• 2009年登録記事

物語を要約する作業は、小説を書く勉強に良いらしいですね。
10場及び11&12場は、内容が多過ぎて必須事項を抽出するのに苦戦しました。まだまだ修行が足りません。

【第10場 戦場】
ホゲ率いる高句麗軍とタムドク一行が遂に刃を交える。傭兵チュムチがタムドクを護って倒れた時、懐から白虎の神器が零れ、チュムチが白虎の護り主である事が判明する。
やがてタムドクとホゲの一騎打ちが行われるが、最中に火天会士が放った矢に当たりホゲが倒れる。
ホゲはタムドクに朱雀の神器を渡し、キハがヤン王を殺していない事、タムドクの子を身籠っている事、そして火天会の根城に連れ去られていることを告げ絶命する……

まずは破格の演出によるホゲ様行軍シーン。
ここ、二階席センターから見たアングルが欲しかったかなぁと思います。他にも、ずっと全景を映してるアングルだとか、あれば面白いと思うんですけれどね。
このシーンは振り付け変更もされているし、芝居の方も間の取り方など、東京公演と違うなぁと思いつつ、何度もリピートしていると脳内で両者が一つに融合していきますね。
生で観劇していると、ジェットコースター物語でもあんまり気にならないんですが、映像で観ると展開の早さが3割増で感じます。戦闘が始まったと思ったらチュムチの覚醒があって、即一騎打ち、ホゲの死と続いて目が点になりました。
ホゲ様を見てると全然何が起こったのか気付けないチュムチの覚醒は、DVDによるとイルス&チョクファンがタムドクに切り掛かり、チュムチが庇って代わりに倒れると言う芝居をしていたようです。チュムチは神器を腰に巻いている状態で、背中から斬られて倒れ、立ち上がった時には神器が光ってるので、神器パワーで復活した、と言う事なんですよね。これは白虎の神器特有の力なのか、全ての神器に護り主を守ると言う能力が付与されているのか、説明がないので何とも不明。
また、白虎の神器はこの後一騎打ち中もずっと光っているけれど、玄武と青龍の神器は反応してない。王の怒り以外でも良いタイミングで光る辺り、結局言い伝えは当てにならないと言うことなのかも。
さて、矢に刺された後(左手で自分に刺す為の矢を準備してると思われるホゲ様を想像すると、微笑ましいですね)、タムドクに「綺麗に死ぬための体勢」で抱き起こされたホゲは、要約に書いた通り、言わねばならない事が多くて死ぬまで必死です。一つでも言い忘れたら、タムドクとキハの確執は溶けないし、次に行くべき場所のフラグも立たない。ドラマでは、ホゲは何も言い残さず絶命してしまうそうですが、舞台版ではホゲ様がしぶとく頑張る御陰で、ハッピーエンドに至れるわけですね。
最後に「君が王なら」の歌まで歌ってしまうし、これだけ最後にタムドクとキハの為に言い残すところを見ると、9場で正気に返ったホゲは、死に場所を探してたと言う事なのかも。
後ろで見ているヒョンゴの困り顔は、私にとって未涼の代名詞みたいな表情だと思ったのですが、よくよく見ると、未涼のメイクって最初から眉が寄せられた形になっていませんか。気付いてから、一幕に巻き戻って眉毛を確認しちゃいました。
それにしても、小池作品の2番手悪役なのに最後までヘタレにならないホゲ様は、大変貴重なキャラと言えるでしょう。やはり小池先生に限って言えば、原作付きは良い事ですね。

【第11場 阿佛蘭寺】
【第12場 天空】
タムドクは火天会の根城に乗り込む。産まれたばかりの子供を殺されかけ、キハが黒朱雀と化す混乱の中、タムドクはプルキルから息子を取り返す。
タムドクは黒朱雀を討つ事を良しとせず、神器を天に返してキハの命を乞う。タムドクが炎の中に飛び込みキハを抱き留めると、キハは自分を取り戻す。
二人は愛を誓い合い、理想の国を作る事を高らかに宣言する……

10場で小池先生が力尽きてしまったのか、電光やスモークや大装置で派手にはしてるんですけど、終わりがバタバタしてる花組。星組版では全体に改善してあげて欲しいです。
このシーン、DVDだとプルキルが密かに髪型を変え、ストレートのまま下ろしていることが分かりました。もしや、三つ編みはサリャンが編んでたのか?
また、王妃チャピとトラジを演じていた初姫がなんと三役目の産婆。セーム様とはまた毛色の違う毒婦ですね。蛇を模した髪飾りも雰囲気があって素晴らしいです。そして、役作りの為に出産ビデオを見たと言う役者の姿勢が、直接出産を見せるシーンはないのに、面白い子だなぁと思います。
アングルは、引きにする配慮が欲しいです。人形(赤ん坊)の顔が丸見えになる時があって、ちょっと醒めます。

最後の最後にメインの事に触れないまま、これにて芝居は終幕。
が、DVD及び感想は、ある意味ノリは本編より内容が濃いかも知れないフィナーレに続きます。

090608.jpg

年に1回程度、不定期に訪れるお絵描き欲が出て、昨日一日ちょっと真面目に時間を取って描いた初カシウス@暁のローマ。
公演キャラの場合も、ナマ物取り扱いと言うことでアップしない方が良いのだろうか……と思いつつ、日誌に書くネタないし、どうせ似てないから良いやと開き直って公開しちゃいます。

何故この公演を観劇しないまま終えてしまったのか、と言えば当時は別にゆうひファンでも月組ファンでもなかったから、なのですが……本当に惜しい事をしました。実は観ようと思っていた、と言う事実が余計に悔しいです。
かといって公演DVDを買うのは癪で、キャトルでポストカードを見ては悶々とする日々を過ごしてきたのでした。
もっとも、個人的に控えていたグッズ購入を今年から解禁したので、次回キャトルに行ったら数年越しの想いを込めてカシウスポストカードを買うんだ、と死亡フラグ(笑)のような事を言っている麻生でした。

この話をすると驚かれる事が多いのですが、実は「十二国記」を読んだ事がございません。
ホワイトハート文庫を数シリーズ読んでいたので、山田章博先生の表紙絵は良く見かけましたし、異世界ファンタジーは好きなジャンルなのに、なぜ読んでいないかと言うと、有名作品過ぎて、天の邪鬼な麻生にはなんとなく癪だった、としか言いようがありません。

そんな関係の薄い「十二国記」を何故持ち出したかと言うと、昨日数ヶ月ぶりに再読を再開した徳間文庫版「銀河英雄伝説」9巻の解説者が、小野不由美氏であるためです。
氏は、この解説の中で「死なないラインハルト」論とでも言うべき考察を告白した上で田中芳樹氏に謝罪しているのですが、私はその意味がさっぱり分からないまま十年過ごしていました。
……もしかして「十二国記」の話をしているのでは? と気が付いたのは、9巻を読み終え床についた昨日の夜中。
これは凄い推理に思い至ってしまった、と密かに興奮しながら今朝早速Googleにお尋ねしたところ、文章読みの中では大変一般的な基礎知識だったようです。
ああ、だから銀英伝好きだと言うと、十二国記を薦められるor既読だと思われる事が多かったんですね。大変今更ですが、一つ利口になりました。

先日、星組版ホゲ役の凰稀かなめが、怪我でイベント関係休演の公式発表あり。組替後&番手大幅アップの不安定な時期の怪我は辛い事と思いますが、今は大事を取って養生し、そして半月後からは素晴らしいホゲを演じて「星組・凰稀かなめ」を披露してくれるよう願います(でも足指の骨折って半月で完治するのかしら……)。

僻地より祈りつつ、引き続き花組版感想。
1場分だけですが、4シーン詰め込まれた佳境なので、自分でも感心するくらいダラダラと長文感想になりました。

【第9場 国内城内】
マッカツで白虎の神器を見付けられなかったホゲは、契丹へ遠征する事にする。
火天会のサリャンはホゲに、プルキルの正体と目論みを明かすが、裏切りを察したプルキルに殺されてしまう。ホゲはプルキルと取引し、朱雀の神器を手中に収める。
契丹遠征を知ったタムドクは、戦争を止めるためホゲの後を追う……

まずホゲ側。ホゲから「お前の水晶玉、もう信じはしない」&「もう聞き飽きた」と反抗されて一瞬固まるプルキルの反応がちょっと可愛いです。
ヨン・ガリョは、息子の暴走具合に腰が退けて、最早完全に止める方向。チョジュドはそう言った状況諸々に対して嫌気が差してそうな様子。
ホゲ様が「勝てば神器を探せる」と言った時、DVDは薄く笑っている上に瞳に狂気を宿している表情を真正面から捉えています。ヤバい人だ、と思うと同時になんて格好良いんだろうと身悶え。キハの妊娠が、精神に相当影響してる気がします。当人から早く神器を探すようプレッシャーも掛けられてたし、結局この人はキハに人生狂わされたんですね。その上ドラマではキハ自身を愛しているらしいのに対して、この脚本ではキハを愛してもいないと言う事に哀れを感じます。

続くタムドクチームは、なぜか0番周辺のヒゲ率が高くて面白いです。学年の高い人がセンターにいて、上手下手が下級生と言う配置なのかも。珍しくタムドクなしで仲間達だけが騒いでる短いシーンですが、これ、単純にタムドク着替えの時間稼ぎと言う疑惑が私の中に残ります。

再びホゲ側。その場面転換の際、高句麗軍の兵士達が旗持って左右に散る演出が華麗です。その奥で地図を見ながら軍議中らしいホゲ様も素敵な将軍っぷり。
この場のメインであるサリャンの密告は、予想外のホゲアングル収録で、通常アングルと合わせてくり返しリピートすると、サリャンの必死さとホゲの揺れてる感情が見えてきて楽しいです。
さて、演じる華形は私の好きな役者ですけれど、正直な感想として、サリャンはもっと屈折した性格の役者が演んじた方が良いかもしれないと思いました。華形は真っ直ぐ過ぎて、役の幅がまだ「一本気」的。どうしても正義漢っぽくて、私には彼がキハを愛していたように見えませんでした。
花組観劇で三回続けて華形が死ぬ役か、と言う個人的な気持ちもありますけれど(笑)。

それにしても、何故サリャンはホゲの元へ密告に来たんでしょう。
ホゲがキハを愛してるから止めてくれると言う幻想も抱いていない様子だし、物語として考えれば、タムドクに本当のことを打ち明けて助けを求めると言う選択肢もあったはず。
でも恐らくサリャンは、ホゲならプルキルに反論して意を通せると思ったから、彼を選んだんですよね。実際、プルキルは何時でもホゲを見限れる立場なのに、ホゲを尊重してる姿勢を一度も崩さないのですが……さて、プルキルは計画通り事が運んで、世界を手中に収めたその時、ホゲをどう処理するつもりだったのでしょう。
6場の感想も踏まえると、プルキルにとって、世界を治める事は副産物であり、本当の狙いは愛するカジンの火の力を手に入れる事だったのではないかしら。だから、面倒な世界の統治をホゲが引き受けてくれるなら、それで良かったのかも知れませんね。

それにしても、ホゲがまだプルキルを西域の商人だと思っていた事に、どうしても突っ込みたくなりますね。それとも、高句麗の商人は誰でも水晶玉に遠くの情景を映したり人を操ったり出来ると言うのか?
暗黒道に半身浸かり、契丹遠征を決めた時は狂気メーターが振り切れていたホゲですが、軍備を整える内に正気が半分くらい戻ってきた模様で、顔つきがまた違います。赤ん坊を殺す計画を聞かされた瞬間はかなり揺れてますよね。
密告内容を吟味している時点では、まだどちらに転ぶか検討中と言う印象。ですが、サリャンの目的を質した事で、キハへの想いを読み取ってしまい、心を閉ざしてしまったのかなと思います。「お前もあの女の虜か」と零す、凄くクールでSッ気で突き放した顔!
これを引き出すキーだと思うからこそ、前述通り華形にはもっとキハを愛してる想いを出して欲しかったです。役柄上、敢えて抑えてるんでしょうけれどね。
ヤン王の件は、そう言えばホゲは真相を知らなかったんですね。後でタムドクに真実を明かす為に、ここで知っておく必要があっての会話でしょうが、これもサリャンは正直に語り過ぎたなと思います。ホゲからすれば、結局キハはタムドクの為にしか行動してないと聞かされたようなもの。途中で話を聞かずそっぽを向いてしまってます。
それでも、サリャンが掴まった後は、少し戸惑うのですね。とは言え結局は二人のやりとりを見詰めたまま、最後には縋り付く遺体を蹴飛ばし、自ら引き返せない所へ進んでしまう。一幕5場の頃からの落差と、これ以降の目つきに、SWエピソード3が被ると言うのは言い過ぎかしら。

段々ホゲ様とどちらが好きか分からなくなってきた恒例のイルスチェックは、まず軍議の時の微妙に小さくなってるシルエットが性格出ている事と、取引直後に報告に現れる時の「将軍〜!」の呼び掛けが余りに子犬状態で、結局可愛いとしか言えません。
その可愛い部下から「全軍揃いました」と言われたホゲの方は、一瞬で複雑な表情を見せてますね。何かを飲み込んで、躊躇いを見せ、けれど決意している。
もしかすると、先にこの場のホゲは半分正気と書きましたが、この時は完全に正気が戻ってるのかも。出陣の号令も、これまでなら力む台詞の時は狂気が現れた演技をしてるのに、それを通り過ぎた冷静さを感じます。
よく考えれば、この後の戦場の行軍シーンも、一幕の頃の顔に戻ってるような気がしてきました。
正気を取り戻したのに、いや、だからこそ敢えて地獄に進むのでしょう……。

一方、新しいマント付きの最終衣装に着替えたタムドクを迎えたタムドクチーム。
チュムチはパソンからお守りとして白虎の神器を譲り受けますが、神器は、どういった価値の品物に見えるんでしょうか。チュムチは純粋に喜んでるけれど、性格が明るい彼なので、お守りを貰った!という事で喜んでるだけかなとも思いますし、よく分からないですね。
10秒くらいしか登場シーンのない、黒い妊婦服姿のキハ。これは8場の上着の中の服みたいですね。上着がないだけで印象が随分変わります。

次回は、ホゲ様最期の見せ場、戦場です。熱く語るのは確定として、ついでにその勢いでラストまで到達出来るでしょうか?

銀英伝再読の旅が、異動のごたごたにより9巻半ばで止まっていたのですが、本編は一時置いて、創元SF文庫版「銀河英雄伝説外伝4 螺旋迷宮」を買いました。

ちなみに、麻生が持っている本編は徳間文庫全10巻です。
徳間ノベルズを新品で入手することが困難だったため、高校時代に文庫を発見して以来、毎月一冊ペースで頑張って買い揃えました。が、徳間文庫では外伝が1巻しか販売されていないため、これは購入せず見送りました。デュエル文庫が出た際は、「ファイナルバージョン」と銘打たれていた事もあり、そちらで本編+外伝を全揃えしようかと思ったのですが、挿絵の存在や分冊化による一冊の薄さが引っ掛かり、足踏み(ユリアンのイゼルローン日記だけ読み直しの為にデュエル文庫で購入しましたが、現在は既に手放しています)。
やがて、改めて創元SF文庫でリリースされる事になった2007年、このシリーズで今度こそ外伝を揃えようと決意……したものの、なかなか外伝刊行に至らず、すっかり存在を忘れていました。
会社帰りに久し振りに本屋に寄ったところ、偶然棚差しの本書を発見し、そういえば、と購入した次第です。

前振りが長くなりましたが、約十年ぶりに読む久し振りの外伝、面白かったです。
確か初読の時は、外伝シリーズは巻が進むごとに退屈だと感じた印象があるのですが、今の年齢になって読み直すと、逆にダレる事なく頁を捲って、直ぐ読み切ってしまいました。
このことについて個人的な見解ですが、外伝は本編より歴史小説的になっているのでは、と思いました。
メインの筋が過去の出来事を読み解くと言う歴史談義である上、この小説自体が本編より過去の出来事であることから、主人公や周囲の後日本編に登場する人々が、作中で失脚したり死亡するような事は絶対ないと分かっていて読みますので、大いに緊迫し盛り上がる事件は起こりません。結果、淡々としている=本編よりつまらない、と言う印象を受けたのでは。でも、田中氏らしい文章と構成を楽しむと言う面白みは、何ら変わらないものであることが、今は分かったのだろうと思います。
思えば、再読の時楽しく読んだ1巻1章も、初読の時はしっかり読み飛ばしました。
勿論、ヤン+アッテンボロー&キャゼルヌ先輩と言う構成が、私の一番大好きな同盟軍メンバーだと言う、単純な好みの問題もあるでしょうけれど、年を取って面白さが分かったと言う点は事実なので、上記のような事ではないかなぁと思います。
尚、解説の石持浅海氏と言う方は、私は推理小説を一切読まないのでまったく知らない方だったのですが、私が以前から悶々と思っていたところを巧く表現してくださってる解説で、これも一読の価値有りでした。