• 2012年06月10日登録記事

ゲイル・キャリガー著「アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う」

【あらすじ】
吸血鬼や人狼等の異界族と共存する19世紀イギリス。異界族を無力化する「魂なき者」である英国貴婦人アレクシアは、ある夜謎のはぐれ吸血鬼に襲われ、思わずパラソルで刺殺してしまったことからある事件に巻き込まれて行く――

面白かった!
ちょうど「ヴァンピール」を遊んでいた頃に、吸血鬼モノを読んでみようかなと思って目星をつけていた中の1冊でした。
ただし、ホラー系は苦手分野だということもあり、その時には読まなかったのです。
その後、あるファンサイトさんでダブルパロディの題材として本作の設定を使った作品を拝見して、やはり面白そうだと思って今回読んでみたのですが、正解でした。

こういう作品を書くのは楽しいだろうなと思わされる、ハーレクイン小説調のドタバタラブコメ。
ストーリーとしては、実は事件はエッセンスで、最大の要素はアレクシアとマコン卿の恋愛成就なんですね。もっと硬派な、或いは耽美な物語だと思っていたので、読み始めた途端にあれ?と思いました。特に中盤以降は、Hシーンが多々あるので電車の中で読むには適していませんでした。
とにかく人外が人間と共存している世界観と、会話のテンポが楽しいです。アレクシアとマコン卿のキャラクター造形が成功しているので、それがこの作品の勝利ポイントじゃないかと。
アレクシアの家庭環境にジェイン・オースティンの「高慢と偏見」の面影を感じていたら、解説でも「オースティンの家族劇とウッドハウスのユーモア」と評されていて納得。でも、読んだ感触はとてもライトノベルでした。

ところで、この作品の最大の謎は「タコ」ではなく、アレクシアの父親と母親がどうして結婚したのか、だと思います。