五十音順キャラクター・ショートショート【ぬ】
→ルールは2012年12月17日記事参照
「盗人だ。あの男は盗人なのだ」
男は娘の智謀を知って以来、数多い子供たちの中でも特に彼女を可愛がり、機嫌の良い時は彼の王のことをこう言って教えた。
確かに王はフィニー王家の血筋でギュスターヴの名を持つ者。だが王の証を持たず王家を追われた後、異母弟を殺し、数多くの臣民の血を流して、玉座を己の物とした。
王の振るう鉄の剣が砕いたものは、軍勢と術世界だけでない。ファイアブランドによって保証されていた王の絶対性も、粉微塵になった。
アニマのない王が認められるなら、誰でも王になれる。
幼い娘がそう不思議がると、男は濃い笑みを浮かべた。
「最初にそれを行った者は盗人であっても英雄と呼ばれ、二人目は梟雄と呼ばれる。その覚悟がない奴は盗まぬのだ」
だが娘は言葉にされなかった父の声を、確かに聞き取った。
――俺は違う。盗む。この時代に男として生まれたからには、盗んでやるぞ――
人から謗られるとしても、覚悟なく生きる愚者に比べなんと気高いことか。
このときヌヴィエムは、生涯を父の娘、盗人の娘として、顔をあげて生きようと思った。
盗人の娘
……ヌヴィエム・ドラングフォルド(ゲーム「サガ フロンティア2」)
色々暗躍するのですが、実はあまり印象がない女性です。彼女の父親であるカンタール候も同様のため、イメージ違いでしたら申し訳ありません。
物語としてはギュスターヴ編の方が好きですが、自分で操作する箇所が極めて少ないので、どうも記憶力はウィル編に割かれてしまったようです。
もしヌヴィエムで書き上がらなかったら、ヌート・ガンレイ総督@スターウォーズしか候補がいませんでした。助かった……。