ペイトン著「バラの構図」
【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
田舎に引っ越した少年ティムは、自分と同じ「T.R.I.」という頭文字が入った絵と墓を見つけてから、その少年トムの幻を見るようになる。幻に導かれ、60年前に亡くなったトム少年の生き方と死の理由を探るうちに、ティムは自分の生きる道を見出だしていく。
ペイトン作品で、初めて読了後にホッとしました。
とても等身大で、現代日本の青少年にも通じるリアルな感覚のお話だと思いました。
絵を描く才能を持っているけれど、金持ちで恵まれているけれど敷かれた道に迷っている少年ティムと、貧乏で暇なしで苦労しているけれど特に生活に疑問を持たない少年トムという2人が交互に描かれ、似ているところ、違うところを様々に感じさせます。
トム側のエピソードは、早世するとわかっているためか、どこか暗い寒さがずっとあり、モノトーンの世界で脳裏に描かれるのが印象的でした。
最終的に、ティムは親に敷かれたエリートコースは拒否するものの、貧しい労働者の生活を良しとして淡々と生きることもない、どちらも求める自分を認めているところが良いと思いました。