「誰がために鐘は鳴る」下巻も読みました。
上巻よりも物語に動きがあるので、読み易かったです。文章自体にも、上巻の時のように引っ掛かる印象がありませんでしたが、単に読み慣れたのか、それとも訳が良くなってたのか、どちらでしょうか。
下巻になってから、ロバートが任務を受けた段階で死を覚悟していたことが分かり、少しホッとしました。その時から「何を考えているのか分からない」度が薄れ、お話自体にも入り込めた気がします。
全体に、スペイン内戦の情勢が分かっていた方が面白いのでしょうね。その辺りはまったくと言って良いほど知識がないので、あまり語られていない部分は想像で補うしかないのが難しかったです。
パブロはちょっと面白い役ですね。難しいし、匙加減を間違えると悪役になるけれど、人間的だと思います。
やはり恋愛よりも、極限状態での集団を描いた作品としての価値の方が高いのではないでしょうか。
最後、死ぬところの明確な描写はないんですね。
「武器よさらば」同様、一人孤独な終わりなのに、虚しさだけがあった「武器よさらば」よりも、ある種の充足感があったように思います。