカ」を彷彿とさせるけれど足取りは軽いラストシーンに、かつて機関誌「グラフ」の就任特集号で「ルパン三世がやりたい」と語っていたのを思い出しました。退団と公演内容を重ね合わせて勝手に感じ入っていますが、そういう妄想力を刺激させてくれる得難い贔屓役者でした。
ジュディ@野々すみ花は、鼻っ柱が強過ぎる気はするけれど、可愛い女性。クラブヴィーナスでの歌がかなり良くなっていて、ロナウドが見初める展開に説得力が出て来ました。衣装があまり好みではないけれど、ショーでは良い衣装を着ているので満足です。
アーサー@凰稀かなめは、ロナウドを追い詰めるシーンが古畑任三郎になってしまうのが微妙。男役の喋り方をもっと研究して欲しいと切に願います。銀橋を渡る度に、スタイルの良さに圧倒されます。
ニック@北翔海莉は、実力が突出したレベルで安定していて、ある意味3番手の枠に収まらなくなってきた感じ。「悪い」表情をすると格好良いので、笑顔を封印して演技してみて欲しいな、と思いました。

ジーグフェルド@悠未ひろピーター@蓮水ゆうやは、夫婦漫才のような面白さ。アンナ@純矢ちとせより、ピーターの方が女房みたいですよね。
セシル@美風舞良は曲者だけれど、ジーグフェルドガールズはみんな可愛かったです。オーディションで本を頭に乗せて歩くシーンは、なにか仕掛けがあるのでしょうか。
ポーラ@すみれ乃麗は、抜擢されるのが自然に見える演技で良かったです。

ホワイト@七海ひろきは役不足が否めないけれど、ジーグフェルドと同年代のライバルという印象を受ける大人びた雰囲気作りは感心しました。
へディ@鈴奈沙也は、怪演。あの調子、あの迫力で歌えるのが素晴らしい。

キング@鳳翔大は、「鳳翔大」という素材を生かした役。格好よくて、三枚目。子分たちに慕われているのも頷ける可愛いキャラクターでした。
ジミー@風莉じんとジョセフィン@藤咲えりは、17場(それぞれの思惑)の歌とストップモーションが完璧で、惚れ惚れします。
少年ロナウド@星吹彩翔は、巧すぎて毎回感動します。
あとは、ショーで鳳樹いち蒼羽りくが対で使われているのを見て、「銀河英雄伝説」で双璧を演らせてみたかったと思いました。

それと、今回特筆したいのはエトワール(風莉じん・花露すみか・百千糸)。
複数人から構成されるエトワールは、歌上手同士でも声質が合わなかったりするものですが、今回の3人エトワールは非常に素晴らしい歌唱を堪能させられました。全員声が丸くて合い易いんですね。これだけの歌ウマが揃って退団するのは本当に惜しいと思う反面、ショー第2景のカゲコーラスを研究科2年の2人(夢なつき・留依蒔世)が勤めている等、これから更に新しい戦力が出てくる予感にもワクワクさせられます。

宝塚宙組トップコンビ退団公演「華やかなりし日々/クライマックス」15:30回(東京初日)を観劇。
今回、大劇場まで遠征できなかったため、本日が初見です。

初日には何度か足を運んでいる筈ですが、初めてカウントダウンチケットを受け取りました。組長の「669日前の今日」という説明に、客席が笑っていたのが印象的でした。なんの数字の区切りでもないじゃん(笑)。

芝居「華やかなりし日々」は、キャストへの宛書き脚本で愉快な軽い話で楽に観られますが、言い方を変えれば薄くて辻褄が合わない。
例えば、ニックがキャサリンにイミテーションの宝石をプレゼントするエピソードは、詐欺を発覚させる手掛かりとして必要だと分かっているのですが、女性の視点からしたら恋人に対する愛情に欠けているのでなぜそんなことをしたのか理解できません。
ボスであるロナウドも、幼馴染みのロイに関する行動が主役としては問題ありで気になります。ロイの名前を呼んだので、ロナウドは暴漢=ロイだと認識しているんですよね。とすれば、警察に掴まったロイが自分の正体を喋る可能性があるのに、ジーグフェルド相手の詐欺に勤しんでいる時点で、どこが知能犯なのかと……。
それと、舞台機構好きとしては盆やセリが動かなかったのが不満でした。暗転が多過ぎる。大劇場デビューの演出家が舞台機構をフル活用するのって難しいのかしら。
人物の書き込みが少ないのも残念。七海ひろきは役の出番が1場分だけとか、終演後に慌ててプログラムを買って驚きました。ジョージ・ホワイトがアンナを連れて公演開始前にフローレンツに嫌味を言いに来るとか、なにか少しでも人間関係を広げることが出来そうなのになぁと思います。モブであと2場出てたので、前回雪組の沙央くらまよりマシかも知れませんけれど。
作品全体の雰囲気は、お洒落で小粋な感じでした。

ショー「クライマックス」は、クライマックスの連続という作品紹介がされていましたが、同じ三木先生演出の花組ショー「カノン」よりは緩急があると観じました。
映画「羅生門」(芥川龍之介「薮の中」)のように異なるパターンの殺害シーンが描かれる「ローズ・ラメント」以外はどの場面も好きです。何といっても、衣装が美しいのでストレスなく観ていられます。オペラグラスを使う暇がないくらい展開も派手で楽しかったです。
プロローグのコロスの素晴らしいコーラスで、とにかく掴まれました。
「ハスラー」で、下手から階段の手すりを滑り降りてくる娘役3人に密やかなエロスを感じてドギマギしました。
「ローズ・ラメント」は、最初は期待させられたのですが、殺害シーン3回目以降はシュール過ぎて笑ってしまいました。あんなにテンポ良く殺し合われると、喜劇になっちゃうんですね。意図がもっと伝われば格好よく感じるのかな。
なお、ロケットでハプニングがあり、衣装の首元が外れたまま踊っている子が1人いました。幸い、胸が露になることはなく、最後まで笑顔でした。あと、1人ちょっと転んだのかな?と思われる瞬間がありました。

チケットが完売済みで生で観られる機会は限られているため、一回一回を大切に千秋楽まで追いかけたいと思っています。