• 2016年登録記事

短編集2作。

小泉吉宏著「四月天才」

何も知らずに読み始めたら、ショートショート集だったので驚きました。
何度も述べている通り、私は星新一先生のショートショートは非常に好きですが、この作品はユーモアよりシュールさが強く、オチがない作品もあって合いませんでした。
鏡の中の自分と入れ替わって消えてしまう「合わせ鏡」等、やや怪奇的なものは面白かったです。

光文社文庫編集部編「江戸猫ばなし」

この手のアンソロジーは、他の作品からテーマに沿った掌編を集めてくるものが多い中、全編書き下ろしという嬉しい企画。

  • 赤川次郎「主」
    赤川次郎作品は初めて読んだかも知れません。
    化け物が出てきたり、事件の解決が呆気なかったり、ミステリーとしては少々疑問でしたが、猫姫様の存在が光るキャラクター小説。
  • 稲葉稔「仕立屋の猫」
    一番時代劇らしい人情もの。特別尖ったところがなく、素直なお話。
  • 小松エメル「与一と望月」
    本物の猫を飼う代わりに「猫絵」を飾って鼠対策にする、という当時の迷信を初めて初めて知りました。
  • 西條奈加「猫の傀儡」
    7編中、一番好き。猫が猫たちの為に人間を使って事件を解決するという設定が面白いし、キャラクターも味があって可愛い。シリーズ化していてもおかしくないと思います。
  • 佐々木裕一「ほおずき」
    大きな物事は起きないのですが、個人的には説明不足で納得できなかったお話。猫が縁結びをするという点で「仕立屋の猫」と被っていたのも残念。
  • 高橋由太「九回死んだ猫」
    「100万回生きたねこ」のオマージュですが、暗いので読了感が今ひとつ。私としては、ベタでも、猫と再会して終わった方が昇華できた気がします。
  • 中島要「鈴の音」
    叔父が「猫を愛した」と文字通り思い込んで、猫を猫又だと追い込む勘違い部分が面白かったり、御家と人間のあれこれが切なかったり、読み進めると雰囲気が変わっていく作品でした。

面白い作品も複数あり、一編ずつが適度な長さで、満足度の高いアンソロジーでした。

現在地:呪われ王子の冒険・5章途中

やっとの思いで帰って来た国には自分の贋物がいて、父王からも追われ、と落ち込んでしまったコルネリウス。操作を放置した時も俯いてしまって、とても可哀想な感じです。
コルネリウスをプーカに変えた犯人も判明しましたが、同時に、ベルベットに兄がいたなんて聞いてないぞ!と驚きました。しかもシスコン。双子ということは、彼もオーダインの子供なんですよね。オーダイン王のような家庭生活不適合者に限って子沢山とは、困ったものです。

そんなとき、黒幕呼ばわりしていた魔術師から、叡智の竜ハインデルに呪詛のことを尋ねてはと教えられ、雪山に行くことに。
竜に殺されろということだな!とやさぐれながら進んだところ、ハインデルは既に亡く、憤る暴竜ワーグナーが襲いかかるーーという展開。魔術師は、どこまで知っていてコルネリウスを誘導したのでしょうね。ここまで疑っておいて、実はいい人と言うオチが来たら、どうしようかな(苦笑)。

ところで、ワーグナーも、立木文彦氏の声ですよね。
オーダイン王と二役のためか、エフェクトが掛けられていて、第一声の段階では自信が持てなかったのですが、この台詞を言われた瞬間、立木氏だと確信しました。

地獄の業火で焼きつくしてくれようぞ

地獄の業火でな!

命の借りを返すためプーカの隠れ地下街まで送ってくれたワーグナーは、根は良い奴だと感じたけれど、この先の未来でグウェンドリンに殺されてしまうのですよね。
それとも、あれは叩きのめしただけで、殺してはいないのかしら……。

その後はベルベットを追って戦場へ出たことで、「ワルキューレ」の1章と時系列が重なりました。ということは、残念だけれどベルベットには追い付けないのでしょうね。
でもプーカの姿を見られたくなくて逃げた後なのに、彼女が危険だと思えば助けに走り出すコルネリウス王子は、いい男だと思います。

1章1マップという構成は変わりないのですが、さすがに2人目だけあって、マップ内の探索ボリュームが増えて来たと感じます。
4章後にプーカの隠れ地下街に到着したお陰で、ようやく纏まったレベルアップが叶い、戦闘の心配は減りました。でも、地形に応じて爆弾を使ったりという探索要素も増えてきたので、やはりサクサクは進まないでしょうね。

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3DSのダウンロード専用SLG「大開拓時代 〜街をつくろう〜」体験版を遊んでみました。
http://www.arcsystemworks.jp/arcstyle/daikaitakujidai/

本作は、自然を開拓して街を発展させていく、いわゆる「村ゲー」。
戦争要素はありませんが、文明レベルという概念があるので、「エイジオブエンパイア」シリーズ的でしょうか。
明確な終わりが設定されておらず、すべての操作をタッチパネルで行うという操作性から、スマホゲームの移植版かと思いましたが、専用新作のようです。
体験版では「開拓を始める」の「チュートリアル」モードで3年間遊べます。他の難易度(やさしい・ふつう・むずかしい)や、フリーモード、ギャラリーは起動不能でした。

少々テンポが鈍いのと、開拓者が建物内や各地に散らばると誰が何をしているのか分からないとか、ページ送りする操作が多くてUIは要調整という感じがしますが、生産要素が大好きな私としては、かなり好感触。
長く遊べそうな反面、すべての実績を解放したらそこで飽きてしまう可能性も高いゲームなので、どのくらい上手に目標が設定されているかが肝だな、と思います。とはいえ、安価なDLゲームなので、延々と遊べる要素を求めるより、難易度を上げて挑戦し直すという楽しみが備わっている点を評価して上げるべきかも。
買ってもいいかな、と思えるゲームではありました。

なお、本作の開発・販売はアークシステムワークスですが、不思議と海外ゲームチックな雰囲気を感じました。食料=肉という安直な表現のせいか!?

長野まゆみ著「レモンタルト」

……読み始めて直ぐには気付かず、1話目のオチの辺りでも違和感を感じた程度という鈍さでしたが、2話目に進んだ段階でさすがに気付いて目が点になりました。
普通に一般図書の棚にあった本なのですが、いわゆるBL本だったのですね。
登場する男が9割は男色家で、女はそれを許容しているという謎の世界観に、たじろいだ後、笑ってしまいました。
なお、この本は主人公が仕事での面倒事や事件を引き寄せ、義兄が推理するという形の連作短編集なのですが、ほとんどの謎は謎のまま終わるので、日常ミステリとしてはまったくスッキリしません。
しかし綺麗なラストで読了感は悪くないですし、文章は平易でスラスラ読めますし、なんとも不思議な空気感がありますし、ということで合う人はハマるかも知れません。その辺を語る解説(瀧晴巳)が秀逸でした。

それにしてもこの作品、主人公を女子に置き換えるだけで、普通の小説になりそうなのに、敢えてそうしないことで、記憶に残そうと言うのでしょうか。

現在地:呪われ王子の冒険・2章終了

コルネリウスでも滑空できました!

コルネリウス

緩やかに落ちて行くという感じなので、戦闘時に組み合わせるのは難しそうですが、ダンジョンマップの探索には必須のアクションですね。

接点はないと思っていたグウェンドリンが登場し、しかも優しくしてくれるので嬉しくなりました。
「ワルキューレ」では見られなかった、姉グリゼルダとの並びにもニッコリ。しかしグリゼルダはかなり気性の荒い女性だったのだな、と分かって少し怯える面もありました。

2人目だからか、早くも複雑なマップです。
まあ、こちらも手慣れたもので、死霊が沢山出たら容赦なくシャインで切り抜けたりしていますので、適正難易度かも知れませんね。
グウェンドリンのときは、チュートリアルに従って積極的に種を育てていたのですが、フォゾンはサイファーとスキルに注ぎ込んだ方が効率的だと思ったので、今のところ拾った実くらいしか食べていません。
まだモーリィの青空レストランも召喚できないので、レベルは上がり難いのですが、その分ステータスは強化されているので、思ったほど苦戦していません。
ブリガンの盾がなかなか剥がせなくて苦労したくらいかな。

プレイヤーである私の方にも少し余裕が出てきたのか、女王オデットのスカートの裾のレースだとか、ネビュラポリスの街並みの美しさなど、細かいビジュアルの美しさに改めて感心しました。

死の女王