• 2013年01月13日登録記事

五十音順キャラクター・ショートショート【す】
→ルールは2012年12月17日記事参照


「素晴らしい計画が浮かんだぞ!!」
 扉が壊れそうな勢いで開かれたと思うと、まずそんな言葉が飛び込んできた。
「これぞ美しき完全犯罪。ホームズのヤツが地団駄を踏む様が目に浮かぶようだ。わは、わはははは」
 興奮して口から唾を飛ばす教授の様子に、彼はわっと声に出しながら急いで立ち上がった。ほとんど同時に台所から兄貴も駆け寄ってきて、二人はテーブルクロスごと食事の用意を退避させる。
「さぁ、お前たち見ろ!」
 間一髪、物のなくなったテーブルの上に、設計図と地図が叩き付けられた。
「このプテラノドン三号は深海一万マイルの水圧に耐える装甲と――」
 新しい計画だ!
 彼は思わず身を乗り出した。狭いテーブルの上に、三つの頭が寄り集まる。
 部下たちが興味を示すのに満足して、教授は新しい発明品の機能と、それを使って水路から銀行の金庫に侵入する大胆不敵の犯罪計画を説明した。
 その言葉の響きに、彼は思わず頬を綻ばせた。教授が灰色の脳細胞から生み出すオモチャや計画はいつでも彼をワクワクさせる。
「――というわけで、早速準備に取り掛かれ!」
 けれど彼が惹かれているのは、計画の果てにある財宝でなく、こうして教授や兄貴と一緒に何かをすること自体かもしれなかった。

ステキな仲間たち
……スマイリー(アニメ「名探偵ホームズ」)


通称「犬のホームズ」。子供時代の聖典です。
モリアーティ教授の一味は、天才と阿呆の合いの子という感じで、大好きでした。
ちなみに、テーブルからどけた料理は勿論、裏の川で獲ったダボハゼです。