• 2011年08月19日登録記事

本日は「ヴァレンチノ」東京振替公演千秋楽。
この奇跡のような公演の思い出として、久し振りにDVD感想を綴りたいと思います。

【序 クリーヴランド号甲板】
1913年12月、イタリアからの移民船に1人の青年が乗っていた。彼、ロドルフォ(ルディ)は自由の女神に誓う。いつの日かオレンジ農園を手に入れることを──

研究生20年目の生徒が、10代のきらきらしい少年を演じて、違和感なく可愛い──と思うのはファンの欲目でしょうか。
でも、このシーンでオレンジを見つめる瞳が確かに希望に輝いているから、ここから始まる約2時間の物語に深い哀しみが生じるのだと思います。

移民たちはイタリア語で演技しているため、何を話しているか正確には分からないのですが、強い感情は伝わってきます。そこが、新大陸に様々な望みを託してやって来た移民らしい説得力のある芝居になっていると感じます。
スポットライトがないまま、ルディも秘かに登場。初日は、少年にぶつかるまでルディに気付きませんでしたが、DVDだとちゃんとカメラが追い掛けてくれるので、直ぐ分かりますね。
その後ろの人々も小芝居をしているのですが、劇場では後方席だったので良く観えなかったのが残念。DVDも、残念ながら薄暗い中の群衆芝居なので後方のメンバーは確認できませんでした。

【1幕1場 マキシム】
3年後、ルディはN.Y.のクラブ「マキシム」でダンサーになっていた。しかしマフィアのボス、デ・ソウルの情婦と関係を持ったことで命を狙われ、N.Y.から逃亡する。

ほんの数分前まで移民だったメンバーが、ダンスホールの男女として登場する早替わりに毎回驚きます。
ダンスのお相手が、踊りの下手なマダムから元踊り子ビアンカに替わると、ルディのダンスもぐっと良く観えるのが面白いです。ビアンカの魅せてくれるダンスでは、リフトで持ち上げられた後、空中で止まって戻ってくると言う振り付けが凄く好きで、何度も観たい!と思っていたのでDVDで早速リピートしています。
東京だと1場は何度も笑いが生じるので、東の観客は「笑いの沸点」が低いのかと思っていましたが、DVDで観ると演技の指向自体も違う気がします。DVD(梅田)と東京の最大の違いは、デ・ソウルが格好良さを薄めにして、ヘタレ気味になったことでしょうか。
なお、デ・ソウルが登場して、慌てたビアンカがルディをマダムに返すときの台詞は「オバさん、出番だよ!」と収録されていますが、東京では「オバさん、匿って!」とより分かりやすくなってました。

【1幕2場 カリフォルニア〜ハリウッド】
カリフォルニアへ逃れて職を探すルディは、車掌からハリウッドのエキストラを薦められる。

ここは、大空祐飛主演作品では初めてのDVD収録における楽曲差し替えシーンです。と言うわけで、DVDを観る時は、iTunes配信・宙組「ヴァレンチノ」で「ウエスト・コースト」冒頭30秒を聞いて脳内で合成しなければなりません。
差し替え部分は、リズムが刻まれる中、音階無しに歌詞が掛け声として入っています。振り付けが浮いてしまって、かなり間抜けな状態です。
iTunes配信で本来の楽曲が聴けるだけ、有難いですけれどね。
このシーンでルデイの舞台上の衣装替え(1回目)がありますが、サスペンダー姿と言うのが非常に新鮮でした。DVDで初めて気付いた点としては、ベストと上着を同時に着ているのですね。どうりで、早い着替えだと思いました。