• 2013年01月31日登録記事

五十音順キャラクター・ショートショート【ね】
→ルールは2012年12月17日記事参照


「ねぇ、これただの鋼の剣でしょ。3000ゴールドなんてぼったくりじゃない!?」
 声を荒げた客に詰め寄られているのに、カウンターに腰かけたまま店員は微笑んだ。
 有名店だけに、時折こういう手合いがいるのだ。
「はい、お客さま。そちらは鋼の剣でございますが――」
 それも、全国の武器屋が2000ゴールドで売っている量産品に、この店の刻印を掘っただけの代物だ。ちなみに、刻印代は一本あたり10ゴールドとなる。
 しかし――
「他店にはない、勇者さまがお使いになっているのと、同じ型でございます」

 お客様に満足を与える付加価値を。
 著名人とのコネを活かした商品作りで、一都市の武器屋から世界有数の商社となったトルネコ・コーポレーションでは、創設者の経営ブレーンだった妻ネネの教えがいまも社是となっている。

ネネの武器屋経営術
……ネネ(ゲーム「ドラゴンクエストIV」)


トルネコの店って、他から仕入れて売るだけでしたよね。
たぶん、選ばれし者たちの1人であることを大いに生かして、それまでこの世になかったブランド戦略を取ったのではないか、と思っています。
で、ネネさんと言えば銀行(預り所)を始めてましたよね? そういう所からして、ただ夫の店を預かるだけに留まらない、かなりの先見性の持ち主だったろうと思います。