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デュウィ・グラム著 安原和見訳「オーシャンズ11」

2001年版(リメイク版)映画「オーシャンズ11」のノベライズ。
映画は未見。舞台版(宝塚)の知識しかありません。
舞台版とは大きくプロットが異なり、各人の役回りにも違いがあるのですが、意外と全体の雰囲気は変わらないと思いました。そして私の場合は、映画俳優より役者の方が印象が強いので、ダニー、バシャー、イエン、リビングストン、ベネディクトは花組版キャスト、ソール、ライナス、フランクは星組版キャストの顔で補完されました。

私は「ピカレスクロマン」が不得意なのですが、本作の場合は犯罪とはいえ「一大プロジェクト」を描く作品なので、ごく普通に楽しく読めました。
標的のベネディクトが、結構しぶとそうな野心家なのも良かったです。

訳はやや直訳気味に感じました。説明がない部分はまったく説明がないので、ある程度読み手に理解力がないとなにを描写しているのかわかり難い箇所がありました。
お洒落な会話は解説しなくても良いけれど、プロジェクトに関わる部分は、明瞭にして欲しいです。例えばブルーザーとダニーの関係性等は、語らなくても「買収済み」程度の想像はつくけれど、以前からの知り合いのような描写なので、多少説明して納得させて欲しいな、と思ったりしました。