• 2008年10月18日登録記事

宝塚雪組「ソロモンの指輪/マリポーサの花」11:00回。
初の二階SS席でした。個人的には、一階S席前方に当たった方が満足度は高いですけれど、一階S席後方よりは断然見やすいと言う、複雑な席種でした。結局は、チケットを引き当てる運次第と言う事なのでしょうか。

今日の感想はどちらも三言でまとまります。
ショーの感想「短い。濃厚味。荻田先生の俺世界炸裂」
お芝居の感想「長い。重苦しい。正塚先生の趣味全開」
でした。
演出家買いした公演としては十分楽しめましたけれど、純粋な雪組ファンからの評価はどうなんでしょう?
(組ファンではないような口振りですが、生徒の名前と顔を一番知ってるのは雪組だったりします)

取り敢えず、ショー「ソロモンの指輪」はまったく息を抜く場面がなくて、すごく大変なことになってました。見てる私の側が、情報量を受け止めきれないと言う意味です。
圧巻は海のシーン。
荻田先生演出を生で観るのはこれが初めてと言うこともあって、今はまだ何も内容を語れる段階ではありません。

以下、ミュージカル「マリポーサの花」の感想。
黒塗りの男たちが椅子を持って来て踊るシーンは、正塚先生芝居と初めて出会った「追憶のバルセロナ」を思い出してワクワクしました。小池先生は万人向けの演出をしてくれる、と信頼してますが、自分好みの演出と言う意味では正塚先生一押しなのです。
オープニングは唯のイメージかと思いきや、ラストと繋がっている構成なんですね。
重苦しい中でもちょっと振り掛ける笑いのエッセンス、ラストの盛り上げなどはとても良かったです。後半、リナレス(音月圭)に少し狂気的な表現があったのは、ルキーニを経験している為かなり自然で、ゾっとしました。泣かせは第19場、エスコバル(彩吹真央)との別れのシーン。役者には「良い人」のイメージが強いので、ネロ以外に無関心な元特殊部隊軍人と言う乾いた印象の役自体も、新鮮でした。
しかし残念ながら、この芝居は主要出演者のファンでない限り、リピートするのは辛いだろうな、とも思いました……。
二人で延々会話するシーンが多過ぎませんか。舞台の空きスペースが勿体ない。もう少し短縮してコンパクトに纏めた方が、テンポがあがって良かったのでは。長いせいで、眠気を誘います。お尻も痛みます。
でも決められたトータルの上映時間があるので、仕方ないんでしょうね。
100分芝居に書き直してくれるか、もっと小さい劇場で演じてくれるなら佳作と呼びたい内容なのに。残念です。

それにしても、今日はちょっと出演者の体調が心配な雰囲気でした。
水のダンスのキレ味に「あれ?」。複数人の噛み具合に「あれ?」。極め付けは彩吹の声に「あれれ!?」。もっと明瞭発声な人ですよね。歌声ももっと通る人ですよね。土日は2回公演なのに、心配です。
代わりに良い意味で「あれっ」と思うくらい良かったのが、驚いたことに白羽ゆりでした。
以前の観劇でイメージしていた彼女は、正直少し鈍っぼいと言うものだったのですが、軽やかに踊るし、ドレス捌きは巧いし、何より視覚的に美しい。男役に寄り添う姿が非常に可憐で、男性ファンウケが良いらしいと言うのも、成程と頷く堂々の娘役トップ振りでした。
あとは芝居にもう少し緩急と言うか、味わいが出ると素敵だと思うんですけれど、これは好みの差でしょう。