• 2012年11月02日登録記事

11月1日記事の続きで、キャスト評。

ラインハルト@蒼羽りくのキャラクター性は、前回記事の通り。役作りなのか、素なのかは判断し難いところですが、解釈としては面白かったです。
歌は……オープニングから「フレイヤの星」までは手に汗を握りました。しかし丁寧に音を選んで外さないようにしていたので、音痴ではないはず。上達の見込みはあるかもと期待しています。
台詞は男役声が出来ていて元々好きなのですが、時々裏返ってしまったのは、緊張のせい?
さすがに踊りは危なげなく、優雅でした。マントさばきも、指先が物凄く集中しているのが伝わりましたが、その努力の甲斐あって美しかったです。

ヒルダ@花乃まりあは、大変聡明で知的に見える、好みの役作りでした。本役がカラリとした明るいヒルダなのに対して、適度な湿り気があり、国を憂うお嬢さんという雰囲気。歌声は透明感があって心地好く、もう少しボイストレーニングを積んで声の細さを克服して貰えれば言うことなしです。
欲を言えば、実年齢は若いのに老けて観えるので、化粧に改善の余地ありかなと思いました。

キルヒアイス@桜木みなとは「クラシコ・イタリアーノ」の子供サルヴァトーレ役が良かったので期待していましたが、キルヒアイスとしては少し期待と異なっていました。恐らく、持ち味が弟気質なんですね。ラインハルトが子供なので、キルヒアイスはもっと「お兄さん」の要素が大きくても良かったと思います。
それと、彼を観ていると時々、春風弥里を思い出しました。芸風が似ている、のかしら?

ヤン@凛城きらは、ヤンには見えないのですが、演技はハートフルで大変良かったです。歌も、他の主要男役に比べると安心して聞けました。
それにしても、本役と同じような役作りなのに、印象の違いはどこから生じるのか不思議です。

オーベルシュタイン@愛月ひかるは、本役とは少し髪型が違い、「記者と皇帝」のレッドマン役を彷彿とさせられました。偶にオペラグラスで覗くと、焦点の合わない眼をしていて怖かったです。宝塚版脚本ならではの役作りですね。
男装のヒルダと遭遇した時の驚き方が下手過ぎて、思わず苦笑い。でもその後ヒルダを凝視して、二度も退出を言い渡されるアドリブで、ちゃんと笑いを取っていました。

割愛シーンが多い為に、解説役としての重要度が上がっているフェザーンの二人組。
ドミニク@すみれ乃麗が、台詞を覚え切れていないのかと疑うほど何度も噛んだり間があって嫌に緊張させられましたが、台詞回しは良かったです。「強い女」のイメージがある本役よりも、エロティックな雰囲気があって好きでした。
ルビンスキー@美月悠も声は掠れていたけれど、台詞は明瞭だし、歌も堂々としていて見直しました。脇を演じる芝居巧者が減ったので、これからもっと活用されるかも知れませんね。

アンスバッハ@和希そらは、宝塚での好評価で期待値を高め過ぎていたようです。大して見せ場がある訳でもなく、有能に振る舞っても脚本上はすべて裏目に出ている時点で、難しい役なんだと思います。
和希は小柄なこともあり、星吹彩翔と芸風が似ているような気がしました。

提督たちは見せ場が大幅に削られているので、あまり印象に残らず。やはり本役のビジュアルの完成度は凄いなぁと思った中、ワーレン@七生眞希は好みの美形でした。過去の観劇記録を調べたら、「誰がために鐘は鳴る」で蒼羽りくに似ていると思って注目対象にした子でしたね。本公演で目立つ位置に来ないので忘れていました。

皇帝フリードリヒ4世@星吹彩翔は、老け役は初めて? 童顔に髭という点でかなりハンデを負っていて、演技している感を感じてしまいました。上手い人なので、技術的には文句ないのですが、正直ヤン役で観てみたかったとも思います。

本役が上手過ぎて、新人公演では見劣りしそうなところをしっかり締めたのがトリューニヒト@留依蒔世ジェシカ@彩花まりの同盟政治家組。特に、慰霊祭のトリューニヒトは、本役である星吹が群衆役で目の前にいて歌い難そう、と思いましたが、そんな心配は不要でした。
本役以上に怪演かも、と思ったのはベーネミュンデ@瀬音リサ。皇帝が危篤に陥った後の狂気の表現から眼が離せませんでした。
注目のアンネローゼ@伶美うららは、役が合っていて大人っぽい持ち味が生きていました。本役より白羽ゆりが演じたアンネローゼを思い出しました。蒼羽と輪郭が似ているので、姉弟として説得力もありました。
ユリアン@秋音光は、こまっしゃくれている印象。そういう面もあるキャラクターですが、もっと利発な雰囲気が欲しかったです。