• 2011年登録記事

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遂に、ゲームアーカイブス「猫侍」を始めました。
→猫侍 ソフトウェアカタログ

1276MBもの容量があるため、PS Spotで約40分粘ってダウンロードしてきました。
ゲームを起動するとOPムービーが始まり、早速、この作品のちょっと独特、一種異様な空気に触れられました。
動物ゲームなのに、ほのぼの路線ではなく渋めと言う辺りが、どういうユーザー層を狙ったゲームか分からず困惑します。まぁ、そこに惹かれる私のようなプレイヤーを狙っているのでしょうが……。

CGはPSらしい出来ですが、風景は美しいです。
ちなみに、このムービー中に間違いに気付いたのですが、私はずっとこのゲームを「猫に時代劇をやらせている」ゲームだと勘違いしていました。実際は普通に人間がいて、その中に猫又も暮らしている世界なのですね。

今回は、まず説明書から入りました。
ジャンルは「アドベンチャー」なので、操作は非常に単純。戦闘シーンだけ、指示されたコマンドを入力すると言う、「シェンムー」的なシステムになっています。
その他、特殊な世界観を説明してくれているのですが、説明書の文字が小さくて、漢字が潰れ気味なのは少し残念でした。
面白いことに、攻略のヒントとしてこんな事が書かれていました。

「猫侍」操作説明書より引用

基本的に、このゲームは猫又として江戸の生活を楽しんでいただく事が目的の作品です。あまり攻略等にこだわらず、自由に生きてみてください。

その通りに遊んでみたいと思います!

卯月一日、子の刻、闇夜の街道からスタート。
人には親切にしておこうと言う精神で、夫婦と旅の道連れに。しかし主人公・十兵衛は「弟斬り」という物騒な悪名が知れ渡っているようで、なんだか寂しい別れ方をしてしまいました。
浪人猫又は倒しましたが、天真を逃がさないことは出来ないのかな?
とりあえず、十兵衛は御神楽党の幹部だったに違いない、と想像しています。なかなか口が重いけれど、弟を殺したと言う過去は聞く事ができました。

江戸深川に住処を決めて、探索を開始。
結構広いマップなので、見る間に減っていく体力ゲージが気になります。地図が頭に入るまでは、しばらく道に迷ったりしそうです。閉鎖されている道があるのは、時間帯でしょうか?
江梅老人の家で昼寝をしたり、いなり屋で町人の話を盗み聞きしたり、どちらかと言うと猫ライフを堪能しています。
かなり独特のゲームだと思うので、様子を見ながら少しずつ楽しんでいきたいです。
今のところ、掴みは悪くないなと思ってます。

恩田陸「チョコレートコスモス」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
偶然観た演劇界のサラブレッド東響子の舞台に「なにか」を感じた飛鳥は、その正体を知る為に演劇の世界に飛び込んだ。類い稀な集中力と観察力を持つ飛鳥は演技の才を開花させる。やがて、オーディションで響子と共演した飛鳥は、2人で舞台の奥に広がる「現実」の境地に達する。

面白かったです。一気に読み切ってしまいました。
様々なタイプの演劇人のエピソードが並行して描かれ、最後にある舞台のオーディションで一つに集約されると言う構図。
作中に描かれるオリジナル舞台が面白そうな題材だったり、オーディションで演じられる古典も一人一人の演出が練られていて、舞台として面白そうに読めるのが良いです。
物語自体のオチは割と簡単に読めますけれど、このお話で重要なのは展開ではなく、女優たちがオーディションで与えられた課題をどう演じてみせるか、なので予定調和な展開は気になりません。演劇を齧っていた人間からすると、いきなりでそんな巧く出来るものか!と思うけれど、女優たちが色々な手法でクリアするのは痛快でした。

ちなみに、色々な要素が「ガラスの仮面」と被るのですが、後書で作者自身がモチーフとして肯定していました。飛鳥と響子は、相思相愛なマヤと亜弓さんと言う印象です。
でも個人的には、飛鳥と響子が演じる予定の芝居については、「ライジング!」作中の「メリィ・ティナ」をイメージしました。

一つだけ難点を言わせて頂くと、「チョコレートコスモス」と言うタイトルは頂けません。
これは響子と飛鳥用の新作芝居のタイトルとしては脚本家が付ける題なのですが、正直に言って訴求力を感じません。コスモスの儚い美しさは響子と飛鳥のイメージとも合わないので、ラストに肩透かしでした。

続編「ダンデライオン」が連載中だそうです。三部作構想らしいですけれど、完結は一体何時になるのか。
とりあえず、続編が一冊に纏められたら是非読みたいと思います。

今回は、ナジモヴァ&ナターシャ語りに終始しています。

【1幕8場 椿姫のセット】
「椿姫」の撮影中、ルディに母親の死を伝える電報が届く。傷心のルディを、共演女優ナジモヴァの専任デザイナー、ナターシャが「母親の魂に会わせる」と誘う。

開幕から40分近く経っていますが、ここで2人が初登場。
まずは、ロシア人女優のナジモヴァ。2009年「逆転裁判」以降の純矢ちとせが演じた役の中で、一番好きです。元々やや大袈裟な台詞回しで「大芝居」気味の持ち味が、ロシア訛りとサイレント映画の大女優としての風格を出すのに一役買っていました。脚本上のキャラクターとしても、結構美味しいですよね。
そして、ナターシャ。もっと女装風味になるかと思いきや、綺麗でした。このシーンのナターシャの服が格好良くて、好みです。上着を脱いで、インナーがどうなってるのか見せて欲しかったなぁ。
DVDを見ると、この頃から一方的にジューンを敵視してるんですね。ジューンがナジモヴァに挨拶すると、顔を会わせたくないように去るのに、やり取りはじっと観察しているところなど、細かい芝居が興味深かったです。

この作品における「ナターシャの才能」については、観劇中に捉え方が何度も変わりました。
最初は、ルディが感じた通り「天才」なのだと思っていました。しかし何度も見直す内に、実際は違う気がしてきました。
ナジモヴァのドレスは着付け途中と仕上がりに大差がないし、この後の「シーク」「血と砂」の衣装はもっさり気味。舞台では遠目で綺麗だと思ったアルマンの衣装も、DVDで細部を見ると刺繍がゴテゴテしていて、悪趣味の一歩手前なんですよね。
セットに当てる照明はナターシャが指定した色の方が断然綺麗なので、色彩感覚が優れていたのは間違いないのですが。

この作品はフィクションですが、史実においてナジモヴァは同性愛者だったと言われています。
それを知って観ていると、この舞台でもナターシャはナジモヴァの愛人なのでは……と感じました。大女優が気に入っている愛人だから、デザインを任されているし、周りからも賞賛されているのかな、と。
最大の肝は、ルディが、ナジモヴァを「ナジン婆さん」と呼んで怒らせた瞬間。ナターシャが大笑いすると、途端にナジモヴァも機嫌を直します。
日頃クールな愛人が声を上げて笑う姿を見られたから、ルディを気に入ったように思うのですが、穿ち過ぎでしょうか。

【1幕9場 ナターシャ・ラムボアの家】
ナターシャが紹介した占い師メロソープはルディの母の霊と交信し、「女が母親の代わりを果たす」と予言する。ルディはナターシャの誘惑を拒めず、一夜を過ごす。

粗筋で、メロソープの占いをどうまとめるか悩みました。ルディ視点で物語を纏めた時に、ナターシャが聞いた占いの結果は彼の耳に入っていない&影響していないと思いましたので、このようにしてみました。
……しかしこの予言を採用すると、ジューンは結局、最後まで「お母さん」ポジションだったと言うことになりますね(苦笑)。
2011年版花組「ファントム」では「母親の愛と、恋人の愛は違う」と感じたのですが。もっとも、ルディが欲していたのは「家族」なので、「女(妻)が母親の代わりに家族になる」と読み取れば良いのかな。
ルディ自身は占いを信じていなかったと思いますけれど、助言としては効いていたのだと思います。

メロソープ自身には悪意も善意もないと思うのですが、声に毒がある役者なので、数々の占いが指す物を色々考えさせられます。
DVDの収録回は、占いの途中に骨が弾ける演出が巧く働かず、どういう仕掛けか確認したかったのでちょっと残念。メロソープが盆を叩いて崩していたのでしょうか。

ルディ、ナターシャ等は前場から衣装を変えて登場。
ルディとナジモヴァは前場の衣装は「舞台衣装」なので着替えて当然として、ナターシャも着替えている辺り、美意識の強さを感じます。
この公演は頻繁に衣装替えがあって、楽しいですね。

アラバマ生まれのアメリカ娘ウィニフレッド・オショーネシー、と言う正体を話すことでルディの心を掴んだナターシャ。
彼女は恐らく、前場で「ロドルフォ・グリエルミ」の名を聞き、ルディが芸名であることに気付いたのだとは思います。それで、自分と同じ(本名の自分を脱する為に名前を変えている)と思ったのが、大間違いだったわけですが……。

それにしても、メトロ所属のナジモヴァの専属デザイナーが、パラマウントの副社長と親しいのは何故でしょうか。
ジョージもナターシャとパラマウント社の繋がりを知っていたようですし、元はパラマウントで働いていて、後からナジモヴァの専属になったのでしょうか。

クリアしました。
プレイ開始時点では想像もしていなかった「夫婦喧嘩」オチ。
最後は連戦でしたが、中ボスのムーン・ドラゴン戦に比べたら、安定した戦いが展開できました。ちなみに、ラスボスは本体に当たり判定がなかったので、ゴリ押しで倒させて貰いました。

ラストは大団円だけれど、少し物悲しさが漂っています。
説明不足で唐突な部分があったとか、シヴィルの退場があっさりしている等、展開には歯痒さが残りましたが、「少女のお伽噺」としての内容には大体納得しています。
欲を言えば、もう少し演出による感動とか、達成感が欲しかったかな。
スタッフロールは、サブキャラからボスキャラまで可愛いイラストが満載で楽しかったです。

私の中での最功労ポムは、忍者のスルリ。
能力「びょんびろろ~ん」は中盤以降のダンジョン攻略に必須ですし、解散すれば積極的に戦ってくれると言う、非常に有難い存在でした。

全体の感想としては、アクションが非常に丁寧に作られていて、2キー以上を押させる複雑な操作がないこと、MPに寄らない魔法システム、キーレスポンスの良さ、可愛らしいキャラクターたちのコミカルな動きなど、遊んでいてとても気持ちがよかったです。
逆に、ポムのコミュニティ(集落)では、ルルの働きとポムの行動が巧く連動しないような時もありましたが、その侭ならないところが「未知の生命体を育てている」感に繋がっていたとも思います。
読み込みはセーブ/ロード時のみで、ストレスなく遊べました。
バグ?と思った局面が少しありましたが、進行で困ることはありませんでした。

ジャケットは牧歌調に見えるけれど、中身はもっとポップで明るいゲームでした。
個人的には、収集要素として各地に隠されている「トレードカード」と言うアイテムに、実際の絵を付けて、入手したカードをアルバム化して欲しかったです。

感想の回数は多かったですが、実際のプレイ時間は短め。
ゲームに夢中にならないで、のんびり遊ぶのには良い1本でした。

最後に、このゲームのスタッフさんのサイトを発見したのでご紹介します。

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2D Gallreyの「壱」の巻物は、「こみゅにてぃぽむ」をリライトしてDSゲーム風にされた絵です。万一リメイクされたら、こんな感じになるのでしょうかね。興味深く拝見しました。

花組「ファントム」15:30回(VISA貸切)観劇。
宙組2番手でお世話になった蘭寿とむのお披露目と言うことで駆け付けました。

VISA貸切では、最初に司会者が観劇会の案内をします。
その際に、貸切公演を「三井住友VISAカード観劇会」と言っていたのが、今回は「VJAグループ観劇会」に変更されていて、関連VISAカード会社の名前を延々列挙されたので仰け反りました。
先日、星組と宙組の貸切公演では「三井住友VISAカード観劇会」でしたが、調べてみたところ雪組「ロミオとジュリエット」も「VJAグループ観劇会」だったようです。VISAがスポンサーの公演だと「VJAグループ」になるのかな?
少し気になったので、最初に触れてみました。
あと、抽選会の景品としていつもの次回貸切公演チケットやサイン色紙の他に、文具などもありました。同行の友人が当てた公演ボールペンセットは、ファントムのロゴ入りフリクション2本+替芯付のセットと、意外に実用度が高く、今後も用意されたら嬉しい景品でした。
開演前の組長挨拶では細々と協賛の御礼を述べていて、これも珍しいなと思いました。

「ファントム」はこれまで宝塚で2度、外部で2度上演されていますが、私は初めての観劇。
ガストン・ルルー原作の「オペラ座の怪人」を原作にしながらも、劇団四季や映画で有名なアンドリュー・ロイド・ウェバー版と異なる展開、楽曲を使用していることや、代表的な曲などは把握しているので、あまり初めてと言う気はしません。
私個人としては、ロック調「オペラ座の怪人」より、優しく分かりやすいメロディラインの「ファントム」が好きです。新曲はあまり印象に残らなかったけれど。
演出は、中村一徳。
花組ショー「ラブ・シンフォニー」で苦手意識を持った演出家ですが、良かったです。
回転扉から従者たちが登場するシーンや、エリックがクリスティーヌに声を掛けて姿を消すシーン、渡せなかった白い花束など、お約束的だけれど外さない演出でした。また、群舞の使い方が巧く「The Story of Eric」の人の動かし方は好みでした。振付のKAZUMI-BOY先生の功績かも知れませんけれどね!
小舟は盆を回して動かしているのかと思いきや、自在な動きを見せたので、単体で動くみたいですね。不思議な大道具でした。
ただ、1幕5場リハーサルや同9場のクリスティーヌ誘拐は構図がゴチャゴチャしたドタバタ劇で、何が起きているのか分かり難かったです。

海外ミュージカルらしく、先ずはオーバーチュアから開始。
その瞬間、オーケストラに安心しました。クラシック調は弾きやすいと聞いた事がありますが、先月とは比べ物にならない安定感。いつもこういうメンバーで構成して頂きたいものです。
指揮の塩田明弘先生の指導があったと言うコーラスは、迫力に溢れていて花組の底力を感じました。
と言う事で、土台は文句なし。後はメインキャスト……と言うことで各人評です。

ファントム(エリック)@蘭寿とむ
お披露目演目が発表されたとき、正直「芸風に合っていない」と思いました。が、それは私の早計でした。
蘭寿エリックは、「少年のまま成長した無垢なエリック」でした。
彼は仮面を付けて外界から隔絶された9歳の子供のまま、身体が大きくなっただけなのだ、と思います。エリックは脚本上、傲慢、優しさ、残酷さ、無邪気さ、と一瞬ごとに見せる面が変わる不安定な人なのですが、これが子供と思うと自然でした。
それは、猟奇路線や耽美路線から外れた、新しいエリック像でした。舞台で白く発光し、地下に引き籠ることなく、ダンスナンバーが増えて活動的ですらあります。
ただ、この演技論は、エリックの狂気が現れる「森のピクニック」シーンには合わない気がしました。今回は新曲が追加されているのですし、カットされていても良かったのでは。
歌は、特徴的な癖を封印して、伸びやかに聞かせてくれました。

クリスティーヌ@蘭乃はな
クリスティーヌは、難役。私ならオファーが来ても断ります(笑)。
蘭乃はなはどうだったかと言えば、まず「天使の歌声」と絶賛を浴びる役と言う時点で、ハードルがあったと思います。本人比では上達していたので、敢闘賞は進呈したいかな。
主演娘役になって3回目の観劇ですが、どうも台詞が上擦る感じなので、台詞回しをもう少し研究して欲しいですね。
良かった点は、芝居の表情。森を演出する舞台道具を広げ「僕の領地」とご満悦のエリックに戦いていて、「天使の歌声」だとしても、中身は「天使」じゃないんだと伝わってきました。
だから、エリックの素顔を見て逃げ出してしまう展開に、説得力がありました。
クリスティーヌは、確かにエリックを愛していました。ただ、二人ともが幼い故に、母親の愛と、恋人の愛が同じものだと勘違いし、失敗したのだと思います。

キャリエール@壮一帆
壮は軽妙な芸風の持ち主ですが、今回は老け役、しかも主演(同期生)の父親役と言うことを意識してか、非常に押さえた演技で重みを出そうとしていました。
芝居のピースとしては正しい選択だったと思いますが、持ち味の封印により、魅力に欠けてしまっていたのでは、と感じます。宝塚の楽しみには「スターを観る」と言う面があるので、少々欲求不満。
シャンドン伯爵で見たかったです。

シャンドン伯爵@愛音羽麗
育ちの良さがあって、いかにもな貴族のボン。
小柄な人ですが、スターオーラで強そうに見えるので、従者に囲まれても1人切り抜けてしまう辺りは説得力がありました。蘭寿エリックも強いので、対決する2人のパワーバランスが対等で良かったです。

カルロッタ@桜一花
どう演じるか楽しみにしていましたが、さすがに芸達者。好演でした。しかし2階席Bから見ていると、小柄なので埋没する局面があったな、と思います。

ショレ@華形ひかる
意外と出番があって驚きました。
小物感漂う中年の男。脇を締める役が定着してきたことに、ちょっと寂しさも感じつつ……。

若き日のキャリエール@朝夏まなと
「The Story of Erick」で明らかになるキャリエールの所業は、ちょっと突っ込みたいものです。しかし、キャリエールに若さがあると、説得力があるんだな、と感じました。ベラドーヴァへの愛と秘密を抱えてどこかおどおどした雰囲気、「やめろ!」の絶叫、赤ん坊の顔に対する戦きが、リアルな「弱い男」でした。

その他、従者たちがイケ面揃い。
文化大臣@紫峰七海も良い色悪。かなり凝った小芝居をしていたので、もう少ししっかり見たかったです。

フィナーレは舞台上も客席も激しく盛り上がり、やはり花組にはショーが必要だと思いました!
なお、男役歌い継ぎの望海風斗中心のトリオで上手側にいた男役が、好みの顔だったので、情報をお待ちしております。