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安部龍太郎著「信長燃ゆ」上下巻

先日読んだ小説「神々に告ぐ」(2016年1月29日記事参照)の後の時代を描いた作品。
上下巻で、天正九年の京都馬揃えから本能寺の変に至るまでという信長の晩年を描いているので、密度があります。
信長から譲位を迫られてもずっと抵抗していた、というイメージがあった正親町天皇が、誠仁親王への譲位を希望していたとか、今回も色々勉強になりました。
とはいえ、テーマである本能寺の変については「朝廷黒幕説」に則っているため、朝廷黒幕説が否定されている現在では少々物足りない「真相」に感じたのが残念。歴史小説は、こういう点が弱点かもしれませんね。

描かれている信長像は割と理知的。作者の描くスタンスとしては、信長に寄り過ぎもせず、かといって主人公として理解できないわけでもなく、読みやすく感じました。本能寺で信長は生き延びるつもりだった、という下りは私も納得です。
前久の面従腹背具合の恐怖と、光秀の割り切れない不運、森蘭丸の有能秘書っぷりが印象に残りました。

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3DS版「ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ」DEMO Versionを遊んでみました(操作機はNew 3DSLL)。
https://www.gamecity.ne.jp/zelda/

一応「ゼルダの伝説」なのに、提供がコーエーテクモゲームスで驚くところから開始。

遊べるのは「レジェンドモード」で、ハイラル平原(ハイラル城防衛)で、キングドドンゴが登場するところまで遊べます。操作できるキャラクターはリンク、ゼルダ、インパ。インパの動きは少々トリッキー。リンクが一番使いやすくて強いのは主人公特権ですね。
リンクだけでなく、他のキャラに切り替えて操作しないといけなかったり、あちらこちらの戦況を意識しないといけなくて、結構忙しない印象。
この手のゲームの売りは「爽快」なことだと思いますが、無双初心者としては爽快に感じるよりやることが多くて疲れる印象。難易度は「易しい」と「普通」の両方でプレイしてみましたが、雑魚はどちらにせよ一撃で倒せるし、体力バーが表示される敵でも、弱攻撃の連打だけで倒せます。そういう意味では爽快で「ヒーロな自分」を楽しめるのかもしれないけれど、砦を占拠しない限り無限出現で、いつのまにか登場している雑魚の存在に、モグラたたきをさせられている気になりました。

なお、折角なので3D表示をオンしてみたのですが、立体というより残像になってしまって非常に目が疲れて辛かったです。動きが激しく、表示キャラ数も多いアクションは、3D表現に向いていないと思いました。
※本作の3D立体視への対応は、Newニンテンドー3DSのみ。

桂望実著「頼むから、ほっといてくれ」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
トランポリンでオリンピック出場を目指して合宿に集まった5人の青年たち。練習と試合を重ねながら、嫉妬や挫折と戦いながら、オリンピック出場を果たす者、メダルを獲得する者も現れるが、やがて彼らは皆競技を引退し、第二の人生を歩み始める。

タイトルのせいで、周囲のプレッシャーに圧し潰されながら、5人が出場権を賭けて戦うようなお話かと想像していたのですが、長い人生と短い競技人生の折り合いをどう付けるか、なにを目標に競技をするのかといった事を問うてくるお話でした。
真っ直ぐオリンピックまで突き進む競技者もいれば、一度辞めてから復帰するというドラマがあったり、早々と競技人生を下りてしまう者もいたりして、予想外の展開に驚かされました。個人的には、何事も適度にスマートにこなせて、一生懸命になることがなかった野田遼が、年を取ってからトランポリンに回帰するエピソードが最後にあるのが巧いなと思いました。

初読では、目を惹くタイトルと中身が合っていない気がしたけれど、すべての道は自分自身で決めないと意味がない(だからあれこれ指図しないで欲しい)という意味なのでしょうか。

文章的にも、非常にスムーズ。
エピソードは視点を変えながらどんどん進んで行きますが、時系列が戻ることはないので、読みやすかったです。コーチや広報担当視点も含まれているので、多角的に楽しめます。特に「娘の為に競技を辞めた」という父親の決断を自分の重荷に感じる娘という下り等は、親の観点から考えてしまいがちだけれど、娘の側はそう受け取ることもあるのかと考えさせられました。
反面、全体がさらりとしているので、もう少し競技者として悩みや他者との関係があっても良いのではないかと思いました。

やはり「桶狭間の戦い」で負けたままはいかん、と思ってやり直したのですが、また負けました。
なぜ、今川の本陣を奇襲するという、それだけのことに行き着けないのか疑問です。もしやこれは、桶狭間の戦いが如何に様々な偶然が重なって手に入れた奇跡の勝利だったか、ということの追体験をさせられているのでしょうか。
清洲に戻って再戦しても勝機があると思えず逃亡。今度は山賊の頭領になりました。
全選択肢を確認した訳ではありませんが、「女の砦」まで行き着くと、どう選択肢を進めても、山賊になってしまうのかしら。展開には凄い幅があるのですが、一度ルートに入ってしまうと選択肢の結果が変わらない箇所も結構ありますね。
とりあえず、このルートで天狗党が日本を実効支配するエンディング「赤天狗党」と、今川義元に復讐せんと清州城に潜入して返り討ちになるエンディング「釣り天上」を確認しました。

その後は、間違って「最初に戻る」を選んでしまったので、試しに本能寺の変から長篠の戦い前日に戻る選択肢にも行ってみました。
本能寺の鮮明な記憶で憤懣やるかたない信長は、即刻光秀を呼び出したわけですが、ここで出てくるのが……

  • 「切腹を命じる」
  • 「斬る」
  • 「笑って許す」

の三択。
少し悩んだけれど、私は「高2→将軍」のイメージもあって光秀は好きな武将ですし、ここで殺してしまったら結局真相に至らないと思って「許す」を選びました。
しかし、その後の選択肢はどちらを選んでも「走馬灯だった」というオチへ。

人は死の直前に、己の人生を反覆するという

少しホラーを感じる演出は驚かされたし面白かったけれど、これも最後の選択肢は若干前振りが変わるだけで同じ結末だったのが残念です。

何度も繰り返すうちに、既読スキップがないことと、スタッフロールをスキップできないことが辛くなってきました。ノベルゲームのUIが整ったのは、このゲームが発売された年代(1997年)より後なんでしょうかね。

収集漏れしていた北米版「パルマコスタ人間牧場」の台詞が書き写し終わり、昨日ユアンさま専門情報サイト(旧ユアンさまサーチ)を更新しました。

今回書き写すに当たって、気にしていた台詞は2つあります。

1つはゼロスの「だからマーテルさまには涙をのんで消えてもらうってか」。
「涙をのんで」という部分が浪花節の日本語っぽい表現ですし、揶揄している調子も伝わらないといけないし、ということでどう訳されたのか気になっていたのですが、北米版だとこのような台詞になっていました。

So, you're gonna have Miss Martel be a good little girl and disappear.

書き写している最中、元の台詞なんだっけ?と一瞬考えてしまいました。
私がこれを日本語に再翻訳するとしたら、「それで、アンタはマーテル女史に聞き分けのいい良い子になって消えてもらうつもりか」という感じかしら。「good little girl」という部分はニュアンスで意訳しています。
そして他の全員が「Martel」と呼び捨てにしている中、一人だけ「Miss Martel」と呼ぶ辺りが、女たらしの面目躍如と思いました。

もう1つは、リーガルの「獅子身中の虫…か?」。
獅子身中の虫ということわざが英語にあるのだろうか、と疑問に思っていたところ、こんな台詞に変わっていました。

A double-agent?...

二重スパイという意味だと、ユアンさまはレネゲード側の情報をクルシスに渡していないからちょっと違うので、「逆スパイ」という感じでしょうか。こちらは少々苦しい台詞ですね。でもリーガルだから、産業界っぽいセリフにしたのかなぁとも思います。

それから、実際に書き写したことで「お?」と思ったのはロイドのこのセリフ。

How do we resurrect the Giant Tree?

日本語だと「どうしたら大樹が復活するんだ?」と単に質問しているだけですが、英語だと「We」と言っているので、まだ手を組むかどうかを吟味しているはずなのに、既にやる気だな!と感じました。
実際のところ、そこまで主語に強い意図はないのかしら。この辺の感覚は、母語が英語圏の人に伺ってみたいところです。