• 2014年登録記事

「クラシックダンジョン 扶翼の魔装陣」無料体験版+追加コンテンツを遊びました。
http://nippon1.jp/consumer/classicdungeon/

攻略できるダンジョンは3エリア(10フロア)まで。
仲間になるキャラは6人。ガーディアン以外の4職種が仲間になります。キャラクタークリエーションは2人まで。元々の仕様か体験版用のレベルキャップか不明ですが、Lv.10まで成長したらそれ以上には上がりませんでした。
ちなみにこの体験版、「+追加コンテンツ」というタイトル通り、製品版のセーブを読み込むと追加ダンジョンを遊べるという、無料拡張パックにもなっています。

無料体験版

シンプルな見た目と裏腹に、奥が深いゲームでした。
主役(操作キャラクター)と脇役(サポートキャラクター)を配置する「魔装陣」システムがとにかく秀逸。そして、レベルアップ時に主役だとHPが高くなり、脇役だとその他ステータスが上がるようにしたのが慧眼ですね。
主役は素の攻撃力や防御力が高い方が良いと思うし、脇役はHPとSPがものを言うので、成長と、攻略時のベスト配置が逆なんですよね。結果、色々な職種のキャラを使うことに繋がりました。またこれに関しては、キャラクタークリエーションができるので、育成の試行錯誤ややり直しが効くのが良いですね。

キャラクリ

各フロアのタイムアタックも結構面白いですね。初見では敵を撃破し仕掛けを理解しながら進むのですが、それだと目標タイムの3・4倍掛かります。最短ルートを最小の労力で進むにはどうしたら良いか、何度かやり直して覚えました。
やり込むほどに面白いシステム面は、大いに評価します。

優れた長所の反面、短所も目立ちます。
まず、説明書を読んでもどういうゲームか分からないのは、作品の味なのでしょうけれど、個人的には勿体ないと思いました。私がこのゲームの面白さが分かって来たのは、4フロア目辺りでした。
勿論、情報不足を補う為にゲーム中に「辞書」という要素の解説コンテンツが搭載されています。が、微妙に大きいドット文字のテキストが読みづらく、読む気になりませんでした。
そして主要キャラクターが「人の話を聞かない」系で、前後がなく突然登場して仲間になるので、体験版なのにお話に興味が持てませんでした。変にキャラクターの個性を入れず、システムだけで勝負した方が格好良かったのでは。

不満もありますが、ただひたすらやり込むゲームとしてはとても面白かったです。
長く遊べそうなので、製品版購入も有りだなぁと思います。ご覧の通り、体験版だと相手にしてくれないキャラクターもいますしね。

私はただじゃ無いんだから!

まぁ、今から遊ぶなら続編の方かな? そちらも体験版が出ているので、機会があれば比較してみたいと思っています。

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ラクリマ編もクリアしました。

最終戦前のトキサの演説は、トキサ編で聞いたときより心に沁みました。
ラクリマは相打ち覚悟で、モナから渡された「無」のオリジナルを持っている(=恐らく使う状況になる)以上、オリジナルカルティアを使って死ぬ運命が待っていると想像できます。そのため、「生きてまた会おう」という希望の言葉に、悲壮感を感じました。

そう、モナの「無」のオリジナルはラクリマに渡されましたが、これはトキサ編を見ていないと、彼女が何者かまったく分からないですね。
Episode順に遊ぶのでなければ、私が遊んだトキサ編→ラクリマ編の順で丁度良かったようです。
ラクリマ編は、ベルトシュメルツ、ラグルゼットといった黒幕の結末も描かれるし、世界に対する次の課題もわかるので、トキサ編より壮大ですね。
しかし、最終戦に超小物悪役のザクロもいるとは、盲点でした。
ラクリマから見たアクエルドは、悪の側面が強いですね。トキサ編の場合は、サンの理屈も一応分かる要素があるし、クローズは倒すのが惜しかった。トキサのパーティには、元反乱軍のミスティがいて、最終的にカリスも加入するので、アクエルドとの繋がりが深いためかしら。

なお、これまで戦闘難易度の低さに苦言を呈していましたが、ラクリマ編最終戦は大変でした。味方は全員Lv.20で「夢想」装備だったのに、敵のファイナス系幻獣に対しては攻撃力不足でした。トキサ編で、こんな苦労した記憶はないんですが……。

ということで、総評。

ストーリー

自由度はまったくなく、テキストを読むだけですが、ラクリマ編は、起伏に富んだ展開で面白かったです。比べてしまうと、トキサ編はいささか盛り上がりに欠けました。
両方で同じ事件を同じ時間軸、ほぼ同じ場所で追っているのに、エピソードの重複はなく、このクロスオーバー具合はとても良かったと思います。

キャラクター

中間総評でも書いた通り、全体的に良かったです。
トキサ編は、割と分かりやすく明るい善人揃い。ラクリマ編は悩める等身大の人々という印象。

システム

このゲームの基幹である「カルティア」の要素が、世界観構築の役に立っている反面、期待していたほどシステム的には機能しておらず残念でした。
もっと自分で独自にカルティアを組み合わせて、新しい効果の術やアイテムを作れるのかと思っていたのですが、基本の組み合わせは決まっていて、後は語を足して威力を調整するくらいなんですね。
作中で、解読済みテクストを貰っても面白くない、という主旨の発言をトロイがしますが、それは、私が遊んで抱いたのと同じ気持ちだと思います。

戦略SLGとしては物足りなかったですが、天野喜孝氏のキャラクターデザインが生かされているビジュアル面、キャラクターの良さ、そして最終的にエンディングを迎えた時の気持ちのいい達成感は、独自の魅力だと思いました。

榎田ユウリ著「カブキブ!」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
高校1年のクロは、自分たちで歌舞伎を演じる「カブキ部」創立のため東奔西走。遂に親友のトンボ、演劇部の宝塚風スター・芳先輩、オネエで名取の花満先輩、コスプレ衣装作成の神・丸子の5人で同好会を発足する。福祉施設で初舞台「三人吉三」を披露することになったが、出番直前、クロは脱水症状で倒れてしまう。出番を表すツケ打ちが鳴る中、歌舞伎役者の愛人の子と噂される阿久津が現れ、クロの代わりに和尚吉三として舞台へ出ていく。

とてもライトな作品。
梨園関係者やら日舞の名取やら、石を投げれば才能に当たる、としか言い様のない人材揃い。同好会設立までは多少紆余曲折あれど、努力や情熱でどんどん認められていくので、トントン拍子と言っていいでしょう。性格がネジ曲がっているような奴もいないです。
その辺は、現実味に欠けるとか、ご都合主義とか、色々突っ込みながら読み進めましたが、面白いんだから、それで良いのです。
そして、このことは主人公の信念「楽しめれば」とも重なるのでした。

で、実は1巻があまりに良いところで終わるので、速攻で2巻も読みました。
多少省略されるかと思いきや、ちゃんと1巻の直後から描かれたのが嬉しかったです。でも、今回も非常に良いところで終わって、3巻が待ち遠しい状態になっています。
遂に、同世代の観客にも楽しんでもらえる「カブキ同好会ならではの歌舞伎」を作る方針になり、これが観客にウケるのか、そして梨園の子である仁はどう思うのか、楽しみです。

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現在地:ラクリマ編12章(EPISODE25)終了
ほのぼのした良い雰囲気が続いていましたが、反乱軍の鎮圧に参加することになり、物語は佳境へ。

9章の「彼女が泣いた日」で、トキサ編では頼りになるお姉さんだったアラーナが抱くラクリマに対する嫉妬心が露わになり、決して「出来た女」ではなかったことが分かりました。
章タイトルの「彼女」は、アラーナが明かしたラクリマの過去を指しているのでしょうけれど、アラーナ自身のことも含んでいるように感じます。
神官戦士だったバクステールが、禁止されている幻獣を想造したのは、攻略本によるとラクリマを助けるためなんですよね。でもラクリマにとっては法の方が大事なんですね。トロイが「俺たちが危機に陥っても、ラクリマは幻獣は想造しない」と評していたのは、その通りだろうと思います。
そういう意味では、人間らしさのない女だと思っていたのですが、本質は、正義感の強い純真な「女の子」だったんですね!
そこまで彼女を理解できているのは、やはりバクだけのように感じます。トロイはそこまで踏み込むタイプじゃないし、クーンは彼女を聖女視しているから、ラクリマの表に出さない部分を理解できなそう。
ただ、異端をこれほど嫌がるラクリマが「異端を異端で裁く」異端審問官になれるとは思えないので、バクが異端審問官登用へのゴーサインを出したのは不思議です。

全体的に、ラクリマ編は謎が多く人々が迷う局面も多いので、英雄志向のトキサ編に比べると物語に厚みがある気がします。
キャラクターがみんな竹を割ったような性格で気持ちいいトキサ編も、良いですけれどね。

有間カオル著「魔法使いのハーブティー」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
親を亡くし、親戚をたらい回しにされている少女・勇希は、夏休みを会ったこともない伯父の家で、カフェの手伝いをして過ごすことになった。様々な客のトラブルを解決していく穏やかな伯父の元で、勇希は自分を肯定し、居場所を見出だしていく。

大人と子供の悩みを“少し”解決するハートフルな作品。そんなに数は読んでいないのに、「メディアワークス文庫らしい作品」という印象を受けました。
タイトルに反して、「魔法」は出てきません。店長が言う「読心魔法」も、実際にあるというより、単にそう感じ取ったというだけだと思います。でも、確かに「魔法」のような効果を生むハーブの知識の数々が面白いです。
実際にハーブティーを飲みたくなります。

勇希は時折卑屈過ぎて、読んでいて気落ちするときもありましたが、最後には自分の意志で自分の運命を決め、それをハッキリと口にできる少女に成長したので、ホッとしました。
店長はいい人だけど、40歳になる男が「ふにゃっ」と笑うのは想像すると結構しんどいですね。この表現に限らず、本作は勇希の視点で纏められているためか、全体的に描写は幼い印象です。
店を訪れるキャラクターは、マダム以外は全員最悪の印象からスタートして、次第に素顔が明らかになって受け入れていけるのが面白いです。

全体的には店長とハーブの優しさに包まれるお話なのですが、最終話に登場する伯父だけはまったく救いようのない人物に描かれていて、作品の味とそぐわない気がしました。