• 2013年登録記事

月組公演「ルパン」SS。


 狩りは英国貴族の嗜みである。
 オックスフォード公の私有地にも、広大な狩猟場がある。毎年狩りの季節になると、公爵家の男や招待客が足蹴く通い、哀れなキツネたちを追い立てるのだ。だが、公爵の長子エドモンドが足を踏み入れたのは、これが初めてのことであった。
 最後にならなければ良いが――と一瞬心に浮かんだ弱気を、カーペットは直ぐに振り払った。
 彼の主人エドモンドは、生まれつき身体が弱く、それ以上に精神が薄弱である。それを恥じた家族から遠ざけられ、ろくな教育も受けずにこの歳まで長じてしまった。
 カーペットは愚鈍な主人に幾度も暗然たる思いを抱き、同じだけ感謝の念も抱いた。
 爵位を持たぬカーペットでも、エドモンドという青白い人形を操ることで世の中を動かせるかもしれない。野心は人生に彩りを与え、才覚を試す緊張は快感を生んだ。これほど面白いゲームが、他の主人の下で味わえるだろうか。
 その主人は、車から降りた位置のまま、オドオドと辺りを見回していた。馬に乗れず、犬を恐れるエドモンドは、狩猟地に来るのにも自動車である。格好が付かないこと甚だしいが、無理をさせて、また喘息を引き起こすよりマシだ。
 カーペットが主人を狩猟地へ連れてきたのは、このエドモンドに自信を持たせるためだった。エドモンドが冴えないのは持病のためで、それさえ克服できれば他の兄弟に劣るものでない——と。
 そんな幻想は、カーペット自身が信じていなかったけれど、必要なのは事実でない。


……と言う書き出しで、オックスフォード公(爵位継承前)とカーペットのお話を書いています。しかし意外に長くなりそうなので一旦この辺で公開。ちなみに、永遠に後編が出来ない可能性もあります。

自分の婚約披露宴で「カーペットが生きてここに居てくれたら」と嘆き悲しむオックスフォード公があまりに本気で、色々考えさせられました。
カーペットは、打算前提ですが、味噌っかすにされていた主人をよく守り立てていたのだろうと思います。だとすれば、エドモンドにとっては良い部下、親友だったのだと思います。

転じて、「テイルズオブジアビス」のガイが根から腹黒かったら、屋敷時代のルークとガイの人間関係がこうなっていた可能性もあるのか?と妄想させられました。

クリアしました。

【注意】以下、EDネタバレです。

本作の結末について、ある程度知識はあったのですが、そうであっても納得がいかないものがありました。
「時間を巻き戻し、今までのことはなかったことにする」と言うオチ。
これまで遊んだプレイヤーの約40時間はなんだったのか?
エンディングだけ見れば、死んだ舞耶や淳母、影人間になって消失したキャラクターが元に戻り、良い結末のように見えます。が、結局達哉たちの願望で現実を変えただけのように思います。
TOD2も同様に「巻き戻しエンディング」です。しかしTOD2では割合序盤から時間旅行があったり、敵側が歴史改変をするので、最終的には「正史に戻る」という後味の良い終わりでした。
しかし本作は、歴史改変や時間軸操作というネタが途中一切なく、最後にデウス・エクス・マキナとして巻き戻しが提案され、主人公たちがそれに乗ってしまう。それは安易な気がしました。
どうせ物語なのだから、滅んだ地球の上で、生き残った人々と(マイアの託宣通りなら人類は消滅はしていないので)生きるという選択肢を選ぶ道も欲しかったです。

もっとも、マイヤの託宣の最後は「そして刻は繰り返す」。つまり、このエンディングこそ託宣通り、仕組まれた道なんですよね。

前回推測していたシバルバーの正体は「思考が現実になる」で、概ね正解でした。
この辺りは、舞耶が、最終パーティ内で唯一の社会人(大人)で、他のキャラを導く者であることが良く分かりました。そうであるが故に、ラストが悲しいのですが。

フィレモンは、礼を言う筋合いはないと思ったのでお約束的に殴っておきましたが、「そういう生き物」なのだと理解したため、特に怒りはありません。
黒幕であるニャルラトホテプも同様。
その分、イデアル先生にはイライラすることになりそうなので、2周目を遊ぶことはなさそうです。

今回はエンディングに対する不満で終わってしまったので、総評は次回に回します。

エリオット・エンゲル著 藤岡啓介訳「世界でいちばん面白い英米文学講義 巨匠たちの知られざる人生」

英米文学の著名な作家12人について、生い立ちや著作が出来た背景などの裏話を語った本。講義を受けているような印象を抱きながら読んだのですが、訳者あとがきの付記に、講演のテープを起こしたものだと書かれていました。
世界でいちばん面白い!……かどうかは、判定不能ですが、各作家に対して勉強になる内容が幾つかあり、楽しく読めました。
例えば、ディケンズが「同じ本を読者に三回売った」手法は、作家と言うより商売人だな、と膝を打ちました。
過去の作家たちの有様を見て来たかのように話す語り口が軽妙ですが、近代の作家・フィッツジェラルドとヘミングウェイについては、ほとんど生涯を語っているだけで、目新しい情報がなかったのが残念でした。

最後に、少し驚いたことを。
ジェイン・オースティンの章で、彼女は英米文学史における初の大女流作家だと語られています。そもそも作家を表す author は authority(権威者)を語源としていて、つまり男性のことだったと言うのです。
英米における文学テーマは戦争、女性への愛、政治、宗教であって、女性が進出する余地がなかったのですね。
日本では、古代から紫式部や清少納言といった女性作家が活躍していたことと比較すると、面白いものだと思いました。

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ル パティシエ タカギの「フロマージュロワイヤル」
http://www.lplctakagi.jp/

リッチ感を味わえる、濃厚でどっしりしたスフレフロマージュ。
濃厚でねっとりした味わいの割に、生地がべたべたしていないのが不思議です。フォークを入れると、ボロボロと崩れるのが少し食べ難いですが、口の中で溶けていく食感と引き換えと思えば不満にはなりません。

冷凍販売のため、食前に解凍が必要。売り場では「常温2時間、冷蔵庫4時間」と言われたけれど、公式サイトで確認できる情報と違いますね。要は、お好みのタイミングで良いのかと思います。
半解凍と全解凍を両方試しましたが、どちらにしても美味しかったです。

現在地:シバルバー侵入
術者より低レベルの敵出現を完全抑制するスキル「エストマ」を覚えて、4神殿は雑魚戦なしのサクサク攻略となりました。
獅子(達哉)→宝瓶(淳)→天蠍(栄吉)→金牛(リサ)の順に攻略。

ハナジーはどうしたのかと長らく思っていたら、天蠍宮の神殿で再登場。なんと、ほっそりしたスタイルに変貌していました! 素のハナジーはクール系だったんですね。
栄吉が、ハナジーの呼びかたを「華小路さん」から一気に「雅」に変えてしまったのは、少し行き過ぎな気もしましたが、相思相愛の2人が巧くまとまったのは良かったです。

栄吉
(画面注釈)栄吉がとっても主人公状態。

一方、リサは過去の悪行が明らかにされて、ますますヒロインらしからぬ属性がてんこ盛りになりました。
ペルソナ2罪のオリジナル版発売が1999年なので、その当時の現代っ子らしい感じではあるのかな。

細切れの回想で色々分かって来た気がしつつも、実はいまだにキング・レオがどうして舞耶を怨んでいたのか飲み込めていません。今更その辺は説明されないだろうし、どこかで説明を見落としたのかな。
個人的には、淳のキャラクターが良く分からなくなってきました。

シバルバー内は、敵とのエンカウント率が高過ぎて、心が折れかけています。敵のレベルが高く、スキル「エストマ」も効かなくなったのが辛い。
イベントが頻繁に挿入されるので、それを心の潤いになんとか進んでいる状態です。
現時点での想像なのですが、シバルバー内で喋ったことは、すべて現実になるのではないでしょうか? 珠閒瑠市内では、噂という大人数の言霊で世界が変わったけれど、シバルバーは1人でも世界を変えてしまえるのでは。
もしそうなら、「シバルバーは実は小さい」とか言って、ダンジョンを簡略化して貰えませんかね……。