アーネスト・ヘミングウェイ著「誰がために鐘は鳴る」上巻のみ。
前回のヘミングウェイ作品でも苦しんだ「主人公の一人称なのに、何を考えてるのかさっぱり分からない」点に今回も悩まされています。
また今回は、ゲリラの一人の言葉使いが意味不明なところがあり、最初は何度か引っ掛かりました。原語に忠実に訳すとこうなってしまうのかと思いますが、日本語として分かり易く書いて戴けないものでしょうか。
翻って考えると、児童文学の訳はどれも秀逸だと思います。
本の粗筋などでは恋愛小説のように紹介されているけれど、今のところ主人公は鉄道爆破のことを意識の一番上に持ってきているので、戦争小説の側面の方が強く感じます。
「武器よさらば」同様、主人公とヒロインが恋に落ちることに理屈がないのが面白いです。
雪の中持ち場で待っていたアンセルモ老人と、迎えに来たロベルトのシーンは少し惹き込まれました。
次回宙組本公演の予習として読んだのですが、場面展開が少なく、閉鎖空間での人々の思惑の交差が主と言う感じなので、これをどう一本物の舞台として成り立たせるのか、不思議です。