- 分類読書感想
沢村凛著「瞳の中の大河」
【あらすじ】
平民の少年アマヨクは、大貴族である叔父への恩返しの念で、内戦で乱れる国のため軍人となる。次第に功績を上げ英雄となったアマヨクは、内戦で理を得る貴族たちの思惑を脱し、野賊を殲滅しようとするが――
ライトではない、骨太なファンタジー物語。
政治と密着した軍事活動などは面白かったのですが、国の為と言う大義名分で周りを省みない主人公アマヨクに共感できなかったので、そこは減点でしょうか。
アマヨクに限らず、どのキャラクターも心理描写がほとんどないので、読者が想像して補う必要がありました。
それから、物語の最後ではアマヨク・テミズの人生を描いた物語だと語っているのですが、前口上がそうなっていないので、収まりが悪い気がしました。
とは言え、素晴らしい構成のお話でした。
物語の始まりで登場する3人のキャラクターの描き方から、この3人が出逢って物語が大きく動き出すのかと思いきや、最後までアマヨクとメイダンは遭わないという大きなパターン外しで驚きました。
格好良いと思ったのはセノンですが、無気力で人並みなメイダン殿下が、物語の最後に大きな決断と勇気を見せるのが一番感動した点かも知れません。