ペイトン著「運命の馬ダークリング」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
貧しい家庭の末子ジェニーは、トラブルメーカーの祖父が競り落としたサラブレッド・ダークリングのため、厩舎員として働くなるようになる。母との軋轢や彼女以外の人間には懐かない馬に苦労するも、遂にダークリングがレースで優勝し、莫大な賞金を獲得する。だが田舎に一人残された祖父が癌であることを知ったジェニーは、恋人とダークリングの渡米を見送り、一人祖父のもとに残ることを選ぶ。

半生を捧げた競走馬に報われるシンデレラストーリーかと思いきや、最後に寂しさが残ります。
ただ、このお話はあくまでジェニーの人生の一部であって、今後はまた未来が開けるかもしれないんですよね。
確かに、恋人のゴダードとは、離れ離れになったら巧くいかないだろうけれど、その代わりに半分血の繋がっている弟という、絶対に消えない絆を手に入れたわけだし、どちらがいいのか分からないなぁ。

2作目ですが、非常にペイトン作品っぽい感じ、という印象を受けました。
女性たちはエゴが強く、結構スキャンダラスな要素もあり、好き嫌いで言えばあまり受け付けないタイプ。
それでもジェニーは主人公なので心情がしっかり描写されていて、それなりに共感もできるのですが、主人公の母親は最後まで苦手でした。
ちょっと感心したのは、祖父マーフィーの描写です。本当にトラブルメーカーで、身近にいたら勘弁してほしい感じですが、どこか愛嬌もあって本気では憎めませんでした。

そして、単に馬愛好家だった「フランバーズ屋敷の人々」と違い、こちらは馬で生計を立てる話なので、馬の描写に一層力が入っています。
私は競走馬育生を描いた漫画「じゃじゃ馬グルーミンUP!」を読んでいるので、そちらで見た厩舎や競りのイメージと合わせながら、楽しく読めました。

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