• 2016年登録記事

碧野圭著「半熟AD」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
元ADで無職の田野倉敦は、同じ境遇の先輩が始めたホームビデオ作成事業を手伝う中、引き蘢りの少女沙良から、オーディション用のビデオ作成を依頼される。天才的な歌声に惹かれた敦は、顔を出したがらない彼女の代わりに女装で出演するも、イベントで口パクがバレ、傷付いた沙良は再び引き蘢ってしまう。しかしネットの批判の中から歌を褒める声を拾い集めた敦は、沙良を説得し、二人は路上ライブを始める。その活動から沙良はスカウトを受け、敦は彼女が再び歌い出すまでのドキュメンタリーを製作する。

一応「お仕事小説」ではあるのだけれど、主人公は実際失業中である、という要素がアクセントになっています。
まず、岡本が始める素人相手の映像制作会社「映像屋本舗」という新規事業の切り口が面白いです。TV業界で働いていたプロが、希望のプライベートビデオを作ってくれる、というのは実際に仕事になりそうですよね。犬の飼い主がなぜ敦より岡本のビデオを選ぶか、という分析も膝を打ちました。

そして、ビデオ作りがメインかと思わせておいて、引き蘢りの少女・山口沙良との交流やネットの炎上などの話になっていくのが、予想外の構成で面白かったです。
前半、テーマが不明瞭で色々な要素は詰め込んであるけれどどう展開するのか、と思っていましたが、最後は温かく締まって良い読了感でした。
中でも、依頼主沙良と恋人川島瑞希というヒロイン2人が、良い女&良い女の子だという要素は大きかったです。

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自由ヶ丘が本店のマドレーヌ専門店「マドレーヌラパン」のマドレーヌ・バニラ(右)とアールグレイ(左)を頂きました。
http://madeleinelapin.com

私は、マドレーヌにはやや五月蝿い客です。
というのも、私にとってマドレーヌは、自分で焼くお菓子だからです(基礎レシピはベターホーム)。素人の菓子とはいえ、自分の好みに合わせて作っているため、市販のマドレーヌを買っても、「自分で作った方が美味しい」と思うことがしばしばあります。
そのため最近は、マドレーヌは買うこと自体やめていました。
しかしこちらのお店のマドレーヌを見たとき、生地の黄色さに驚かされ、思わず購入したのでした。

前述の通り、バニラの生地色はビックリするくらい黄色く、バニラビーンズの粒が沢山見えます。
焼き菓子のバターと小麦の匂いではなく、バニラの匂いの方を強く感じるくらいです。

生地は、意外ともっちり傾向。口溶けは非常に滑らかです。
一口目の段階では少し甘みが強いかな、と思いましたが、噛むほどに馴染んで良い塩梅でした。
全体的に、それほど重さがないため、さくっと食べられます。もっとも、この点は善し悪しで、一気に2つ食べてしまいました。

自分で作ったマドレーヌとどちらが美味しいか?と問われると、私はやはり自分のマドレーヌの方が好きですけれど、これはこれで、何個でも食べられる味で、さすがプロの仕事だと思いました。

未達成のエンディングへ進むプレイ方針を示唆してくれる「明日の錬金術士」の指示に従って、すべてのグッドエンディングを制覇しました。

まず、旅芸人になるエンディング(はぐれ雲END)。
最初からロマージュと付き合っていれば、自然と仲良くなれるので割と簡単。敵が強いエリアに行くときは、ハレッシュとダグラスの力も借りましたが、普通に4年間プレイすれば到達できるので、結構簡単でした。
ただ、4年間真面目に錬金術に研鑽していったエンディングとしては、別方向に転換してしまうので消化不良感がありますね。

ちなみに、このルートではアイゼルと仲良くなることを放棄した結果、ノルディスと誕生日デートなどもできましたが、これの後日談はなかったです。

泊まる

お泊まりなんて、ドキドキのシチュエーションなのに、この二人では健全すぎます!

続いて、成金エンディング(エルフィール・フォン・トラウムEND)。
とにかくクーゲルの依頼で荒稼ぎしてしまえば、後はなんとでもなる感じ。賢者の石を2回作らないといけない点は、特に意識せずクリアできました。妖精さんをフル雇用していれば、同時進行で色々できるから調合日数はあまり気にする必要がない感じです。
ただ、エンディングは虚しい内容だし、イングリド先生にも金のせいで人が変わったと呆れられちゃうしで、前条件の割に達成感のないエンディングでした。

最後に、4年以内に闘技場も錬金術も極めて宮廷魔術師になるエンディング(宮廷魔術師END)と、冒険者化するエンディング(伝説の人再びEND)を達成。
私は当初、宮廷魔術師ENDのフラグは“4年目までに武闘大会優勝”だと思っていたのですが、実際の条件は“4年目までに準優勝以上”で、まず一安心しました。そして、伝説の人再びENDは、“マイスターランク進学且つ優勝”なので、同じデータでロードし直せば済むな、と最初から狙ってプレイしました。

このルートではとにかく冒険者レベルを上げたかったので、最初からハレッシュとダグラスを雇用。戦闘は逃げずにどんどん戦うスタイルで行きました。
ところが……。
肝心の最強武器「陽と風の杖」を入手するためのイベントを逆算し忘れ、リミットである4年目の武闘大会(12月28日)に間に合いませんでした。
2年目のカスターニェ行きで「死にまね香」の調合に必要な材料を買い忘れてしまったのが、そもそもの失敗。その後、3年目の秋までカスターニェに行かなかった上、ザールブルグに戻ってきたのが11月末。
杖を貰うフラグには、「死にまねのお香」を渡してから10日後、20日後に発生するイベントを見た上で12月17日を経過(即位式のイベントには参加しなくても可)する必要があったのですね。

仕方ないので、4年目の大会にグラセン鋼の杖で参戦。
なんとか五回戦まで勝ち進み、準決勝の相手はダグラスというパターン。
実は、ダグラスが優勝するフラグを立ててあった上、当日朝には「応援してる」と答えておきながら、撲殺してしまいました(笑)。

今年こそはいけると思ったのに…

あぁ、なんだかダグラスが超可哀想です。音楽も初めて聴くメロディだった気がします。魔法なんて使わず、本気で撲殺でしたし。
(一応、別にセーブしておいたデータで、勝利パターンも確認してあげました)
で、もちろん決勝戦のエンデルク隊長には負けたのですが、これで翌年卒業を選び、宮廷魔術師END達成。

卒業当日のデータに戻ってマイスターランクに入り、5年目の武闘大会でようやく「陽と風の杖」の威力を存分に発揮し、エンデルク隊長に勝利しました。
最大まで成長させないと無理だと思っていたのですが、意外にも、冒険者レベル44で勝てました。もちろん、かなりギリギリの戦いでしたし、勝利の鍵はHP上昇アイテム「千年亀のタマゴ」「ヘビのお酒」、装備「太陽のブローチ」を揃えていた点にあると思います。

エリーステータス

あとレベルを1つ上昇させた後、エンディング条件を満たしたので後は寝て過ごすことに。
でも、武闘大会の日に寝ていると、起こしにくるのですね!? しかも前年に優勝しているせいで、ダグラスからもハレッシュからもエンデルク隊長からも目の敵にされるという、ちょっと恐ろしい状態に笑うしかありませんでした(笑)。
今年は挑戦者になった隊長は、最初から必殺技連続という本気モードで、寝起きのエリーでは勝てないかも、と思ったのですが、またもギリギリで勝ってしまい、逃げ帰る羽目に。いや、面白かったです。

ちなみに、このプレイでは、ちょっと面倒なバグが発生しました。
ダグラスが月の実を食べてしまうイベントが、工房で来客対応する度に発生するようになってしまったのです。このバグのせいで、月の実が、何個拾っても0になってしまうことに!
ダグラス、不味いと言いながら何個食べる気だ。

サガシリーズ初のオフィシャルオーケストラコンサート「サガ オーケストラコンサート2016」に行ってきました。
http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/saga/orchestra2016/

東京公演は会場がBunkamuraオーチャードホールなので、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団(指揮・山下康介)。

基本的には、CD「サガオケ! The Orchestral SaGa -Legend of Music-」収録曲からの演奏でした。

残念ながら楽曲プログラムがなかったので、記憶を頼りとしたセットリストが下記のとおり。
※未プレイ作もあるため、間違っている可能性があります。

1幕
  • 魔界吟遊詩 -サガシリーズメドレー
  • 魔界塔士Sa・Gaメドレー
  • Sa・Ga2秘宝伝説メドレー
  • Sa・Ga3時空の覇者メドレー
  • 最終試練/皇帝出陣メドレー
  • バトル2/七英雄バトル/四魔貴族バトルメドレー
  • ロマンシングサガ1〜3ラストダンジョンメドレー
  • ロマンシングサガ1〜3ラストバトルメドレー
2幕
  • サガフロンティア バトルメドレー
  • サガフロンティア アセルス編メドレー
  • サガフロンティア2 オープニングメドレー
  • アンリミテッドサガ メドレー
  • サガ スカーレットグレイス「緋色の邪星」
  • サガ スカーレットグレイス「胸に刻んで(EDテーマ)」
  • サガシリーズ全曲バトルメドレー「これがいきもののサガか」
アンコール
  • ロマンシングサガ2オープニング

魔界塔士Sa・Gaから未発売最新作まで、シリーズの偏りがない選曲だったと思います。ただし、全体的に戦闘曲の割合を高く感じました。バトルメドレーでなくても、どこかに戦闘シーンが含まれていた印象です。

各曲の尺が短いこともあり、新作の2曲以外はすべてメドレー構成。原曲の雰囲気を損ねないアレンジで良かったですが、どの曲も繋ぎと終わりかたに苦心してる気がしました。ゲーム音楽は「ループ」が基本だから、コンサートで演奏するときに困りますよね。
サガというと伊藤氏の楽曲の印象が強いですが、オーケストラ演奏になると、浜渦氏の曲が映えると思いました。不思議な透明感や音の厚みがぐっと引き立って、良かったです。また「Feldschlacht」は元々同じメロディのアレンジを更にオーケストラアレンジしている曲ということもあり、メドレーになると違いが鮮明で、単品で原曲を聴くより面白く感じました。
ただ、ハッキリ言ってしまうと、純粋に演奏を聴くだけなら、CDの方がいい音かもしれないと思います。演奏するにはキツい曲が多く、大変そうに感じる箇所がありました。

東京公演はゲストも多く参加していましたが、進行が早くて1人3分も喋らせてもらえなかった感じ。伊藤氏が突っ込んでいました(笑)。

演奏中、雰囲気を出すためか照明効果が多少されていましたが、演奏にも視聴にも妨げになっていると感じたので、これはなくても良かったかな。

それから、コンサート中の驚きの発表として、演劇ユニット30-DELUXによる「サガ」舞台化の情報公開がありました。
http://saga-stage.com
非常に驚きましたが、取り敢えず「サガフロ2」の舞台案なら、2パターンありますぞ!(2010年8月27日記事参照

道尾秀介著「カササギたちの四季」

【あらすじ】
リサイクルショップで働く日暮の職場では、季節が一巡りする度に、小さな事件が起こる。その都度、店長・華沙々木が披露する迷推理に合わせ、密かに証拠を仕込み、日暮は華沙々木に憧れる少女の菜美のため、ちょっと真実を作り替えるのだった。

ポンコツなホームズ役の為に、ワトソン役が頑張るお話。
同作者の「月と蟹」(2016年10月25日記事参照)が、凄く上手い作品だけれど重過ぎて合わないと思ったのに対し、これは軽い読み物なので気楽に読めました。

最初のうちは、華沙々木のデタラメな推理を「真実」とすべく偽装工作する主人公に苛立ったのですが、3話あたりから、これは「様式美」だなと理解しました。
毎回、和尚に廃品を買い取らされ、戻ったところで事件が起きて、日暮が密かに仕込んだ証拠品で華沙々木が出鱈目な推理をし、最後に日暮がこっそり真犯人と会って真相を読者に知らせる、という展開がされるのです。
そして毎回こういう構造なのだと思わせておいた上で、四話で、この様式美を少しずつズラす構造にしているのが上手いな、と思いました。

しかし、仲間内での話題の為に偽装するだけならともかく、犯罪行為も犯しているので、主人公の行動はあまり納得いきません。
しかし事件の発端はどれも「誰かを思いやっての嘘」だという、優しい物語なので、意外と読了感は良かったです。