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宝塚月組・浪漫活劇「All for One 〜ダルタニアンと太陽王〜」18:30回(e+貸切)。

今回は、予告通りキャスト感想をメインとした観劇感想をまとめる予定だったのですが……。
観劇の直前に、友人から「沙央くらま退団」のニュースを聞かされて、絶句しました。

下記の生徒の退団発表がありましたのでお知らせいたします。 
専科
沙央 くらま

2018年2月11日(雪組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団

http://kageki.hankyu.co.jp/news/20170928_006.html

まだ月組出演中ですが、次に出演する雪組は今日が集合日(練習開始日)だったのですね。
今日、正にこれから観劇なのにこの発表!?と思いましたが、幸い楽しいお芝居なので、観劇によって笑って消化させて貰えました。

ご本人、モンパンシェ公爵夫人@沙央くらまは前回と変わりなく、元気にメゲない“年増のマドモワゼル”でした。傍迷惑な人だけれど、初恋を貫く可愛さと体当たりの行動力がキュートで、応援したくなりますよね。でも、護衛隊に「覚えてろよ」と凄むときだけ異様に格好良くてトキメキ(笑)。男を演じても女を演じても、あまり印象が変わらない役者ですが、やはりベースは男役にあるんだなと思います。
あと、胸の谷間は描いてるのだと思いますが、ある程度自前……? 妙に注目してしまいました。
e+貸切ということもあって、観客の内どのくらいの方が退団発表を知っていたのか不明ですが、パレードでの拍手も熱く、色々とありがたく感じました。

今日の客席は笑いの沸点が低めで、一幕の早い段階から笑いが多かったように思いました。
「壁ドン」のSEが前回と違って、なんだか変な反響がついてました。ドーンという大きな音が鳴るというシンプルな迫力で良かった気がするけれど、リピーターが増えてきた時期だから、つい手を入れてしまうのかな。

他のキャスト感想は、ひとまずトップコンビだけ。

ダルタニアン@珠城りょうは、ご本人が「体育会系」に見えるという役柄との親和性もあり、「真面目で頑固な田舎者」の魅力がにじみ出て、アテ書きの良さを感じました。何より「銃士隊一の使い手」「無敵のヒーロー」という謳い文句に、説得力があるのが良いです。
好き場面は、惚れた相手を問い質されて「国王陛下」と言ってしまうところ。男色と勘違いし、そっと懺悔室の仕切りを閉めるアラミスと格闘するのが笑えました。

ルイ14世(ルイーズ)@愛希れいかは、元男役の下地を活かしつつ可愛い女子感たっぷりの好演。アイデンティティは紛れもなく少女なのですが、女の格好で街に繰り出しておきながら、男として日頃振舞っている癖が出てしまうチグハグっぷりで笑わされました。

他のキャストについては、明日に続けます。

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TOHOシネマズ新宿にて、「龍真咲ラストデイ」中継に参加。
これは、月組「NOBUNAGA<信長>/Forever LOVE!!」東京宝塚劇場千秋楽、およびサヨナラショーを生中継したライブビューイングです。

龍真咲当人については、舞台人としては難点が多い役者だと思いつつ、唯一無二の「龍真咲というスター性」を打ち出すところが好きでした。好き嫌いが激しく分かれる芸風ではありますが、宝塚は5組もあるのだから、1人ならこういう個性派がいても良いと思います。2人以上いると困っちゃうけど……。
個人的には全開の笑顔より、真顔か、悪人面をしているときが好きでした。
(振り返ってみたら、2010年9月21日記事「3年目の浮気」という証拠記事が残っていました)

一応、公演の2回目感想も含めて記載。

ロック・ミュージカル「NOBUNAGA<信長> -下天の夢-」

2回観ると面白いという評判を聞いていましたが、確かに初見よりは面白かったというか、本作の見かたがわかった気がしました。
それは、信長の話として観るのではなく、戦国時代を舞台に龍真咲のタカラジェンヌ人生を映した物語だと解釈して、作中の人間関係や台詞を深読みするというもの。正しい楽しみ方かどうかは分かりませんが、こうして観ていると、エピソードの継ぎ接ぎ感も気になりませんでした。
日本物といいつつ衣装などは創作戦国風なので派手だし、どんどん場面転換するので、中継で見ても面白さは薄れない作品だったと思います。
映像はアップ中心で、もう少し全体が見たい箇所もありましたが、話の中心を追うという観点からはストレスのない視点でした。

シャイニング・ショー「Forever LOVE!!」

芝居で遊べない分、こちらはアドリブが炸裂。
第七場「Adoult LOVE」の三人(龍・愛希・珠城)の絡みは、「2人ともアドリブに強くなった」と褒められていました。
絶対長くなると期待していた第八場「Sweet LOVE」は、よくあそこまで進行を無視した上、唐突に本来の流れに戻せるな!と二重に感心しました。なんせ「アモーレ」をいうまでに、「アンパンマン」だ「天の邪鬼なんだ」等と関係ない台詞をいうだけに留まらず、舞台上にいる組子を並ばせてダメ出しが始まったのです。輝月ゆうまは単体で「デカい!」と怒られていて、美味しかったです。しかし真咲から「私の特技は知ってるよね」と言われて、すかさず「説教です!」と答える組子も、かなり強いなと思いました(笑)。ちなみに、本人的には「説教と依怙贔屓」が正解。
その後はさすがに目立つアドリブはなかったけれど、第十三場「Sexy LOVE」では、軽く男役スター陣と絡む振り付けがありますが、沙央に一瞬だけ額をくっ付けたときの、してやったりの表情と、沙央の素の驚き顔に萌えました。

もちろん、終盤の退団者クローズアップシーンは感動もの。斉藤恒芳先生らしい切ない楽曲に、心を掴まれました。

龍真咲サヨナラショー

組長から今後のスケジュール、異動者の挨拶、トップスター略歴紹介があってから、遂にサヨナラショーが開演。
「1789」の楽曲は3曲。台詞部分が抜かされた「パレ・ロワイヤル」「声なき言葉」は、超短縮版で少し残念でしたが、公演時には参加していなかった生徒も含めての合唱を堪能できました。
そして、一番驚いたのが「モーツァルト!」の「僕こそミュージック」の出来です。
ショーの主題歌も、この歌を想起させるフレーズがあったりして、余程本人の心境に合っているんだろうと思っていましたが、実際に曲を歌ったときに、ここまで心がこもるのかと驚きました。
これまでこの曲は、生では山崎育三郎、新妻聖子、音源では井上芳雄と、錚々たるメンバーの歌唱を聴いています。でも今日の龍真咲の「僕こそミュージック」には圧倒されました。声を張り上げるのではなく、感情が乗って飛んでくるような音でした。

退団者挨拶は、みんな立派だなと感心。
そして、カーテンコールへと雪崩れ込んでいくわけですが……

はっきり言って、ラストデイでこんなに笑ったのは、初めてです。
泣いて良いシーンもあったし、感動する瞬間もあったのですが、空気が湿度を纏うと、場を吹っ飛ばす発言を始めるものですから、笑って終わらせたい意向を強く感じて、もう笑って帰ることにしました。
萌花ゆりあの「結婚します」報告に対抗して、「結婚できませんでした」報告をしたり、最後まで組子にダメ出ししていたり、やりたい放題でたくさん笑わされたけれど、一方で相手役への感謝や次期への引き継ぎもして、客の期待に応え続けた千秋楽だったと思います。

その場、その瞬間でしか通じない言葉というものがあるから、真咲の発した言葉をここに書き写すことはしません。ただ、3回目のカーテンコールで、
今日はとってもいい日でした。
と言った、その晴れやかな笑顔を見たとき、この人は本当に未練なくやりきって卒業するんだな、と実感しました。

ラストソングは、独唱から始まる「タカラジェンヌに栄光あれ」。
史上初の選曲らしいですが、龍真咲らしい選曲で、最後まで自分を貫いたなと思いました。
ちなみに、過去に観たラストデイでは、大空祐飛「宝塚我が心の故郷」、霧矢大夢「この愛よ永遠に(FOREVER TAKARAZUKA)」でした。意外と、定番の「すみれの花咲く頃」を選ぶトップの退団を観ていないです。