ボーモン夫人著 鈴木豊訳「美女と野獣」

15編のフランス童話集。教育者であったボーモン夫人の作品だけあって、どれも子供に読ませるのに最適の教訓が含まれた、道徳的なお話ですけれど、面白味もあって、優れた図書だと思いました。
収録作の中では「美女と野獣」と「三つの願い」が有名だと思いますが、原典はこういう話なんだな、と勉強になりました。例えば、美女と野獣の商人の家には、ベルと姉2人だけでなく兄3人がいて、意地悪な姉2人は石像になってしまうなんて、本書を読むまで知りませんでした。

基本的に愚かな者は報いを受けるのですが、「美しい娘と醜い娘」(原題“Bellotte et Lalderonette”)は少し違う展開で面白かったです。
美人だがオバカな姉ベロネットは王妃になるも、あっという間に王の寵愛を失って離縁されてしまう。醜い妹レードゥロネットは年上の大臣と結婚するが、非常に聡明なので夫からも王からも大事にされる。——と、ここまではよくある童話なのですが、このあとベロネットはレードゥロネットの助言を受けて勉強し、賢さで王の愛を再び手に入れるという逆転物語なのです。
一度間違っても、やり直しがきく優しさがあって、素敵なお話だと思いました。

カバー装画(東逸子)も素敵ですが、本文中の挿絵は、19世紀初頭の版で使われていた石版画ということで、お伽噺の雰囲気を盛り上げてくれます。
ただ、訳に若干引っ掛かって、浸りきれなかったのが残念です。

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