• 2008年05月11日登録記事

ゲーム本編シルヴァラント編終盤行程より。


 ロイド・アーヴィングには学がない。
 学はないが、彼には誰にも負けない野生の勘がある。嗅覚と言っても良い。度々彼を窮地から救ったその感覚が、今激しい違和感を訴えている。ロイドはその内なる声に突き動かされるまま、目の前の揺るがぬ背中を睨み付けた。
 金で働く傭兵だと聞いた。確かに剣の腕は立つ。エルフ族ではないらしいが魔術まで操り、攻撃と癒しの手を使い分けて自分たちを助けることしばしば。その上何時でも冷静で、指摘は常に正しい。
 けれど──
「なぁ」
 本当に道はないのだろうか。
「本当にないのか」
 二つの世界を共に救い、コレットを犠牲にせずに済む方法は。

 傭兵は一度立ち止まり、振り返らないまま問い返した。
「なぜ、私に問うのだ」


反発しつつも、ロイドには「クラトスはなんでも知ってる」と思う気持ちがあるのでないか。6割の野生の勘と、4割の甘えで。
もう少し練れば長いお話になりそうです。

確かマナの守護塔攻略後だったと思いますが、TOSゲーム内のあらすじに「神子の再生の旅に疑問を持つが、強引にクラトスが続けさせる」と言う文面がありました。プレイ時はそこまでクラトスに指図されているとは思わなかったのですが、この粗筋からすると、プロット段階のシルヴァラント編はもっとクラトスが導いているようなお話だったのかも知れない……と思わされます。