先日、星組版ホゲ役の凰稀かなめが、怪我でイベント関係休演の公式発表あり。組替後&番手大幅アップの不安定な時期の怪我は辛い事と思いますが、今は大事を取って養生し、そして半月後からは素晴らしいホゲを演じて「星組・凰稀かなめ」を披露してくれるよう願います(でも足指の骨折って半月で完治するのかしら……)。

僻地より祈りつつ、引き続き花組版感想。
1場分だけですが、4シーン詰め込まれた佳境なので、自分でも感心するくらいダラダラと長文感想になりました。

【第9場 国内城内】
マッカツで白虎の神器を見付けられなかったホゲは、契丹へ遠征する事にする。
火天会のサリャンはホゲに、プルキルの正体と目論みを明かすが、裏切りを察したプルキルに殺されてしまう。ホゲはプルキルと取引し、朱雀の神器を手中に収める。
契丹遠征を知ったタムドクは、戦争を止めるためホゲの後を追う……

まずホゲ側。ホゲから「お前の水晶玉、もう信じはしない」&「もう聞き飽きた」と反抗されて一瞬固まるプルキルの反応がちょっと可愛いです。
ヨン・ガリョは、息子の暴走具合に腰が退けて、最早完全に止める方向。チョジュドはそう言った状況諸々に対して嫌気が差してそうな様子。
ホゲ様が「勝てば神器を探せる」と言った時、DVDは薄く笑っている上に瞳に狂気を宿している表情を真正面から捉えています。ヤバい人だ、と思うと同時になんて格好良いんだろうと身悶え。キハの妊娠が、精神に相当影響してる気がします。当人から早く神器を探すようプレッシャーも掛けられてたし、結局この人はキハに人生狂わされたんですね。その上ドラマではキハ自身を愛しているらしいのに対して、この脚本ではキハを愛してもいないと言う事に哀れを感じます。

続くタムドクチームは、なぜか0番周辺のヒゲ率が高くて面白いです。学年の高い人がセンターにいて、上手下手が下級生と言う配置なのかも。珍しくタムドクなしで仲間達だけが騒いでる短いシーンですが、これ、単純にタムドク着替えの時間稼ぎと言う疑惑が私の中に残ります。

再びホゲ側。その場面転換の際、高句麗軍の兵士達が旗持って左右に散る演出が華麗です。その奥で地図を見ながら軍議中らしいホゲ様も素敵な将軍っぷり。
この場のメインであるサリャンの密告は、予想外のホゲアングル収録で、通常アングルと合わせてくり返しリピートすると、サリャンの必死さとホゲの揺れてる感情が見えてきて楽しいです。
さて、演じる華形は私の好きな役者ですけれど、正直な感想として、サリャンはもっと屈折した性格の役者が演んじた方が良いかもしれないと思いました。華形は真っ直ぐ過ぎて、役の幅がまだ「一本気」的。どうしても正義漢っぽくて、私には彼がキハを愛していたように見えませんでした。
花組観劇で三回続けて華形が死ぬ役か、と言う個人的な気持ちもありますけれど(笑)。

それにしても、何故サリャンはホゲの元へ密告に来たんでしょう。
ホゲがキハを愛してるから止めてくれると言う幻想も抱いていない様子だし、物語として考えれば、タムドクに本当のことを打ち明けて助けを求めると言う選択肢もあったはず。
でも恐らくサリャンは、ホゲならプルキルに反論して意を通せると思ったから、彼を選んだんですよね。実際、プルキルは何時でもホゲを見限れる立場なのに、ホゲを尊重してる姿勢を一度も崩さないのですが……さて、プルキルは計画通り事が運んで、世界を手中に収めたその時、ホゲをどう処理するつもりだったのでしょう。
6場の感想も踏まえると、プルキルにとって、世界を治める事は副産物であり、本当の狙いは愛するカジンの火の力を手に入れる事だったのではないかしら。だから、面倒な世界の統治をホゲが引き受けてくれるなら、それで良かったのかも知れませんね。

それにしても、ホゲがまだプルキルを西域の商人だと思っていた事に、どうしても突っ込みたくなりますね。それとも、高句麗の商人は誰でも水晶玉に遠くの情景を映したり人を操ったり出来ると言うのか?
暗黒道に半身浸かり、契丹遠征を決めた時は狂気メーターが振り切れていたホゲですが、軍備を整える内に正気が半分くらい戻ってきた模様で、顔つきがまた違います。赤ん坊を殺す計画を聞かされた瞬間はかなり揺れてますよね。
密告内容を吟味している時点では、まだどちらに転ぶか検討中と言う印象。ですが、サリャンの目的を質した事で、キハへの想いを読み取ってしまい、心を閉ざしてしまったのかなと思います。「お前もあの女の虜か」と零す、凄くクールでSッ気で突き放した顔!
これを引き出すキーだと思うからこそ、前述通り華形にはもっとキハを愛してる想いを出して欲しかったです。役柄上、敢えて抑えてるんでしょうけれどね。
ヤン王の件は、そう言えばホゲは真相を知らなかったんですね。後でタムドクに真実を明かす為に、ここで知っておく必要があっての会話でしょうが、これもサリャンは正直に語り過ぎたなと思います。ホゲからすれば、結局キハはタムドクの為にしか行動してないと聞かされたようなもの。途中で話を聞かずそっぽを向いてしまってます。
それでも、サリャンが掴まった後は、少し戸惑うのですね。とは言え結局は二人のやりとりを見詰めたまま、最後には縋り付く遺体を蹴飛ばし、自ら引き返せない所へ進んでしまう。一幕5場の頃からの落差と、これ以降の目つきに、SWエピソード3が被ると言うのは言い過ぎかしら。

段々ホゲ様とどちらが好きか分からなくなってきた恒例のイルスチェックは、まず軍議の時の微妙に小さくなってるシルエットが性格出ている事と、取引直後に報告に現れる時の「将軍〜!」の呼び掛けが余りに子犬状態で、結局可愛いとしか言えません。
その可愛い部下から「全軍揃いました」と言われたホゲの方は、一瞬で複雑な表情を見せてますね。何かを飲み込んで、躊躇いを見せ、けれど決意している。
もしかすると、先にこの場のホゲは半分正気と書きましたが、この時は完全に正気が戻ってるのかも。出陣の号令も、これまでなら力む台詞の時は狂気が現れた演技をしてるのに、それを通り過ぎた冷静さを感じます。
よく考えれば、この後の戦場の行軍シーンも、一幕の頃の顔に戻ってるような気がしてきました。
正気を取り戻したのに、いや、だからこそ敢えて地獄に進むのでしょう……。

一方、新しいマント付きの最終衣装に着替えたタムドクを迎えたタムドクチーム。
チュムチはパソンからお守りとして白虎の神器を譲り受けますが、神器は、どういった価値の品物に見えるんでしょうか。チュムチは純粋に喜んでるけれど、性格が明るい彼なので、お守りを貰った!という事で喜んでるだけかなとも思いますし、よく分からないですね。
10秒くらいしか登場シーンのない、黒い妊婦服姿のキハ。これは8場の上着の中の服みたいですね。上着がないだけで印象が随分変わります。

次回は、ホゲ様最期の見せ場、戦場です。熱く語るのは確定として、ついでにその勢いでラストまで到達出来るでしょうか?

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