今野緒雪著「マリアさまがみてる」シリーズ

マリアさまがみてる マーガレットにリボン

「マーガレットにリボン」は、この段階でまさかあると思っていなかった短編集。ちょっとボリュームが物足りない感じでしたが、いつもサブキャラの短編が多い中、メインキャラによる本編補足的な短編集と言うのは新鮮な気がしました。
一番面白かったのは「ライバルがいいの」かな。山辺氏の人物が分かるほど、江利子はこの男性の何処が良いのかよく分からなくなりますが。
「デビュー」は、ちょっと驚きました。私も、小中高一貫だったため、大学進学を機に自分のキャラクターを変えたので、蓉子の気持ちも分かるなぁと。大学生活の描写の初めの時点で、全然変化できてないじゃんとは思いましたが(笑)。
「僕の兄妹」では、「チェリーブロッサム」で志摩子さんの秘密がイマイチ頷けなかったのですが、こういう事情だったのかと思いました。
私の友人にもキリスト教系の私立学校に通っていたお寺の子がいたので、そんなにリリアンに通ってる事って隠す内容か?と不思議だったのです。勿論、その友人はシスター志望だった訳ではありませんが。
まぁ、周囲からは「そんなこと?」と思う話でも、本人にとっては凄く重いことってありますし、特に家族や出生絡みの話題はデリケートなので、本人は気にしてないと言っても、どちらかと言えばこの「養女である」と言う件が、「それなのに好きな事して良いのか」と言う罪悪感に繋がっていたのかなぁと思います。
「青い傘の思い出」は、逆に触れないでおいて欲しかったネタ。物語の隙間が完全に埋められてしまうのも、ちょっと勿体ないと思う贅沢な気持ちです。

マリアさまがみてる ハローグッバイ

「卒業前小景」を飛ばして、先に最終刊「ハローグッバイ」を手に取ってしまいました。
先代薔薇様方が出て来たのはファンサービスかな、と思いましたが、決着がついていなかった由乃の妹問題を〆るためだったんですね。
菜々がロザリオを受け取らないと言うシーンは考えてなかったので、そう言えば結論は出てなかったんだ、と逆に驚きました。
その由乃は、かつては少なくとも「黙っていれば美少女」路線は外されてなかったのに、すっかりオチにされるキャラになっちゃったなぁと思います。祐巳が落ち着いちゃって貫禄が出たから、慌てふためいて滑稽な行動を取るのは由乃に回って来たのかな。
志摩子は二期目だし、上級生っぷりを発揮する祐巳はもうお馴染みになったので薔薇様に違和感がないけれど、由乃はちょっと頼りないまま終わってしまったように感じます。

妹になったら途端に比重が軽くなった瞳子には残念な思いですが、「マリみて」はやはり祥子と祐巳の物語だったんだな、と感じました。

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