• 2012年05月26日登録記事

銅版画家ルイ・イカールの作品集「ルイ・イカールの世界/マドモアゼルはバラ色の微笑み」及び「きまぐれなパリジェンヌたち」

先日発売された「大空祐飛メモリアルブック」に、入団時の紹介記事が再録されており、そこで愛読書として本書があげられていました。
無学を晒すようですが、初めて聞く名前でした。タイトルから、画集らしいとは分かったものの、どんな作風か分からないまま本と対面しました。

サブタイトルの通り、2冊とも細く優美なロココ調の曲線で女性が描かれていました。淡い色付けが美しいのですが、同時に、どこかがおどろおどろしいイラストが多いのが眼を惹きました。
この闇が忍び寄る感じは、「グリム童話」的な印象です。
愛犬家としては、随分多くの作品で犬が登場していて嬉しかったです。アップで描かれたチャウチャウの瞳が凄く雄弁で、版画でこんな描き込みが可能なのか、と驚かされました。
私が一番気に入ったのは「マドモアゼル(略)」に掲載されている「ベストフレンド」という一枚。寄り添った貴婦人とボルゾイが同じ方向を向いているもの。貴婦人は服がはだけていて乳房が露になっているのですが、まったく性的な感じがしない清涼な作品です。

それにしても、この画集を愛読書としてあげるとは、昔から一風変わった少女だったのだなぁと感じました。