• 2012年04月18日登録記事

アゴタ・クリストフ「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」

タイトルや大きめの文字等から、児童向け文学かと思ったのですが、読み進めてみると残酷な上にエロいお話で大変驚きました。
「悪童日記」を読み始めた当初は、淡々とした空気感がどこまで続くのか計り知れず、どう読むべきなのか悩まされました。双子の奇怪さに馴染めず、こういう子たちなのだとようやく受け入れられたのは、女中の殺害理由が分かる箇所からです。
ところが、1作目のラストに突然双子の道が分たれます。これまで完全に同一人物扱いだった双子が、何の前触れもなく国境で分たれる別人になる様には、まるで「細胞分裂」のような印象を受けました。
急いで2作目も手に取って読み始めたところ、またガラリと雰囲気が変わり、村に残された方(リュカ)の物語が始まります。双子が1人になったことを誰も気に留めない事や、名付けが奇怪しいと思いつつも読んでいたら、またも巻の最後に大変などんでん返しがあり、双子は本当は1人だったらしき事が示唆されます。
結局、またも茫然としたまま3作目へ突入させられました。

物語の構成を考えたら、普通は3巻目の物語が真実だろうと思うのですが、題名がそれを裏切っているのですよね。
実に不思議な作品でした。