• 2016年10月23日登録記事

坂東眞砂子著「ラ・ヴィタ・イタリアーナ」

イタリア滞在・取材旅行を描いたエッセイ。
作者当人が書いている通り、前半と後半で少し雰囲気が異なります。
前半は、イタリアの中にいて、彼是論評しつつイタリアを楽しんでいるエッセイ。後半は、イタリアから一旦離れ、改めて来訪者として訪れた少し冷静な視点の分析エッセイ。最後は「ドロミテ異境探訪」という、雰囲気の違う旅行記。

前半部分は、題名から期待した通りの雰囲気で面白かったです。
イタリアという国の適当さ、不便さ、ゴタゴタが中心ではあるのですが、作者は最初からイタリア通なので、ある程度怒りつつも、割とこの手の「イタリア流」の面倒臭さを受け流しているように感じます。「イタリアで教習所に通う」という下りは、他に類を見ない独自のエピソードで楽しかったです。

ちなみに、私は「人生は美しい」と積極的に思うことはないけれど、ことさら悲観するでもなく、「人生まあまあに楽しめば良いじゃないか」という日和見派。
本書で語られている、イタリアを楽しめるタイプに入るのかどうか、少し微妙なところです。