• 2014年06月30日登録記事

垣谷美雨著「結婚相手は抽選で」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
少子化対策として「抽選見合い結婚法」が施行された。見合い相手を3回断ると、テロ撲滅隊に従事しなければならない。モテないオタクは密かに期待し、恋人から振られたOLは焦りつつ、見合いが始まると、それぞれに結婚や家族との関係を考え直す機会となる。

とてもテンポが良くて軽い娯楽小説だけれど、見合い法が対象とする25歳から35歳の独身男女に、結婚について考えさせる本だと思います。
吹っ飛んだ設定ですが、もし本当にこんな社会になったら、と思わず考えてしまいますよね。

物語なので、断って「離島行き」になった人も含めて、最終的には全員一歩良い方向に進むので気持ち良いです。
なにより、見合い法で一喜一憂する若者を描くだけでなく、相手から断られたら、自分のなにが悪かったのか見つめ直したり、そもそも結婚をどう思っていたのか、男女の仲とはなんなのかを問うていくので、軽い読書の割りに色々考えさせられました。
特に、母親と共依存関係で高慢な奈々、独り立ちできない母親を背負っている好美など、母親と娘の関係は色々と身につまされました。