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五十音順キャラクター・ショートショート【よ】
→ルールは2012年12月17日記事参照


 よき友であることは、よき侍であることより難しい。
 侍隊長ヨシュア・ベラヒアは嘆息した。
 無力感に打ち拉がれる戦友に対し、肩を抱いて慰めるべきか、立ち上がらせて叱咤すべきか、黙って見守るべきか。
 他の侍衆が相手なら、どうするのが良いかわかっている。それが何故、相手が彼女になるだけで思い悩んでしまうのだろう。
 ヨシュアは自分こそ打ちのめされた者であるかのように、深く嘆息した。

 それが、友情のためではないからだと彼が気付くまで、まだ暫く時があった。

要するに、恋
……ヨシュア・ベラヒア(漫画「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」)


といいつつ、カイを巡る三角関係については、ヨシュアよりランを推したい魔戦将軍贔屓の私です。
ちなみに、文中の対応策はそれぞれ対ヨルグ、ヴァイ、シェンのつもりでした。

9日のブログ更新をすっかり忘れていたので、お詫びを兼ねて【ゆ】【よ】を漫画作品から連続投下しました。
遂に【ら】行に突入です!

五十音順キャラクター・ショートショート【ゆ】
→ルールは2012年12月17日記事参照


 雪が降る中を、和装の娘はゆっくりと歩いた。
 そんな格好では御寒いでしょう、と友人が半ば強引に嵌めさせた大きな手袋を、時折落としては拾い、また落とす内に、手袋はもとより白い指先まで雪にまみれ、やがてじっとりと濡れた。
 その変化を面白く思って、彼女は頬を緩めた。
 氷に閉ざされた生国では、雪が溶けることはない。千年も万年も永遠に積もり続ける。そこに住まう氷女の心が硬く凍っているのと同様に。
 だが生命力に溢れた人の世に降る雪は、温かく儚い。融けて、消えてしまうほど。
 そんな人の世の温かさで、雪の名を持つ自分の心も融けるだろうか。
 期待を込めて、雪菜は濡れた手袋を抱き締めた。

雪解け
……雪菜(漫画「幽☆遊☆白書」)


幽遊白書は、私の子供時代に爆発的な人気を誇った漫画。
世代がバレるなぁと思いながら書きました。

五十音順キャラクター・ショートショート【や】
→ルールは2012年12月17日記事参照


 八咫烏は、羽を広げて空を飛ぶ。
 王を先導し、彼の王国を広げるために。

 八田美咲は、金属バッドを片手に飛び込んだ。
 心の昂りに呼応して炎を纏ったそれを思い切り振り、手近な奴から殴り倒す。遅れてやって来た仲間たちが加勢する頃には、三歩前に進んでいる。
 仲間たちの後ろに在る王の気配を察して、美咲は武器を振るいながら笑った。
 美咲が王の背を見ることはない。王の進む道を整えることが、吠舞羅の斬り込み隊長ヤタガラスの役目だった。

 八咫烏は空を飛ぶ。
 ――その後ろに王がいる限り。

ヤタガラス
……八田美咲(アニメ「K」)


さて、それでは王様をなくしたヤタガラスは空を飛ぶでしょうか?
……私が書くと、美咲も性格異常者っぽくなりますね(苦笑)。

五十音順キャラクター・ショートショート【も】
→ルールは2012年12月17日記事参照


 もし、彼女が世界を壊すというなら、それでも良い。
 転送空間から飛び出していく背中を見送って、モーセはそう思った。

 一個人にとって、世界が破壊されることと、自分が死ぬことに、どんな違いがあるだろう。
 彼女の抹殺に失敗し、主君から捨てられた時点で、ミラージュのモーセは死んだのだ。死んだ者なら、世界が壊れたって構いやしない。

 破壊の使者は、ミラージュでもシルエットでも見たことのない、光輝く意志の力で真っ直ぐに突き進む。その先が世界の解放でも破滅でも、彼女は思うがままに己を通すだろう。
 モーセは信仰にも似た憧れをもって、彼女に夢を託した。

モーセの神
……モーセ(ゲーム「シルエットミラージュ」)


モーセはどうしてシャイナに協力したのだろう。もし本当にシャイナが破壊の使者だったら、モーセも死ぬことになるのに。
そう思った時、三行目のフレーズが浮かびました。
まぁ、基本的にはシャイナに惚れ込んだからだと思うのですが……

五十音順キャラクター・ショートショート【め】
→ルールは2012年12月17日記事参照


 面倒を起こしたのか、面倒の方から寄ってきたのか。
「そういう違いは重要じゃありませんわ」
 彼女はそう言い切った。
 己こそ被害者であると彼是訴えていた男の口が、中途半端に開いた状態で止まる。
 彼が驚いているのは分かる。彼自身が起こした事件とそれ以外とを切り分けるのは査定の大前提で、それこそ彼女の仕事なのだから。
 けれど、この問題だけは別の真理があるのだ。
「故意でも不可抗力でも、乙女の着替えを覗いた時点で、一律に悪いんですわ!」

明快な裁決
……メリル・ストライフ(漫画「トライガン」)


要するに、この世に「ラッキースケベ」なんてない。スケベはすべてスケベである。
と考えると、テイルズオブシリーズでは誤解から名付けられることの多い「スケベ大魔王」称号も、間違いではないのかも。

このお話は、メリル視点なのでここでお仕舞いです。
もしヴァッシュ視点なら、この後、周囲から「別れ話が拗れてるみたい」とヒソヒソ邪推されながら、どうして女子部屋に突撃する羽目になったかを弁明するほどにドツボにはまっていく……というお話になるんじゃないでしょうか。