• 2013年10月登録記事

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シティライツ「とろ~りかけ~るパンナコッタ」3種
http://www.city-lites.jp/

商品名の割に、パンナコッタ自体はゼラチン質が強くしっかりしています。“とろ〜りかけ〜る”はソースの枕詞だったのでした。
ソースの種類は、カラメル、ストロベリー、マンゴーの3種類。
果物系2種は意外と甘さ控えめで酸味がありましたが、パンナコッタには良く合いました。

パンナコッタはラム酒が強く効いています。ソースを入れると酒精が薄れて食べやすくなりました。
パンナコッタだけでも十分食べられます。が、ソースを入れた方が味が複雑になって、今風のスイーツになると思いました。

新宿東口「ルブラン」でランチ。
http://r.gnavi.co.jp/g594401/

店構えから、喫茶店だと思っていたのですが、きちんとした洋食店でした。
2階は喧噪も遠く、落ち着いて食事ができます。
看板メニューのドリアは好みに合う味付けで美味でした。ソースは強めのコクがあり、魚介等の具材にしっかり味が染みています。反対に米は薄めで、ちょうど良いバランス。
お値段的にも満足感があり、サービスの気配りも適切で、古き良き洋食店の味わいがありました。

上田早夕里著「ショコラティエの勲章」

【あらすじ】
老舗和菓子屋に勤める絢部あかりは、2軒先の人気ショコラトリーで万引き事件に遭遇したことを切っ掛けに、ショコラトリーのシェフ・長峰と知り合う。長峰との交流を経て、あかりは菓子職人の矜持を知っていく。

パティシエの世界を舞台とした“日常の謎”ミステリと聞いていたので、和菓子屋から始まって驚きました。
職場が和菓子屋であることや、御菓子蘊蓄が多いことなどは「和菓子のアン」と似ています。しかし、主人公のタイプは真逆。本作のあかりは、無闇に詮索好き且つ周囲の人々に対して偉そうに見えて、好感を抱けませんでした。超頑固な長峰シェフは、理屈っぽくて面倒くさい人だけれど、一貫していて格好いいです。
あまり後味が良くない情念や苦みのある展開もあるので、リアルではあるけれど、個人的には好みから外れる話もありました。が、最終話の締めが良いので、読了感は清々しかったです。

スイーツの描写は非常に巧みです。味を想像して口の中に甘みが広がり、チョコレートやケーキが食べたくなります。
また、職人の矜持や魂も込められていて、御菓子を食べるにも色々考えさせられる気がしました。

田中芳樹編訳「岳飛伝」全五巻(講談社文庫版)

史伝「説岳全伝」を田中芳樹が編訳したもの。北方謙三の同名小説ではありません。
文体が非常に独特で、講談師が中国物を語っているような調子で綴られています。
水滸伝のように、英雄・豪傑が数多く登場し、単純明快、豪放磊落な一騎当千の戦いを繰り広げます。ただし、その戦いの中には権力闘争も含まれており、こちらには奸臣が数多く登場し、裏切りや嘘が蔓延する陰気が漂っています。

岳飛は中国で最も人気のある歴史上の人物だそうで、確かにスーパーヒーローではあります。しかし、正直に言えば「面倒臭い男」だと思いました。本人が忠義の為に死ぬのは自由だけれど、無駄な忠義心のために家族や麾下の忠臣を死なせてしまうのは、如何なものでしょう。

好漢同士は出逢って直ぐ兄弟・姉妹の契りを結び、縁があればあっという間に結婚するので、人間関係の情感はあまり感じません。
でも、結婚に関する下記の突っ込みは面白かったです。

英雄好漢にとって、縁談とはつねに降ってわくものらしい。
(講談社文庫「岳飛伝」三巻より)

戦いでは火牛の計や双頭の蛇らしき陣形が登場し、戦記小説の元ネタはこの辺かな、と引き出しが増えました。
4巻以降は突然妖術が登場し、史劇からエンターテイメントになった印象。この不思議な変換は、原典の書かれた時代の移り変わりによるものらしいですね。妖術合戦になると戦術の意味がなくなって退屈だと思ったのですが、西雲小妹との戦いは面白かったです。

全編通して、表紙&挿絵の伊藤勢氏のイラストが素敵でした。