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宙組「シャングリラ」初日が無事終わり、現在帰路の麻生@携帯です。

宝塚の鬼門ジャンルSFに、癖のある演出家と言う組み合わせで、初日感想待ちの方も多いのでは、と思います。まぁ、それでこのネットの海の辺境に来られたという方は、そんなにいらっしゃらないでしょうが。
実のところ、感想に悩む作品でした。
ライトノベルっぽい感じで、おおむね予想を外れない展開が続く、と言う点は前評判通りです。
プロローグからバリバリ踊って度肝を抜き、途中かなり笑わされたりと順調に進み、一幕終わり前のナンバーとその直後の展開にはかなりテンションが上がって、幕間には「ひょっとすると凄い作品に化けるかも」と期待したのです。が、二幕は、それに応えられなかったなと思います。一幕で演出が力尽きちゃったのかなぁ。
お薦めするには勇気がいります。
ただ、この作品が気になる場合は、誰の意見でもなく自分で観て確かめていただいた方が良いと思います。
かなり観客のイマジネーションに委ねている部分が多いので、観た方によって、まったく異なる感想になりそうです。
また、キャストのファンという視点では、また違った感想もあります。今回の私は、蘭寿氏にうっかり墜ちかけました。

いつもの調子の感想は、詳しく語ろうとするとネタバレを避けられないこともあり、明日以降にまとめたいと思います。
とりあえず、個人的にここを変えてほしいと思う展開部分は、先程メモ帳いっぱいに改稿案を書き殴っておきました。

 ラズロは目深く被らされた帽子のつばを持ち上げ、一度だけ後ろを振り返った。
 賑やかな明かりはまだ消えない。
 この街で誰かに会いたければ、彼のカフェへ──その言葉通り、あの店の扉を潜ってから数時間で、随分多くの出会いがあった。地下組織の仲間、フランスの警視総監、ナチスの将校、そして。
「あのカフェのオーナーと言うのは、どんな人物だ?」
 問いに、先導の男が振り返った。緊張した面持ちが僅かに解け、若い素顔を覗かせる。
「リックですか?」
 聞き慣れない米国風の呼び名を、バーガーは軽く唇に乗せた。
「1年前からあのカフェを経営して……元はレジスタンスに参加していたようですが」
「同志なのか?」
 迷路のように入り組んだ路を、灯りもなく進んでいく。前を行くバーガーの明るい髪が、ラズロに与えられた僅かな目印だった。
「いいえ。でも、スペイン内戦で一緒だった男がいるんです」
 ふ、と呼吸が揺れ、冷たい夜気が肺に満ちた。
 数えきれないほどの同志が失われた争いの名は、未だにラズロの胸を軋ませる。肉体の傷よりも、遥かに深い痛みだ。
 長く、凄惨な戦いだった。その地に、彼は立っていたのか。
「何故、今は活動に参加していないのか、聞いているか?」
 地下水道に続く扉の一つが開けられ、薄暗い洞の中に、ラズロは躊躇なく踏み込んだ。
「そこまでは、ちょっと」
 応える声に困惑の色が混ざったことに気付いて、ラズロは首を振った。彼の存在は、活動とは関わりのないことだ。少なくとも、今はまだ。
 質問から解放されたバーガーが、ほっとした表情で、今度は強く語り出す。
「それより、みんな貴方の話を聞きたがってますから──」
 頷き返しながら、ラズロは、ただ純粋にリックと言う男の話を聞いてみたいと思った。スペインのこと、活動のこと、パリのこと、イルザのこと……


ラズロはどういう経緯でリックの過去を知ったのか、と考えたところ、バーガーとの会話がササッと湧いただけなので、展開的な面白みはありません。
翌日になってリックが通行証を持っている可能性を知ってからだと、打算的に交渉相手を知ろうとした側面が強くなるので、集会前の方が面白そうかなと思います。
その場合、あまり意味なく、ただイルザと関係があった男がどういう人物なのかが気になったと言うことになるのですが、完全無欠ヒーローのラズロにも、このくらいの本人も説明の出来ない気持ちがあると良いなと、何かが欠けた人物が好きな麻生は思います。

で、1幕でラズロとバーガーが被っていた帽子は、2幕になると影も形もないのですが、何処にいったのでしょうか?

予約をしなかった為、注文後待たされていた「カサブランカ」公演DVDが昨日ようやく届きました。

で、取り急ぎ「カサブランカの夜霧」を確認して、机に突っ伏しました。
ああああああ、ストップモーションが映ってない!
正確には、1回目のストップモーションが映って安心したら、まさかの2回目が映ってないと言う驚きの展開でした。なぜリック専用アングルがあるのに、カメラズームするの? 専用アングルがあるシーンの通常アングルは、引きで撮って欲しいですよ。
やっぱり生で観ないと駄目ですね。

念のためお断りしておくと、「銀ちゃんの恋」の時のように全体に駄目と言うわけではないです。意外に細かいところまで撮られているし、ジャケット、ブックレット、DVDメニューなどはもの凄く格好良くて感動しました。
それだけに、個人的に楽しみにしていたところが微妙な映り方なのが悔しいのですが……。

次回から、のんびりDVD感想を始めたいと思います。

昨日、公演自体も千秋楽を迎えてしまいましたが、My楽は1月31日11時回でした。

2階後方だったので、あまり何処をとは考えず、その時々で見られる範囲で見たい所を見て、楽しい一時を過ごしました。
この回でようやく、サッシャの職務中のタダ酒飲みが観られました。2回、勝手に店のお酒を飲んでいたかな。
それと、盆が回る前にジャンがカールの横を擦り抜けて、カールが直ぐ上着のポケットを確かめる、と言う演技をしていた事を知りました。今回、盆が裏に回っても演技を続けている所があり、みんな役として生きているなぁと感心仕切りです。

課題だった娘役群舞は、純矢ちとせは分かる事に気付きました。イヴォンヌの鬘はちょっと似合っていないように感じたのですが、ショーの髪型はとても良くお似合いで、可愛い娘さんがいるなと思うと毎回純矢嬢でした。
あと、愛花ちさきは、「ヴィザを私に」の途中、前に出て手を上げるこの写真のシーンが力強く、毎回同じところで注目してしまいました。
力強いと言えば、ラ・ベル・オーロール(後半)の客女に、クリーム色っぽいドレスの娘がいたのですが、ダンスが凄くキビキビしていて目を惹いたので、何度もチェックしてしまいました。誰だか分からないのですが……ちなみに、ナチス侵攻のニュースで整列した時、マドレーヌより下手寄りが立ち位置だった娘役さんです。

自己最多回数見たと言うのに、結局確認できなかったこともあります。

  • ラズロがファティマから買い上げた花の行方
    カウンターで飲んでいる内に、どんな話の流れになったのかサッシャに渡され、サッシャが棚上のグラスに挿すところまでは何時も観ているのですが、その夜、また翌日以降もその場にあるのか?を最後まで確認し忘れました。
  • パリの駅の小芝居
    気が付くとリックか、春風・蓮見の母を探す兄弟か、駅員@星吹しか観てない自分がいました。他の人は何をしていたんだろう……。
    ここは、サムと駅員によるホーム前の攻防が、日を重ねるごとに激しくなっていましたね。大劇場の時は、制止にまったく気付きませんでした。

なお、公演SSの更新は千秋楽までの期間限定にしようと思ったのですが、サーバートラブルの件があり、書き上げる余裕がなかったので、ちょっとだけ続けます。
多分引き続きDVD感想に入るので、その間にちょこちょこと書き上げる形で。
リクを頂いたので、最低限エミール話は仕上げる予定です。あとは、下記のネタから後1つくらい書き上がったら良いかなと。

  • 謎の男
    リックと言う男について考えるラズロと、話し掛けられる度に舞い上がるバーガー。
  • 誰が孔雀を殺したか
    ED後、レジスタンスメンバーが将校の死と取締強化で一喜一憂しつつ「シュトラッサーは誰に殺されたのか?」談義をする。
  • 消えたオーナー
    ED後、サッシャが熱く展開する「ボスは何処へ消えたのか」論。
  • 巾着切りが見た世界、またはカフェへの奇妙な愛着
    ジャンから見たリックの店と、そこで過ごす人々。
  • 殉教者
    逮捕されたウガーテの心境。そして拷問を受ける前に死を選んだ理由。

(タイトルはすべて仮です)

忙しかったり体調が悪かったりで、日誌をあけてしまいました。

宝塚宙組公演「カサブランカ」28日18時半回観劇。
平日ソワレの参加は初めてでした。
会社を定時に上がって、猛ダッシュで行った所、予想外に余裕をもって到着出来ました。でも終了が21時半なのは辛いですね。また、幕間には大変お腹がすきました。
遅い時間である事を考慮してか、お芝居のテンポは初期の頃並みに感じました。前回の間が取り過ぎだったのかな?

1階上手寄り席。
元々、パリの回想で「君の瞳に乾杯」する時のイルザを出来る限り正面から見たいと思って、敢えて上手をセレクトしたのですが、前の席の方の頭で丁度イルザが隠れて、あまりよく見えませんでした。これは、DVDに期待ですね。
かわりに、そのパリの回想に入る前、イルザとラズロを見送ったルノーが店内に戻ったと思ったら、その後直ぐ盆を回して無人のカフェ状態を作る為に、そそくさと袖に掃けていくのが見えました。これだけテンポ良く舞台装置を切り替えると、それに併せて動作もしないといけないから大変ですね。
その他のタイミングでも、店の玄関が表に着ている時でも上手だとカフェの中が少し覗けるので、みんな演技を続けていることが分かり、大変感心しました。

ルノー大尉は相変わらず客席を沸かせていましたが、ちょっと「やり過ぎ」の域に達していないか心配です。リックへの好意がかなり全面に見えるので、手の平で転がされている感じ。映画だと、二人は対等でお互い探り合っている関係なので、もっと強かに、と思ってしまいます。
と思っていたら、宝塚グラフ2月号によると「ルノーが騙されてる感」は意図的に演じているのですね。私の映画版ルノー像とは違うけれど、宝塚宙組版ルノーがそういう人物だと言うなら、それはそれで納得です。

で、今回は割とラズロを意識的に観たのですが、まず目立つ固い雰囲気の奥で、色々表現していることが分かりました。基本的に凄く聡い人で、ちょっと思い掛けないことがあっても、その後の数言で得心して、自分の中で色々処理してますよね。
ラストの空港では、リックの打ち明け話で「昨日イルザが来ていた」くだりは最初吃驚するけれど、直ぐリックがなぜそんなことを言い出したのか理解して、その上で彼を思い遣ってさえいる様子でした。懐が大き過ぎて、怖いくらいの人ですね。リックの心理は私のような凡人でも理解出来るのだけど、ラズロは完璧過ぎて難しい。私にこの役が回って来たら投げ出しますね。
パンドラの匣での登場は、何故初見でラズロだと思わなかったのか不思議なくらい、どう見ても蘭寿氏なのですが、もし実際にあの日のパリに健常な状態でラズロがいたとして、蜂起したでしょうか。カサブランカでの彼を観る限りでは、そうしなかったような気が私はします。だから扇動者がラズロであることに違和感を感じたのではないかな。同時に、あのシーンは1941年のリックが回想の中で思い起こす悪夢なので、それは正しい違和感なのかもと思えて来ました。

ようやく「パンドラの箱」で寿組長を追えるようになりました。
少し枯れた雰囲気がある色男でした。パンドラの部分だけ、DVDに複数アングルが欲しい。