• 2011年02月登録記事

井上ひさし「十二人の手紙」

手紙形式で綴られる短編集。

最初から最後まで、紙に書かれた文章と言う形式を崩さなかったのはお見事。最後の謎解きが、聾啞者の夫とその妻の筆談と言う形でされるのはちょっと狡い気もしますが、この夫は自分のエピソード「鍵」でも推理力を発揮していたので、事件に対する鋭い視線は納得でした。
「泥と雪」の船山真佐子(旧姓)と言う名前は、プロローグ「悪魔」で死んでしまった少女、船山正子とどうして同じ読みの名前になってるのかしら。各エピソードが所々で繋がっている作りなだけに、気になりました。

「隣からの声」など、あまり救いがない話が多いので、積極的に面白いとは感じませんでした。まったくオチが読めなかったのは「シンデレラの死」「葬送歌」ですが、真相が分かっても膝を打つような感じでないのですよね。
そんな中、「第三十番善楽寺」は重たいけれど良心的なお話なのでホッとする感じでした。「ペンフレンド」も、前向きな感じで割と好き。

本の紹介に「笑いと哀しみがいっぱいの人生ドラマ」とあったのですが、笑いはなく、人のおかしさと哀しみが溢れていたように思います。

PSPのワイヤレスLANが壊れました。

今度こそタクティクスオウガのDLCを入手しようと、先日利用したPS Spotを訪れて「PlayStation Networkにサインアップ」を選んだところ、下記のエラーが表示されました。

アクセスポイントが見つかりませんでした
アクセスポイントの電波が弱いか、SSiDが違っている可能性があります。

接続名 PS Spot

隣りのユーザーは問題なく接続しているのでアクセスポイントの電波は異常ないし、「PS Spot」は本体初期設定されている接続設定なのだからSSiDが云々と言う点は問題ない筈。

一応「ネットワーク」内の「PlayStationSpot」の方から繋がるか試したり、基本に帰って再起動もしてみましたが変化はありませんでした。

落とした記憶はないし、そもそもハードケースに入れていたのですが、状況から考えるに壊れたと判断しました。
Macユーザーであるため、MediaGoを経由して接続と言う方法はとれません。よって、DLCは諦めるしかなさそうです。
ウォーレンやランスロットが仲間になるIF展開なんて「酸っぱい葡萄」ですよね、ええ。そう思っておくことにします……。

久住昌之、谷口ジロー作「孤独のグルメ」(扶桑社文庫)

冴えない中年がひたすら食事をする漫画、と聞いて「BARレモン・ハート」みたいな蘊蓄漫画を想像したのですが、読んでみると本当に毎話定食屋で食事をするだけの漫画でした。

独特の雰囲気で淡々と話が進んでいきます。主人公・井之頭五郎の「心の声」のお喋りは、偶に哲学的な側面もありつつ、ダンディズムを感じたり、妙なリズム感に軽く笑わされたりと言う感じ。横暴な店主に物言う12話(板橋区大山町)は、そこだけキャラが変わった印象で不満でした。
作画は非常に緻密で、よほど綿密に取材したのか写真を元にしているのか分かりませんが、あの街角ね、と頷ける風景描写と、注釈が沢山付いた食事のコマが凄いです。

面白いか、と言われると盛り上がりもなにもないので評価し難いです。突き詰めると内容はシュールだし、読んでる方もシュールな気がします。
文庫版巻末に付けられた原作者の「あとがきにかえて」は素直に面白かったです。