• 2012年11月25日登録記事

鷹見一幸著「小さな国の救世主」1〜3巻(全5巻)読了。

【あらすじ】
引き蘢り気味の日本人高校生龍也は、アドベンチャーツアーの参加先で内戦に巻き込まれる。政府軍に狙われる姫巫女と知り合ったことから、彼女の部族を守るためインターネットを駆使し、戦局をひっくり返す手助けをしてしまう。成り行きと勘違いで軍師に祭り上げられた龍也は、日本に帰国する為、内乱を終結させようとする――

元々3巻構成だったらしく、区切りが良かったので3巻でとりあえず読了。
主人公の常識が通じず、一方で主人公の意外な発想が周囲を変えるという展開で、言わば異世界召喚モノを現実設定に置き換えたお話でした。

主人公龍也に一切の特殊技能がなく、直接戦うことはせず、天才的な閃きもなく、どこまでも普通の発想で勝っていくのが面白い要素でした。
特に、1巻は小銃で戦車を退散、2巻は爆撃機を破壊するというだいぶ派手な作戦で龍也が頑張り過ぎていると思ったのに対し、3巻のラジオ放送は非常に地味だけれど物語らしい人間の善良さへの理想があって良かったです。
では龍也がお気に入りかと問われれば、彼の独善的な面、視野の狭さ、思い込んだら一直線なのに説教臭いことを言う辺りがちょっと苦手。
一番格好良いのは、リネム大臣とシャリフ大尉でしょうか。シャリフは越権行為が過ぎる気もしますが、成すべきことを見定めている人は気持ちが良かったです。

全体的には、ライトノベルらしい勢いがあって面白かったです。
商業作品にしては誤字脱字が多くて、web小説みたいなノリを感じましたが、そこは良くも悪くもということで。