• 2011年04月09日登録記事

宝塚花組「愛のプレリュード/Le Paradis!!」11:30回観劇。
体調はあまり良くありませんでしたが、久し振りの観劇で楽しんできました。

トップスター真飛聖の退団公演。
芝居、ショー共「さよなら色」の濃い内容でした。特にショーは、単品で観て出来が良いだけでなく、随所に演出家からの退団者たちへの愛を感じられて、非常に満足しました。
構成は、「過去にもどこかで観た藤井先生作品」と言う感じで決して目新しくはないのですが、それはつまりファンが観たい物が盛り沢山と言う意味なので、正解だろうと思います。
歌詞もファン向けのメッセージなど織り込んでいたり、黒燕尾でY(真飛の愛称の頭文字)を形作るとか、花組ポーズを入れていたり、群舞でも退団者に華を持たせる配置になってるところも心憎いですよね。
どんどん色々なシーンに移って行くので楽しくて、あっという間の一時間でした。
一番のお気に入りは、美男子ギャルソン揃いのカフェかな。あれは単品で他のショーの一場面として使っても良いなと思いました。

順番が逆になりましたが、芝居の方は、期待値を下げていたのでそれなりに面白かったです。劇場の空間使いは、デビュー作にしてはなかなかの演出力じゃないかなと。
しかし、生徒の熱演が申し訳ないような脚本の酷さが気になって、最後まで数歩退いた視点でした。突然昏倒したり腕が痺れる状態なのにボディガードしてる主人公とか、鉤十字付けたままあらゆる場所へ潜入するナチスとか、設定から崩壊してますよ。
ちなみに、同行者(非オタ)が「これって、いわゆるバラの世界?」と言っていたのが印象的でした。正解は「いいえ、BLです」かな(苦笑)。
いっそのこと、ジョセフを女性(ヒロイン)にして、男装の女性みたいキャラにしても面白かったのでは。キャシーは記号みたいな役なので、比重を下げてしまうのもアリかと。
主人公が街から去って行くラストは、前花組トップスター春野寿美礼の退団公演「アデューマルセイユ」と同じですが、生徒総出演のお見送り演出がなかったのはやや意外でした。

なお、今回は雪組に引き続きチャリティ公演と言うことで、パレードで緞帳を下げず、義援金協力へのお願いの挨拶がありました。
終演後のロビーで募金箱を持つ生徒たちの姿勢の良さに、ちょっと感心。また、舞台姿なのに「有難うございました」と言う声が普通の地声なので、なんだか新鮮でした。

以下、注目した役者について。
芝居は役が少ないし、2階からの観劇だったので今回は一部だけ。

真飛聖は、個人的な好みは別としても、実力的に安心して観ていられる主演だったとつくづく思います。舞台上の姿を見てるだけの観客は本当の人柄なんて知らないけれど、心のあたたかさが伝わるような役者でした。
芝居はぶっきらぼうな感じですが、トップ就任以来あまり観なかったキャラだったので新鮮でした。

蘭乃はなは、本人比で歌が上達したように思います。「ファントム」に向けて、歌のレッスンをしてるのでしょうか。
芝居は、ずっと怒ってるような役なので少し難しかったですが、ショーの白いワンピースの少女は素朴な魅力があって良かったです。あと、足の細さに驚嘆しました。

芝居もショーも、本当に相手役だったのは壮一帆の方でした。
「陽」のキャラが続いていたので、硬質な感じがこれまた新鮮です。でもこの人に関しては、やはり笑顔全開な役の方が好きだと改めて思いました。

真夜中のオペラ座や大階段の黒燕尾で、真野すがたと華形ひかるが「ニコイチ」で使われている姿にじんとしました。
今回の退団者は誰も惜しいのですが、花組版「銀ちゃんの恋」で橘を演じていた真野には特に思い入れがあり、ラストを意識して追いました。今更な発見ですが、踊りが柔らかくて、特に娘役と組んだ時に人一倍優しくリードしているなぁと感じました。

ショーで、妖精役だったのが研2生の柚香光。抜擢ですね。あまり通し役の意義が見えない役でしたが、役者にとっては顔を売るチャンスですし、軽やかな動きも良かったです。