ライマン・フランク・ボーム著 柴田元幸訳「オズの魔法使い」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
竜巻によって家ごと不思議なオズの国に運ばれてしまった少女ドロシーは、故郷カンザスへ帰るため、魔法使いオズへ会いに行く。しかし、大冒険の末に会ったオズは、魔法使いではなくただの人だった。落胆するドロシーだが、実は彼女がオズの国へ来たときに手に入れた銀の靴は、所有者を望みの場所へ運ぶ魔法の道具だったと分かり、カンザスへ帰還する。

登場人物や、ドロシーがオズに会いに行って、実は……というあらすじは常識のように知っているのに、細部は全然知らなくて、こういうお話だったのか、と驚きながら読みました。
短い寓話なのにテーマを織り込んだらあらすじが常より長くなってしまいましたが、要は、脳みそのないかかし、心がないブリキの木こり、勇気がないライオンはもちろん、銀の靴を手に入れたドロシーも、実は「最初から望むものを持っていた」というお話なんですね。

女の子が不思議の国を巡る冒険潭。とても明るく前向きで気分が良い作風は、アメリカ合衆国生まれのファンタジーだからかな、と思いました。
なにより、仲間がみんな「いい奴」なんですよね。
誰もが少女のドロシーをちゃんと立ててくれるし、お互いを見捨てず、勇気と知恵で乗り越えていって、最終的にはみんながそれぞれ幸せを掴み、周囲からも認められるので、読了感が良かったです。

解説によると、「オズの魔法使い」は人気作になったため、続編が多数作られたそうですが、ドロシーはカンザスに帰っているのに、どうやってオズの国のお話を続けているのか、気になりました。

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