• 2008年09月10日登録記事

今日もヴェスペリアSS書き殴りですがラピードはお休み。ED後です。
題名は「Amor et lacrima oculis oritur, in pectus cadit.」と入れたら長過ぎたので邦題。


「良い機会ですから、伝えておきたい大事な話があるんです」
 その言葉に、エステルは気軽な気持ちで頷いた。
 若い皇帝が副帝を呼び寄せるのでなく訪問し、何事か相談をするのはさほど珍しいことでない。騎士団長を伴っているのは珍しいが、皇帝の一人歩きを遂に見咎めての同行だろう。
 気遣ったのはもう一人の方だった。
「俺、席外すか?」
 問う形をとってはいたが、ユーリは既に腰を上げていた。先程あれほどエステルが苦労して座らせたばかりだと言うのに。
「構いません。いえ、一緒に聞いてください」
 彼女が抗議するより早く、ヨーデルは強く首を振り、重ねて右手で彼を制した。
「じゃあ手短に済ませてくれ」
「わかりました」
 皇帝への態度とは思えぬ物言いに、青年をよく知る彼等は微かに笑い、そのことに憤慨した振りでユーリは乱暴に腰を下ろした。勢いのついた青年の体重を受けて、些か派手に空気が抜ける音がする。
 だから、ヨーデルにもう一度名を呼ばれた時、彼女が考えていたことと言えば、お気に入りのクッションが破れてしまうのではないかと言うことだった。
 慌ててヨーデルに向き直れば、いつの間にか彼女よりも高い位置から注がれるようになった優しい瞳が微笑んだ。
「エステリーゼ、僕と結婚してくれませんか」


こんな未来が待っている可能性もあると思うのです。
しかし、書いてみたら乙女ゲーム的だなと思いました。
続きのお相手は、ユーリでもフレンでも、真っ直ぐにヨーデルでもお好きなようにご想像ください。