• タグ 『 雪組 』 の記事

180104.jpg

宝塚雪組「ひかりふる路 〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜」「SUPER VOYAGER!ー希望の海へー」を観劇。

ひかりふる路 〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜

雪組新トップスター・望海風斗の大劇場お披露目公演。

宝塚の御家芸である「フランス革命モノ」に、革命のフランスを描く新たな秀作ができましたね。
フランク・ワイルドホーン作曲の楽曲が重厚な上、ほとんどのシーンが歌でやりとりされるので、海外ミュージカルを観ているような充実感のある一時間半でした。それしか上演時間が経っていないのが不思議なくらい盛り込まれていて、でも飽きるところがないので、あっという間だった気もします。
無論、サクサク話が進む分、少し展開が唐突なところもあるけれど、観客が自分で補完できる範囲だと思います。

強いて文句を言うなら、主人公であるロベスピエールの前半の出番の少なさでしょうか。主人公を印象付ける前に、ダントンばかりクローズアップされるので、W主人公だったか?と思いました。
あと、新年の演目としては暗いという点もあるけれど、宝塚大劇場も「ポーの一族」なので、どちらにせよ血腥い宝塚の2018年開幕でした。

恐怖政治の指導者ロベスピエール@望海風斗を、主人公としてどう描くのか疑問視していたのですが、純粋な理想家としたのは、まあ宝塚として妥当かと思います。粛清時、意気揚々と好戦的な歌詞を歌いながら、傷ついた顔を晒すところに、生田先生の被虐趣味を感じました。
基本的に、自分の思いの中に沈んでいるキャラクターなので、私は人物に魅力を感じなかったけれど、望海風斗の歌、立ち振る舞い、芝居で魅力を持たせていたと思います。彼の心の動きが分かるので、狂っていくときも見捨てられない気持ちにさせられました。

マリー=アンヌ@真彩季帆は、ヒロイン声と歌唱力に改めて脱帽しました。
途中、少し声が掠れたかなと思う箇所があったけれど、次の場面では調子を取り戻していたのでホッとしました。
彼女の過去の嘆き、悲しみ、そして作中の恋が、本作の悲劇をより深めているけれど、最後に彼女の存在が希望として残っていくのが良かったです。

ダントン@彩風咲奈は、前述通り見せ場が多く、二番手デビュー役として羨ましいと思いました。全体的に「男の言い分」で出来ているようなキャラクターなので、女性の私には共感はできない役でしたけれど、本人の中では一本筋の通っている面白い役だと思います。親友と思っていながら、ロベスピエールを追い詰める言動になる無神経っぷりは嫌なんですけれど、嫌いになれない人物です。

カミーユ@沙央くらまは、少しヘタレだけれど信念は通す可愛い青年系。正直言ってしまえば、沙央くらまでなければいけない役ではなかったと思いますけれど、ダントンから「俺に任せろ」と言われたときの「うん」と言う返事の可愛さですべて許しました。

サン=ジュスト@朝美絢は、期待通りの「革命の大天使」でした。美しい狂信者で、怖かったです。すべてロベスピエールのために行動し、結果として彼を追い詰めていったけれど、この子は最後まで自分たちの間違いが分からなかったのでないかと思います。
役者としては、歌が上手くなっていてとても嬉しかったです。

ロラン夫人@彩凪翔は、ちょっと驚くほど色気のある美女ぶり、且つ気位が高そうな良い演技でした。
最近、芝居での男役による女性役が多いけれど、みんな上手いので文句が言えません(苦笑)。

対するタレーラン@夏美ようは、さすが専科という感じの老獪さ。この激動の時代に、最後まで生き残る強かさがにじみ出ていました。

SUPER VOYAGER!ー希望の海へー

野口先生の「レヴュー・スペクタキュラー」。
客席参加要素はそんなに大げさな内容ではなく、二階まで客席降りがあって華やかでした。

ただ、宝塚のレビューの「お約束」を外した箇所がいくつか散見されて、少し戸惑いました。
特に引っ掛かったのが、「BLIZZARDS」のミュージックビデオ風シーン。場面自体は美男子揃いのアイドル風で楽しかったけれど、録音ですよね? ショーで録音が流れるのは「宝塚をどり」で物議を醸した能楽以来の経験で、衝撃を受けました。舞台で録音歌は聴きたくないので、振り付けを変えて、中央二人がメインで歌唱するなど、上手く折り合い付けて欲しかったです。
男役群舞(アンダルシアに憧れて)も、1シーンとしては面白いんですが、フィナーレの群舞かと言われると、観たかったものとは違うなと思ってしまいます。
新しい挑戦を全くしないのも問題だけれど、ある程度「お約束」は踏襲してこそ、とも思うので、その辺のバランスは今後調整して欲しいです。

最初に苦言を呈してしまったけれど、沙央にさよなら演出があったり、ジブリの名曲をジャズアレンジした映画「ラ・ラ・ランド」風のお洒落な「OCEAN」、サヨナラ公演かと思ってしまうけれど新トップとしての決意を語る「DIARY」など、素敵なシーンもあり、全体的には楽しいショーでした。

170723.jpg

TOHOシネマズ新宿にて、「早霧せいなラストデイ」ライブ中継に参加。
これは、雪組「幕末太陽傳」「Dramatic “S”!」東京宝塚劇場千秋楽、およびサヨナラショーを生中継したライブビューイングです。

今回は、ラストデイ中継初参加となる友人に誘われたためという、やや気楽な立場での参加。懐かしい「宙組88期トリオ」の最後の一人となった鳳翔大を見送る気持ちはありましたが、全体的には、本気のファンな方々の邪魔にならないよう、小さくなっておりました。
そんな軽いスタンスで参加したことで、改めて実感したことがあります。それは「サヨナラショーは、そのスターのファンの為のものだ」ということです。当たり前だけれど、ファン以外を楽しませることは想定していないと思いました。

全体的には、最後まで客を笑わせようと頑張る早霧せいなのキャラクターが出た、明るいラストデイでした。

ミュージカル・コメディ「幕末太陽傳」

初見は、色々な話の寄せ集めで、少し混雑している感があると思ったのですが、2回目だと本筋と枝葉が分かっているので、スッキリ見られました。中継だと、鍵のすり替えなど見落としていた箇所も気付けて、色々納得できました。

コメディなこともあって、アドリブが多数挿入されました。特に、起請文が衝突した後のシーンで、倉造@悠真倫が選別の包みを2つも3つも出してくるのは笑えました。

名作とは思わないけれど、たまにこういう破茶滅茶でも必死に生きてるお話を見ると、小さいことで悩んでいられないなと思います。若干、宝塚らしからぬ点も含めて「銀ちゃんの恋」を彷彿とさせられました。

Show Spirit!「Dramatic “S”!」

退団仕様の作品なので、中盤以降はグッとくるシーンが多かったです。歌詞を噛み締めると余計に響きますよね。絆の場面では、舞咲りんや早霧せいなが涙しながら歌っていて、こちらももらい泣きしそうでした。
しかし、前回観劇時も気になったけれど、ショーは全体的にテンポが早すぎだったのでないでしょうか。

早霧せいなサヨナラショー

幕開けの「ルパン三世」から、一通りの主演作メドレーが続く早霧せいなのソロで開始。
この冒頭以外も、全体的にトップスター就任後の作品でまとめていたと思いますが、全公演は見ていないため、7割くらいしかわかりませんでした。原曲を知らなくても聴かせる歌唱力をもつスターなら、選曲はあまり気にならないのですが……。でも、これは冒頭で語った通り、聴き手たる私の知識不足の方が問題だと思います。

咲妃みゆのソロも「伯爵令嬢」で未見でしたが、小芝居も含めて楽しめました。
彼女は娘役トップスターの才能を持った役者だったと思っています。それは、声です。ヒロインとしての説得力がある声に、最後まで聴き惚れました。

後半は男役群舞やデュエットダンスにデュエットソング、最後は「グレイテスト・ヒッツ」で元気よく終幕でした。

経歴紹介時にスクリーン映像があると、あの役を演っていた子か、とビジュアルでも認識できて嬉しいです。鳳翔大の時に「華やかなりし日々」の映像が使われていて、テンションが上がったのは秘密です。
香綾しずるの経歴紹介と鳳翔大の挨拶では笑いが起きていました。「我が宝塚人生に悔いなし!」だとか「この瞬間よ永遠に!」とか、鳳翔大本人は至って真面目に言っているのでしょうが、笑いが起きてしまうのが人柄ですね(笑)。

早霧せいなの経歴紹介で、沙央くらまとの競演「雪景色」のエピソードに触れられていて、少し嬉しく思いました。
同期からの花は夢乃聖夏。在団中と変わらぬ元気な笑顔が見られました。
最後の歌は「FOREVER TAKARAZUKA(この愛よ永遠に)」でした。「永遠に男役をやっていたかった」という心情の吐露に重なるような選曲です。それにしても、宝塚は自画自賛ソングの宝庫だわ。

男役・娘役トップスターの二人が同等の厚い拍手を受けていて、二人は本当にコンビとして愛されているんだなと実感しました。それだけに、“ちぎみゆ”での緞帳前挨拶が一番盛り上がっていたように思います。
全体的にカーテンコール回数が多く、終演アナウンスが流れたのに、さらにもう一度早霧せいなから挨拶が行われ、終演アナウンスが2回流れるという、非常に珍しい体験をしました。

今日書く予定だった話が一気に吹き飛びました。

宝塚雪組「るろうに剣心」ポスター公開!
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/2016/rurouni/

るろうに剣心

なかなか先行写真が公開されないと不思議がっていたところ、いきなりポスター公開となりました。
トップコンビのみの先行写真で判断されるのを避け、インパクトのある大人数ポスターで話題を作る戦略だったのですね。宝塚歌劇団にしては珍しく、マーケットを考えて動いている気がします。

制作発表会の様子に関しては、歌劇団公式にはまだアップされておらず、コミックナタリーが一番詳しい模様。
http://natalie.mu/comic/news/163454

私は、原作漫画を序盤(京都編の途中)しか読んでいないため、配役や脚本の予想はしていなかったのですが、それでも色々と驚かされる配役でした。
まず驚いたのは、鳳翔大の左之助役。イメージが違うという以上に、最初期からいるメインキャラクターが当たるとは思いませんでした。この学年になって、大劇場ポスターに初登場というのもなかなかないことですよね。
ちなみに、弥彦が主な配役に入っていないのは、娘役が配役されるからだと思います。
そして、もう一つの驚きが望海風斗の役です。
原作物にオリジナルキャラクター投入という時点で驚いたけれど、それがまさかの加納惣三郎(笑)。
……思わず(笑)を付けてしまったのは、司馬遼太郎先生のせいです。
明治になる前に死んでいたと思うのですが、そこはフィクションなので良いのでしょう。どう絡んでくるか未知数過ぎて、楽しみ半分、不安半分というところです。