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谷川流「涼宮ハルヒの憂鬱」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
平凡な日常に憂鬱する女子高生・涼宮ハルヒは「宇宙人や超能力者を探して一緒に遊ぶ」目的の部活「SOS団」を設立した。だが実は、ハルヒは現実を思い通りにする力を持っており、SOS団に集められた部員こそ宇宙人や超能力者であった。

いまさら有名ライトノベルを読んでみるシリーズ、第3弾。
「涼宮ハルヒの憂鬱」は、第8回スニーカー大賞の大賞受賞作。宝島社の「このライトノベルがすごい!」ランクイン常連作品。

これまでに読んだ「フルメタ」「狼と香辛料」は、さすがに有名作なだけあって分かりやすい面白さがあると思ったのですが、「ハルヒ」は私の好みと合いませんでした。
一言で言ってしまえば、最重要キャラクター・ハルヒが可愛くないのです。自分本位な奇天烈論理を振り回し、我侭を言っているだけで、まったく共感できません。特に、善良な部員で構成されたコンピュータ部から、犯罪紛いの手段でコンピュータを1台強奪してくるくだりが苦痛でした。
全体的に、思い通りにならず、悔しがったり怒っている時の方がまだ可愛く感じられたかな。
その他の部員では、長門有希の性能が他2人と比べて強過ぎ、バランスが悪い気がしました。

あらすじは、纏め方にちょっと悩まされました。
話の最終的なテーマは、ハルヒが成長してワクワクする超常ではなく退屈な日常を受け入れる点にあるのかなと思います。ただ、物語としての面白みは、SOS団を設立した時点でハルヒ目的の叶っているのに、本人だけがその事実を知らない点にあると感じたので、このように記載してみました。

支倉凍砂「狼と香辛料」

【あらすじ】
行商人ロレンスは、豊作の神・賢狼ホロを名乗る少女と出会い共に旅をすることになる。ある時、通貨売買を持ち掛けられた2人は、裏に隠された陰謀を見抜き、ライバル商会に情報を売り付けるのだが……

いまさら有名ライトノベルを読んでみるシリーズ、第2弾。
「狼と香辛料」シリーズは電撃小説大賞(銀賞)受賞作。全17巻完結済。

「ホロが可愛い」と聞いていましたが、確かに可愛いです。しかし、主人公のロレンスもちゃんと仕事ができる男で、ホロの存在感に負けない、良いバランスの2人でした。
2人の舌戦というか、夫婦漫才的な会話が秀逸。
ラノベでは珍しい経済ネタ。と言っても作中で易しく説明されるので引っ掛かることはありません。
私の好みとしては、変に身の丈に合わない冒険に首を突っ込んだりせず、ロレンスの仕事(行商)の範囲で物語が完結しているのが非常に良かったです。
キャラクター数は少ないし、なかなか物語が動かないので、少し退屈という意見もありそう。私も、金持ちの夫婦と出会った教会の辺りでは「キノの旅」のような淡々とした短編構成かと早合点しました。

非常に練られた構成で、よく出来た物語。その上、魅力的な主人公とヒロイン。パッと見た感じ、文句をつけるところが見当たらない作品でした。
難癖をつけるとしたら、綺麗にまとまり過ぎていて、折角ラノベを読んでいるのに勢いがないという点ですかね。

賀東招二「戦うボーイ・ミーツ・ガール(フルメタル・パニック!)」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
秘密軍事組織の兵士・宗介は、日本の女子高生・かなめの護衛を命じられ、転校生として彼女の通う高校に潜入した。だが修学旅行の行程でジェット機がハイジャックされ、かなめが囚われてしまう。宗介は、組織の実験で謎の「知識」に目覚めたかなめの助力を得つつ、彼女と共に敵地を脱出する。

フルメタル・パニック!シリーズは、富士見ファンタジア文庫お得意の「シリアス要素含む長編(本編)」「コメディ短編集(外伝)」の2本立てで構成されています。本作は、長編の第一巻。
ライトノベル界の有名作品ですが、麻生は初読です。作者の賀東招二氏がTVアニメ「ドルアーガの塔」でシリーズ構成を担当していたため、という恐らく日本国内で唯一だろう理由で手に取りました(笑)。

あらすじに纏めてしまうと「狙われるヒロインと、それを守る主人公」ですが、本作が面白い最大のポイントは「主人公が戦争ボケで、日本の一般常識が足りない」という点ですね。普通の日常が宗介視点だと危機的状況の連続になってしまう可笑しさ。まぁ、ちょっと学園編における宗介の常識や対人関係能力がなさすぎて、これでは自分の組織内でもやっていけない気がします。
世界設定としては、舞台は現代なのにロボット(AS)が存在し、且つその技術は「時代以上に発達し過ぎている、本来存在しない技術」と認識されているのが、次巻以降の謎として引っ張られていて先が気になりました。
それにしても、こういう世界観だとソビエト連邦は必須要素ですね。

私の得意なジャンルではないのですが、学園要素、ロボット、軍事組織、そしてラブコメディとあらゆる要素が破綻なく詰め込まれていて、ライトノベルを読んだ、という満足感がある作品でした。

珍しい事に、だいぶ間が開いてしまいました。
仕事が忙しい事もあって、日誌に書くべき話が思い付かず放置してしまいましたが、ネタはなくとも物を書く力を失わない為に、好きなキャラの話でもなんでも良いから書こうと戻って参りました。
何か活動再開するか次の観劇日まで、思い付き語りになるかと思いますが、よろしくお願い致します。

読書と言うほどのものでないので「読んだメモ」にしませんでしたが、先日数年ぶりにルナルサーガ・リプレイを読みました。
未読だった「ルナルサーガリプレイ天空の蹄篇」。この後の「月に至る子」でシリーズ完結してるそうですが、今から入手できるものかしら。

ルナルサーガは小説とリプレイを一通り、続編扱いのカルシファード(小説版)も途中まで読んでました。元々、友野詳氏はコクーンワールドで知って、導入の巧さや会話の軽快さなど好きだったのですが、中編以上になると中弛みさせてしまうようで、シリーズの途中で飽きてしまう傾向が続いたので、遠離っていました。
それなのに今回手に取ったのは、――表紙にアードがいた為。
従来ゲームマスターの扱うNPCとして登場していたアードがPCとして参加していることが嬉しくて、読んでみました。

巻末のキャラクターシートは、アードってこういうキャラだったのか、と新鮮な気持ちで眺めました。
知力13と言うのは、初登場時のリプレイで言われていたので覚えていたけれど、ほかの数値は初めて見た気がします。
PCと一緒に成長させてもらっているのか、175CPもあるので、相当自由に成長できそうな気がしましたが、魔法持ちキャラはスキルに多くのCPを消費するせいか、ニートやタッタなど一芸に特化したキャラほどは強くない印象ですね。何より、戦闘キャラなのに「我慢強さ」を持ってないのが意外でした。
あんなに不利な特徴一杯持ってるくせに、どこに消えてるんでしょう……。あ、基礎ステータスか。

リプレイの内容は、アードの言動がPCに委ねられた為かいまいち納得いかなかったので、少し不満が残っています。
キャラクターシートだけ見てロールすると、こうなってしまうんでしょうか。でも有能な密偵であると言う気持ちは、ロールのどこかに残しておいて欲しかったです。
ガープスは、他のTRPGルールと違い、プレイヤーの素でなく作ったキャラを演じることが大きな要素だと思っているので、そのキャラを巧く演じて貰えないなら、今回もNPC参加で良かったのかも。
そう言う意味では、セッションの間があいても、常にキャラが崩れないエフィは凄いですね。

進行自体も、今回のゲストPC2人の物語への関わり方が弱かったのと、説得や作戦も行き当たりばったりな面が多く感じました。
1部のプレイヤーたちは、なかなか面白いロールプレイや戦術を出していたし、2部のプレイヤーたちは、巧いルールの活用などを見せてくれたように記憶していますが、今回はてんでバラバラのプレイヤーたちを、マスターが纏めてなんとか進めてるような感じを受けました。
これより前に読んだリプレイ物と言えばソードワールドの「デーモンアゲイン」ですが、あれもバブリーズ以外は初プレイみたいなリプレイでしたよね。同様にグループSNEも、TRPGに詳しくない人が増えてるんでしょうか?

ところでこのリプレイ、過去の(ブログ化前)日誌を探したところ「アードファンは回避で可と言う話を伺ったので読まない」と言ってた本でした(笑)。10年経って、忘れてしまってました。
実際、アードファンとしてもルナルファンとしても納得のいかない一冊でしたが、久し振りにリプレイ物が楽しめましたし、リプレイの展開しか覚えてないので、もう一度ルナル小説版を読み直そうかな?などと思いました。

今野緒雪著「マリアさまがみてる」シリーズ

マリアさまがみてる バラエティギフト

もう世代が変わってしまったので順番がおかしいですが、一応「バラエティギフト」も読んでみました。
笙子ちゃんの件は、こういう顛末だったのかと理解。もしかすると「妹オーディション」で笙子ちゃんが写真に感動したのは、自分が綺麗に写っていることだけでなく、お姉さんと一緒だったことも含まれているのでは、と思いました。
「羊が一匹さく越えて」でのリリアン受験の顛末は結構面白かったです。結局、あの面接はリリアンではスタンダードなのか?
乃梨子と言うキャラ自体が、比較的突っ込み属性なので視点キャラに向いてるんでしょうね。
そう言えば、前回「マーガレットにリボン」で不意打ち感があった山辺氏に子供がいる情報は、この巻で明かされていたんですね。
マリみての短編は、番外編と言う位置付けでなく本編とリンクした作りだから、短編集を避けて通れないですなぁ。

マリアさまがみてる リトルホラーズ

で、その乃梨子が、下級生と一緒だとこうなるんだ!と最初は驚いたのが「リトルホラーズ」。結局は、騙し中だったから挙動不審になってただけですね。でも登場初期に比べたら驚くほど世話焼きになったなぁ。
菜々は由乃のことをもっと巧く操縦するかと思っていたので、がっつり組み合ってる様子が意外。
祐巳たちが薔薇様なことは、さほど描写されていないので違和感ありませんでしたが、三年生だと言う事実が少し不思議な気分でした。
リトルとはいえホラーズ、なのでちょっと変な調子の話が多かったですが、「ホントの嘘」はちょっと不愉快な部類でした。オチもよく分からなかったし。
ところで、次第にキャラの命名に困って来てるような気がしますが、どうなんでしょう(笑)。