• 2012年登録記事

山田真哉著「女子大生会計士の事件簿 DX」
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/shinya-yamada/

「配達あかずきん」を読んで以来、ミステリが苦手の麻生でも「日常ミステリ」なら楽しめるとわかったので、本作を選んでみました。
TAC NEWSで連載されていた、会計士のお仕事や、会計についての知識が学べる小説。
元々は実用書として販売していたんですね。この本で学べるのかは疑問ですが、会計入門書としては楽しく会計というものに触れられるので、良く出来ていると思いました。
一方、小説としてみると、ほぼ会話劇で物足りないです。会話劇が悪いとは思わないけれど、肝心の会話に面白みが感じられませんでした。ヒロインである萌実のキャラクターが個人的に苦手という点もあるかも。
というわけで、小説としては正直面白くなかったのですが、他の話ではどんな会計問題をテーマに書いているのかな、という視点で続刊は気になりました。

遅くなりましたが、PSP「遙かなる時空の中で3with十六夜記 愛蔵版」総評です。
http://www.gamecity.ne.jp/haruka3/izayoiki/psp/

KOEI The Best(廉価版)になったら買おう、と思い続けて3年。その気配がないので仕方なく通常版を買ったのですが、お値段以上遊べる納得の一本でした。

PSで発売された「遙かなる時空の中で3」と、追加ディスク「十六夜記」を1本にまとめた製品。
源平合戦を下敷きにした異世界トリップ恋愛物。
シナリオは、とにかく二周目までのストーリーの引きが巧いです。一周目は必ずバッドエンドに至るため、やり直しを願う主人公の気持ちと、運命上書き=再プレイというゲーム上のシステム(セーブ&リセット&ロードまで含めて)が自然にリンクするんですね。いずれかのエンディングに辿り着く二周目までが実質一周目だと思いました。
ただ、周回前提なので、良くも悪くもシナリオを長く感じました。共通のシナリオ部分を繰り返している内に、ダレてしまうのです。
八葉+サブ三人+隠し一人という全十二人を攻略するだけでも十二周必至なのに、別ルートの蜜月エンドまであるのは、サービス精神旺盛というより過剰だったのかも。フルコンプしようと思うとプレイが苦痛になりゲームへの評価が下がりそうだったので、恋愛エンドのみで諦めました。
ただし、恋愛対象キャラクターに入れ込めたらもっと飽きずに楽しめたとは思うので、この辺は恋愛体質じゃない私の問題かも知れません。

どうしても書き残しておきたい不満は、望美が将臣の正体を知っている状態で将臣ルートに進んだ場合の違和感(2012年8月26日記事参照)。
それと、譲ルートの逆鱗復活はご都合過ぎて残念でした。
要望としては、細かいイベントでも、何度も繰り返しているモノは望美がもっとサラリと流すようになると良かったと思うのですが、さすがにそこまで望むのは贅沢ですかね。

戦闘は、円陣をどう組み、どの敵に対してどんなメンバーで挑むかと考えさせる点で戦略性があり、手応えを感じました。基本的には弱点を突くだけですが、自分なりのベスト円陣が決まるまで、色々試行錯誤しました。
ただ、望美一人の時は敵も一体しか出現しないように調整されているようですが、望美(木)・将臣(木)・知盛(金)で金属性の敵が登場すると、プレイヤーの力では左右できない点で長期戦になるのが厳しかったです。
※木属性は金属性に弱い。同属性は攻撃力が削がれるor回復する。

スチルには首を捻る物もありましたが、綺麗だと思いました。全体的に、色使いが上品で素敵なのが好みでした。
ビジュアル面を台無しにしてるのは、アニメですよねぇ(苦笑)。

ケチも付けましたが、恋愛ゲームを遊びたいシナリオ重視のRPG好きさんであれば、普通にお奨めできるゲームでした。
また少しシナリオを忘れた頃に、蜜月エンド攻略したいです。

121006.jpg

夢が詰まっている大きな箱に惹かれて、チロルチョコ株式会社の「きなこもち」発売10周年記念商品「ビッグチロル〈きなこもち〉」を購入しました。
「きなこもち」は2003年生まれ、つまり、テイルズオブシンフォニア(GC)と同い年だったんですね!
http://www.tirol-choco.com/info.html

「きなこもち」は、秋冬に期間限定販売される和風チロルチョコ。
初めて食べて以来お気に入りで、見つけると買ってしまう製品です。
今回購入した「ビッグチロル〈きなこもち〉」は、2007〜2011年にかけて販売されていた「きなこもち」アレンジ味3種を復刻しセット販売したものになります。
ついでに、オリジナルの「きなこもち」も単品販売していたので一粒確保。
ご覧の4種を食べ比べてみました。

「きなこもち黒みつ仕立て」は、黒蜜が入ったことで甘さとコクが強まる、相性の良いアレンジ。2006年の「京きなこもち」も黒蜜入りでしたが、記憶している「京きなこもち」より黒蜜は控え目で、逆に丁度いい塩梅かなと思います。

「焼きなこもち」は、焦げを表現する玄米パフの食感に好みが割れそう。私は好きです。チョコレートなのに香ばしくてちょっとサクサクしているのが面白いのです。
「きなこもち黒みつ仕立て」が素直且つ失敗の無いアレンジ製品なのに対して、挑戦的なアレンジ製品として楽しめます。

「きなこパウダー入りきなこもち」のみ、私は良さがわからないアレンジでした。
20円チロルはサイズが大きいのですが、この製品は下手に噛み切るときなこの粉が飛び散るのです。粉っぽさで口の中の水分が奪われるのもイマイチ。きなこ自体が好きな方向けかも。

で、最後にオリジナル版「きなこもち」ですが、結局これが一番美味でした。
多少の思い出補正もあるのは否定しませんが、オリジナルが良くできてるからこそ、アレンジも色々派生するのだということかな。

妹尾ゆふ子著「翼の帰る処」上下巻

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
過去視の力を持つ尚書官ヤエトは、左遷先の北嶺で念願の隠居生活を夢見るが、太守である皇女の補佐官に任ぜられ、政界の争いに巻き込まれていく。その上、外敵が北嶺へ侵略し危機に陥る。失われた神の契約を過去視で取り戻して敵を退けたヤエトは、皇女に忠誠を誓う。

歴史好きで隠居願望があり、給料分だけ働こうと思っているのに出世してしまう、三十代男性国家公務員――という主人公ヤエトは、正にファンタジー界のヤン・ウェンリー@銀河英雄伝説。
そして、ワガママ娘かと思いきや、ヤエトに上手く首輪を着けた、立派な「王」の風格がある皇女。
この二人のキャラクターの魅力で、最後まで楽しく読まされました。
登場人物はだいぶ絞っていると思うけれど、政治・歴史物である以上、それなりの人数が登場します。それでも、人物を表すエピソードが盛り込まれているので人となりが掴みやすいし、家名が重視されないことと、高貴な方々は名前を秘しているため肩書で事足りる設定も、上手く作用していると思いました。

キャラクター以外でも、奥行きのある世界観や細やかな伏線など、とても上質なライトノベル(※)だと感じます。
「次巻へ続く」と書いてあってもおかしくないラストと、新書サイズしか刊行されていないのが、若干マイナス要素かな。

※単に「ファンタジー小説」と分類して良いと思うのですが、挿し絵もあるし、ライトノベルなのだろうと思います。