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五十音順キャラクター・ショートショート【れ】
→ルールは2012年12月17日記事参照


 冷静だった。
 ――と自分の振る舞いを採点し、安堵したときだ。
「お前でも、王妃様には緊張するのか?」
 彼に見破られていたと知って、レイシスは秘かに驚いた。
 王宮内でただ一人、レイシスのことを友とかライバルとか呼ぶその男は、衛兵長でありながら剣より花束を持って歩いていることが多い、典型的な貴族である。今日は警備を兼ねているのか、立派な剣を腰に差していたが、藁束しか斬ったことがない剣が何の役に立つだろう。
 ある意味で彼は、レイシスが思う“インフェリアの平和”を証明する存在だった。呆れたり苛立ちながら、ほっと安心もさせられる。
 考えてみれば、彼の前では気を抜いて、心の鎧を外していたかも知れない。
 ならば彼が見破ったのではなく、自らが告白していたようなものだ。
「そうだな、緊張はするさ」
 仕方なく、レイシスは笑って認めた。
 でも、その緊張が心の奥に潜む憎しみを抑える為であることは、墓の底まで持っていく秘密だった。

零下の憎悪
……レイシス・フォーマルハウト(ゲーム「テイルズオブエターニア」)


本当はロエン様に「ろ」のお題で登場して頂く予定でしたが、その前の「れ」で苦戦して、TOEを使ってしまいました。
レイシスは、母親を愛していたようだから、本心では王妃を憎んでいたのではないかなと思います。ただ、復讐しよう等と考えるタイプではなかったので、ただ何時までも消化できない憎悪があるだけ。
レイシスみたいな出来過ぎた人物は書き難いので、ロエン様を書きたかった(苦笑)。

五十音順キャラクター・ショートショート【る】
→ルールは2012年12月17日記事参照


 ルーン文字が刻まれた、古ぼけた杖だった。
「判定するぞ」
 期待と不安が互いに引き合う緊張の中、私は宣言し、魔力に満ちた壺を傾けた。その口から、紅い魔力の液体が流れ落ちる。液体の触れた箇所から杖の輝きが蘇る光景に、心が逸る。
 この魔法の液体に浸せば、あらゆるものが本来備わっていた力を取り戻す。
 私と彼は震える手で杖の表面を拭い、いまやはっきりと視認できるようになった銘を読み上げた。
「……ルーンスタッフ」
 現代では製法が失われた、伝説級の杖だ。
 危険な坑道から杖を持ち帰った友人は、感動を籠めて息を吐いた。
「念願のルーンスタッフを手に入れたぞ!」
 ほとんど同時に、私は彼に伏して願った。
「譲ってくれ、頼む」
 一瞬の間があってから、彼は私に笑いかけた。
「だめだ」
「見損なったぞ、エドワード」
 呻くような声が出た。
 勿論、発見者である彼に第一の所有権があることは認めよう。だが、坑道の入抗許可証を手配し、金欠の彼に代わって魔法の薬ルーンボトルを用意した私の助力も鑑みて貰わねばならない。
 その上、私は宮廷魔術師なのに、いまだに店売りのルビーワンドを使っているのだ。魔法大国たる我が国の威信を保つため、国民の協力を期待しても良いはずだ。
 私の訴えを彼は一蹴した。
「私の方が危険な旅をして、世界の魔術発展のために貢献しているさ」
 だが、その危険な旅の中で彼が杖に求める役割は、私が許容できることでない。
「どうせ、ただの杖として使うのだろう」
「そういう歳なんだよ」
 魔法の発動体として活用されないなら、ただの樫製ロッドで十分だ。
 しかし彼は頑なだった。
「とにかく、これは譲らない」
 そして、神話に登場する杖の名をあげて、こう約束したのだ。
「次にスターメイスを見付けたらこっちは譲ってやるさ。お古だがな」

 ――結局、スターメイスを見付けることなく彼は逝ってしまい、形見としてルーンスタッフは私の元にやって来た。
 だが、私は待っている。彼がスターメイスを見付けて帰ってくることを。それまで、この杖は預かっているだけなのだ。

ルーンスタッフは遺された
……ルーングロム(ゲーム「テイルズオブファンタジア」)


何も考えずに書いた典型のようなSSで、ごめんなさい。

ルビーワンドは過去のアルヴァニスタで販売している杖。一方、ルーンスタッフは過去のモーリア坑道B10で宝箱から入手可能。攻撃力が倍以上違います。
未来のアルヴァニスタではルーンスタッフより2.5倍強い「ホーリィスタッフ」を販売中。この後、ルーングロムの下でルーンスタッフの研究開発が進み、ホーリィスタッフ開発に寄与したのだと勝手に宣っておきます。
なお、ルーンスタッフの次に手に入る杖はユニコーンホーンですが、エドワード・D・モリスンは清らかな乙女じゃないので最初から狙っていません(笑)。
スターメイスは、未来世界のダオス城の宝箱から入手可能。エドワードが入手するには、クレス一行に入れて貰うしかありませんね。

2012年4月1日エイプリルフール限定公開したベアルファレスサイトより、そろそろ時効と言うことで収録。


 毎朝の習慣として顔を洗い、覗き込む水瓶の中に亡霊を見る。
 数多い兄弟たちの中でも、ディアスと彼は特に似ていた。
 蒼い髪、浅黒い肌、切れ長の眼、薄い唇――そして、一度敵とみなせば即座に切り捨てる冷徹さまで。
 だが、彼の歳を超えた頃から、ディアスは水面の向こうの男が本当は誰に似ていたのかを知った。
 感傷はない。
 感傷は多くのものを奪い、なにも与えない。
 ディアスはただ、水中の男を見下ろすだけだ。
 同じ顔の男を、もう一度殺すことになるだろう予感と共に。


ウェルド「ディアスって、ナルシスト?」
ディアス「……」

五十音順キャラクター・ショートショート【り】
→ルールは2012年12月17日記事参照


 隣国の王妃を見舞い、夫の悪口を散々聞かされて退出したところで、当の国王と出会した。
 一瞬、悪戯を見咎められたような居心地の悪さがあったが、そこで萎縮する柔な姫君ではなかったので、リーズラインはこの機に思う存分、噂ばかり耳にするこの王を観察してやった。
(言われるほど、悪い男ではなさそうじゃが)
 柔らかい笑みを浮かべる王は、妃が語るほど無思慮な野蛮人には見えない。どちらかと言えば、温和で頼りない男だ。
(若長が期待したような名君にも見えぬ)
 リーズラインの友人たちは、この王に一族の未来を託した。その決断は誤りでなかったと思いたいが、今のところ確証は得られない。
(グラスターシャもサラも、シヴァ王は「ぽややん」じゃと言っておったからのぅ)
 親友たちの評を思い出して、リーズラインは頷いた。
「……あの、姫?」
 二度躊躇った後にそう呼び掛けて、シヴァ王は笑みを困った色に変えた。
 続く言葉を待って、リーズラインは首を傾げる。ふと、王の後ろに控えた側近が迷惑そうな表情で睥睨してくるのを見て、自分が進路を塞いでいたことに気が付いた。
 この王は、自己主張すら臣下に劣る。
「うむ、邪魔をしたのじゃ」
 リーズラインは胸を張って道を開けてやった。だが――
「どうぞ、これからも妻と仲良くしてやってください」
 思いがけない言葉に、リーズラインは目を見張った。
 リーズラインは何処に行っても敬遠されることが多い。なんせ、あの母の娘だ。それは致し方ない。幼少を魔族の都で過ごした為か、少し他人と違うところがあるのも事実だ。
(……ちょっと良いやつかも知れぬの)
 ほんの少しだけ評価を上方修正してやることにして、リーズラインは頷いた。
 そういえば、彼の妃は采東の姫だから、この異国では友だちもいないだろう。
(リーズラインが友だち一号で――そのうち、サラを紹介してやろう)
 クシアラータの元王女なら、お互いが知るシヴァ王の話題で盛り上がるはずだ。
 その気配りが別の騒動を起こすとは知らず、爛漫な姫君と隣国の王は笑顔を交わした。

隣人とは仲良く
……リーズライン(小説「クシアラータの覇王」)


最初は、シヴァの事務次官に転職したギザニエと再会する話にしようと思ったのですが、ギザニエと姫では話が盛り上がりませんでした。

古い作品なので軽くご紹介しておくと、講談社X文庫ホワイトハートで発行された、高瀬美恵作の本編全10巻+外伝2巻からなる小説です。
最初は復讐譚で、4巻辺りからギャグ&ラブコメ路線になっていく上に、アオリ文句は「運命の王女サラの物語」なのに、主人公はシヴァ王だったという変なシリーズですが、結構好きでした。

五十音順キャラクター・ショートショート【ら】
→ルールは2012年12月17日記事参照


「来月は休戦期間だ。それまで持ちこたえるのだ!」
 ガルガスタンの本拠コリタニは豪雪地帯だ。雪深くなれば身動きがとれず、およそ一ヶ月の自然休戦が生じる。
 半年前の蜂起では、これを生かして敵の増援を絶ち、多くの同胞を強制収容所から解放したのだ。
 だが、今度は危ういかもしれない。
 己が発する鼓舞の声の熱度と裏腹に、腹の奥底が冷え込む。
 ウォルスタの兵は傷付き疲れ果てている。第一、休戦期間まで耐えたとしても、その先はどうなる。少数民族のウォルスタは、戦いが長引くほどに弱体化している。補充される兵は初めて剣を握る子供ばかり。自身とて、たかだか二十三歳の成り上がりだ。
 ウォルスタの未来を摘んでいるのは、我々自身ではないのか。そんな疑念が囁く。――だが、ガルガスタンのバルバトス枢密卿が民族浄化を推し進めれば、どのみちウォルスタ人は殺されるのだ。
 ならば、最後の一人になろうとも、戦い続けるしかない。
 自身の半分を殺し、残った半分だけで生きていくような器用なことはできないのだから。

Life
……ラヴィニス・ロシリオン(ゲーム「タクティクスオウガ 運命の輪」)


コリタニ城が雪マップなのは事実ですが、半年に一度の周期で豪雪になるというのは捏造です。
自分で書いておきながらこんなことを申し上げるのもどうかと思いますが、恐らくコリタニ地方はそこまで積もらないんじゃないでしょうか。